体験型展示・実物資料でたどる400年の都市史江戸東京博物館がリニューアルオープン
Text:Reico Watanabe
Edit:Yasumasa Akashi(pad inc.)
1993年の開館以来、江戸から東京へと続く約400年の歴史と文化を伝えてきた江戸東京博物館。開館30年を機に、大規模改修工事のため2022年4月から休館していましたが、2026年3月31日(火)にリニューアルオープンします。失われつつある都市の記憶を未来へつなぐ場として、同館は新たな姿で再始動します。
人が集い、体験する博物館空間を再構築
江戸東京博物館は、徳川家康の江戸入府から現代に至るまでの都市の変遷を、実物資料、復元模型、体験型展示を通して紹介する人気の施設。日本橋の実寸大復元や町人文化の再現など、「体感する歴史展示」は国内外から高い評価を受け、休館前から国内外から多くの来館者が訪れていました。
今回のリニューアルでは、建築家・菊竹清訓による象徴的な建築を活かしながら、展示体験と空間演出を大きく刷新。館内外の空間デザイン監修を手がけたのは、国際的建築設計事務所OMAのパートナー兼ニューヨーク事務所代表を務める建築家・重松象平です。歴史的文脈を尊重しつつ、現代的な視点で、人が集い、体験する博物館空間を再構築しています。
注目すべきは、3階に広がる約4,000平方メートルの大空間です。天井面や柱面に、葛飾北斎や歌川広重が描いた浮世絵などの収蔵品資料や、江戸・東京の街の風景を投影し、建築と映像が融合した没入型の鑑賞体験を実現します。
JR両国駅西口からのアプローチには「鳥居」を想起させる新たな工作物が設置され、来館者を博物館へと導きます。江戸時代の歌舞伎の芝居小屋のファサードを再現した「中村座」は、内部に入ることができるようになり、江戸の娯楽文化をより身近に感じられる構成となりました。さらに、館内1階小ホール横の壁面には、東京都優秀技能者(東京マイスター)である左官職人・久住有生氏による左官仕上げが施され、空間に手仕事の温もりを添えています。
歴史を“体感”する、新たな展示のかたち
展示内容の刷新も大きな見どころのひとつです。明治の銀座のシンボルとして知られる「服部時計店」を、新たに実寸大で再現。近代化が進む東京の象徴的風景を、空間スケールで体感できる展示となります。
また、自動車としては日本初の重要文化財に指定されており、東京市で初めて運行された公営乗合自動車「円太郎バス」も、新たに常設展示として公開されることに。この車両は、現存する最古の一台であると同時に、「円太郎バス」として唯一伝え残された大変貴重な資料です。
あわせて江戸ゾーンでは、史料に基づき、当時の江戸の街並みを忠実に再現した空間が展開される予定。会場内に一歩足を踏み入れた途端、江戸時代にタイムスリップしたような感覚が味わえます。
過去を学ぶ場から、未来へ文化をつなぐ場へ
リニューアルオープンを記念し、特別展も充実したラインアップが予定されています。2026年4月25日(土)からは、江戸東京博物館が誇る珠玉のコレクションを一挙に紹介する「大江戸礼賛」展を開催。その後も、「洋館 明治の夢と挑戦」展、「NHK大河ドラマ特別展『豊臣兄弟!』」、「円山応挙」展、「江戸オシャレ」展と、時代やジャンルを横断する企画が続きます。
建築、映像、体験を通して進化した江戸東京博物館は、東京という都市の記憶を、より深く、より立体的に伝えていきます。生まれ変わった「えどはく」を訪れてみてはいかがでしょうか。
東京都江戸東京博物館
住所:東京都墨田区横網1-4-1
開館時間:9時30分から17時30分(土曜は19時30分まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌火曜日)、年末年始
観覧料:一般800円/大学生・専門学校生480円/高校生300円/中学生以下無料/65歳以上400円
※ なお、各種割引・減免の詳細についてはお問い合わせください。
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
※画像はすべてイメージです。