TS CUBIC SHOPPINGお気に入りのステッキを携え、心弾む街歩きを
単なる歩行補助具ではない。日々の所作に彩りと品格を添え、持つ人の人となりをも映し出す—。MATSU Cane & Walking Stickの一本は、豊かな経験と洗練された感性をもつ大人にこそふさわしいステッキです。
Photo:Tsuyoshi Ogawa/KONDO STUDIO、Michinori Aoki
Text:Fumihiro Tomonaga
Edit:Yasumasa Akashi(pad inc.)
苦い経験から生まれた一本
MATSU Cane & Walking Stick(以下MATSU)を手がけるのは、日本を代表するプロダクトデザイナー・吉田眞紀氏。1995年に自身のブランド「M.Y.Label」を立ち上げ、フランスの名門ラグジュアリーブランド、S.T. Dupont Parisのデザイナーに就任するなど、国際的に高い評価を得てきた俊才です。高級ライターや装身具、喫煙具、照明器具にいたるまで、その多岐にわたる仕事において一貫して表現してきたのは、西洋の洗練と日本的な品性を称えた美しさ——そんな魅力がMATSUの根幹にもあります。
吉田氏がステッキのデザインに向き合うきっかけは、個人的な体験でした。プロ級の腕前をもつスキーの最中に事故で大怪我を負い、自らステッキを必要とする立場になってみると、市場にある既存の商品の“物足りなさ”を痛感します。量産品は機能一辺倒で、意匠は画一的。手にすれば「ビスポークスーツに長靴を履いている」かのような趣でしかない。かといって、イギリスなどのクラシックなステッキは、機能面にやや心許なさが残る。「自分が本当に持ちたいと思える一本がないなら、つくるしかない」。そう思い至ったのです。
目指したのは、歩行を支えるだけでなく、装いを完成させ、日常に洒脱な時間をもたらす存在。そして同時に、自身の体験を通して得た使用者への深い理解が細部にまで反映された、高い実用性を備えたものでした。
デザイナーと美意識と体験と、老舗工房の技が結実
しかし、どれほど優れたデザインでも、それを具現化する技術がなければ成立しません。吉田氏がパートナーに選んだのは、元よりその技量に全幅の信頼を寄せていた柘製作所。1936年創業、東京・下町に工房を構える世界有数の喫煙具メーカーです。多くの愛好家を唸らせるその職人技は、もはやアートピースの域。吉田氏の美意識と柘製作所の技が出合い、2018年にMATSUは誕生しました。
製品化にあたっては、あらゆるパーツを機能と美しさの両面から徹底的に検証したといいます。グリップの形状はボールグリップ、Tグリップ、Jグリップの3種。シャフトに続くネックにはブランドの象徴的な意匠である十字のクロス構造を採用し、軽さと安定性を両立。わずかにテーパードしたシャフトの先端には、強度の異なる2種のゴムからなる石突きを装着。交換も可能で、防滑性・衝撃吸収性を高め、一体感をもたせて美観も追求しました。またすべてのモデルに装着したストラップは、デザインアクセントに加えて、ときに両手の自由を確保し、さらに万が一、引っ張られた際の安全性を考慮し、その強度が設定されています。
そして銘木や真鍮、ジュラルミンなど、パーツごとに選び抜いた最適な素材を熟練の職人が一本一本、手作業で接合し磨きをかけ、仕上げていく。何より特性の異なる素材を、堅牢性を保ちつつシームレスにジョイントさせるには、熟練の技と途方もない手間を要し、完成まで2カ月以上かかることも珍しくないといいます。
こうして完成したMATSUのステッキは、道具であると同時にファッションアイテムであり、鑑賞に値する工芸品といっても過言ではありません。その魅力について、服飾評論家の林信朗氏は「優雅な遊歩の“オケイジョン”を創造する存在」と評しています。つまり、林氏のように足にとりわけ不自由がないとしても、仕事を終えておしゃれをしての外出や、清々しい早朝の海辺の散歩といった機会にふさわしい、あるいはそんな心持ちに誘うアイテムというわけです。
紳士淑女に捧げる、3つの逸品
最後に、MATSUのコレクションの中から、代表的な3モデルをご紹介しましょう。どれも、クラシックにも現代的な装いにもフィットするデザインであり、贅沢な素材使いと、どの角度から眺めても絵になる造形美が際立ちます。MATSUのステッキは、人生を謳歌する成熟した紳士淑女の歩みに、静かで確かな輝きを添える相棒なのです。
ボールグリップ ジュラルミン‐Men
手首の可動域が広く、高い強度を誇るボールグリップを採用。グリップ、ネック、シャフトにいたるまで、すべて超々ジュラルミンを削り出し、ほかのモデルのネックにも採用されている十字のクロス構造がシャフトの先端まで続きます。まさに技の粋を集めた、ブランドを代表する逸品。金属の塊から生まれる造形美と、心地よい重量感が手に伝わります。
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Tグリップ 黒‐Men
指に力を込めやすいTグリップに、「木の宝石」と称されるブライヤーを使用。その美しい杢目を活かすため、職人技が求められる繊細なやすり掛けで仕上げます。真鍮削り出しのネックが、静かな存在感を放つ、フォーマルにもカジュアルにも寄り添う、時代を超えた一本です。
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JグリップトリコロールB‐Women
優しい曲線を描くJグリップを備えたモデル。腕にもかけられるので持ち運びやすく、アルミ製グリップに巻かれたレザーの質感と鮮やかな色彩のシャフトから女性に人気のモデル。街歩きの足取りを軽やかに演出します。
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