今食べたい、東西の“旬”ラーメン6選! TRYラーメン大賞の目利きで巡る、今訪ねるべき一杯

Lifestyle

文/水野正和(TRYラーメン大賞 公式ウェブサイト プロデューサー)
写真/TRYラーメン大賞 編集部、TRYラーメン大賞 全国版 編集部

ラーメンは、土地の食文化と店主の技、そして時代の感性までが一杯の丼に凝縮された料理です。次々と新しい才能が登場する一方で、長く愛されてきた名店も技を磨き、味を進化させつづけています。

そこで今回は、ラーメン業界屈指の権威とされる『TRYラーメン大賞』編集部が、『TRYラーメン大賞』と、全国の実力店に目を向けた『TRYラーメン大賞 全国版』から、「この一杯を食べるためにでかけたい」と思わせてくれる注目店を厳選しました。関東・関西・中部からそれぞれ2店、計6店。話題の新店から進化をつづける名店まで、旅の目的地にしたくなる一杯をご紹介します。

東京・下丸子 懐かしさの先にある「奈つやの中華そば」

奈つやの中華そば

東京・下丸子の「奈つやの中華そば」は、第25回TRYラーメン大賞 2024-2025で新店大賞総合1位、新店部門しょう油1位、つけ麺1位の3冠に輝いた実力店です。新店大賞では審査員から最多の満点を集め、満場一致で頂点に立ちました。

店主の平林利幸さんがラーメンの世界を志すきっかけとなったのは、かつて東京・文京区にあった名店『ちゃぶ屋』(※現在は閉店)です。その味に感銘を受け、『びぎ屋』(東京都目黒区)をはじめ複数の店で経験を積みました。2023年に不動前で間借り営業を始めると評判を呼び、翌2024年、下丸子に実店舗を構えました。

看板メニューの「奈つやの中華そば」は、平子を中心に3種類の煮干しを使い、節類や羅臼昆布、花鰹などのうまみを重ねた芳醇なスープが主役です。さらに丸鶏や豚肉の出汁を合わせ、吊るし焼きの肩ロース、ショウガを効かせた自家製ワンタン、自家製メンマなど、具材にも手間を惜しみません。

魚介スープには平子をメインにカタクチ、シロクチと、3種類の煮干しを使っている。さらに節類や羅臼昆布、花鰹のうまみを重ね、芳醇なスープを作り上げる。

どこか懐かしさを感じさせる中華そばのたたずまいでありながら、その味わいは緻密で現代的です。そして、味とともに高く評価されているのが、平林さん夫妻の温かな接客です。一杯の完成度はもちろん、店で過ごす時間も含めて、また訪れたくなる魅力があります。東京のラーメンの“今”を味わうために、ぜひ足を運びたい一軒です。

店舗情報

住所:東京都大田区下丸子4-4-8
アクセス:東急多摩川線下丸子駅多摩川方面出口より徒歩3分
駐車場:なし
営業時間:11時30分〜提供終了まで
待合席廃止に伴いオンライン順番待ちシステム採用
当日朝7:28(ナツヤ)から下記URLにて受付開始 ※キャンセルは11時まで可能
https://airwait.jp/WCSP/storeDetail/?storeNo=AKR6423855608
定休日:火曜、金曜(X、Instagramで要確認)
席:カウンター7席

※店舗情報は取材時のものです。店舗側の都合により変更になる可能性があります。事前に店舗や店主公式SNS等で確認することをおすすめします。

神奈川・横浜鶴見 朝5時から楽しめる「らぁ麺 松しん」

らぁ麺 松しん「醤油らぁめん」

神奈川・横浜鶴見で、朝5時から暖簾を掲げる「らぁ麺 松しん」。店主の松村慎平さんは、テレビ番組『ガチンコラーメン道』の影響を受けてラーメンの世界を志し、『支那そばや』に入門しました。4年間の修業を経た後、さらに和食店でも経験を積み、2023年10月に自身の店を開きました。

その実力は早くから評価され、第25回 TRYラーメン大賞 2024-2025では新店大賞総合3位を獲得。「塩らぁめん」が新店部門しお1位、「醤油らぁめん」がしょう油3位に選ばれました。さらに2025年の第26回(2025-2026)には「わんたん鶏白湯らぁ麺」が名店部門鶏白湯4位に。開業から短期間で、塩、醤油、鶏白湯と味の幅を広げています。

らぁ麺 松しん「わんたん鶏白湯らぁ麺」

そして松しんならではの魅力が“朝ラーメン”。朝の営業は5時から9時まで。まだ街が目覚めきらない早朝から、名店で培った技と和食の経験を背景に持つ一杯を味わえます。

らぁ麺 松しんの外観

いつもより少し早起きをして鶴見へ向かい、朝食にラーメンをいただく。そんな時間も、旅の楽しみのひとつではないでしょうか。名店の系譜を受け継ぎながら、自らの味を磨き、進化をつづける注目の一軒です。

店舗情報

住所:神奈川県横浜市鶴見区潮田町2-87-3 ホンダハイツ1階
アクセス:JR京浜東北線ほか鶴見駅東口より徒歩15分
駐車場:なし
営業時間:5時〜9時、11時〜15時(共に食材なくなり次第終了)
定休日:月曜、火曜ほか不定(Instagramを要確認)
席:カウンター10席

※店舗情報は取材時のものです。店舗側の都合により変更になる可能性があります。事前に店舗や店主公式SNS等で確認することをおすすめします。

大阪・塚本 『大阪 麺哲』の技を受け継ぎ、自らの道を切り拓いた「ラーメン専門店 えんまん」

ワンタン龍生麺(醤油)。動物+魚介のWスープに、のど越しのよい中太の平打ち麺が特徴。もっちりとしたワンタンや岩海苔などトッピングも魅力的。

大阪のラーメンファンなら誰もが知る名店『麺哲』。その店主・庄司忠臣さんのもとで2年間修業を積んだ店主が腕を振るうのが、大阪・塚本の「ラーメン専門店 えんまん」です。

看板メニューは、修業先の『大阪 麺哲』で学んだ鶏ガラと魚介のWスープを使ったラーメンです。動物系と魚介のうまみを重ねたスープに合わせるのは、真空ミキサーを使って仕込む、のど越しのよい自家製麺です。

師匠譲りの製法を土台にしながら、麺には「えんまん」ならではの工夫も凝らされています。「食べて楽しい麺にしたかった」という思いから、12番、14番、16番の切り刃を使い、あえて太さをランダムにすることで、一口ごとに異なる食感を楽しめる麺に仕上げています。

おすすめは「ワンタン龍生麺(醤油)」。中太の平打ち麺に、もっちりとしたワンタンや岩海苔などを合わせた一杯です。さらに、大阪のご当地ラーメン・高井田系を独自に表現した「醤油馬鹿」も好評を集めています。

名店から受け継いだ技を大切にしながら、そこに自らの工夫を加え、新しい一杯へと進化させています。大阪のラーメンの新たな魅力に出合うために、ぜひ訪ねてみたい一軒です。

えんまん(外観)

食の街・大阪で始まった、新たな挑戦。大阪を訪れた際には、その“今”を一杯のラーメンから感じてみてはいかがでしょうか。

店舗情報

住所:大阪府大阪市淀川区塚本1-19-19
アクセス:JR東海道本線ほか塚本駅より徒歩3分 
駐車場:なし
営業時間:11時30分〜15時、18時〜23時(ラストオーダー:22時30分)、金曜11時30分〜15時、18時〜翌1時(ラストオーダー:0時30分)
定休日:火曜、第1・3水曜
席:カウンター7席

※店舗情報は取材時のものです。店舗側の都合により変更になる可能性があります。事前に店舗や店主公式SNS等で確認することをおすすめします。

兵庫・尼崎 一杯の隅々までうまみを重ねる塩ラーメンが楽しめる「らーめん専門 和海」

塩らーめん

「車麩がのったラーメン」と聞いて、この店を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。兵庫・尼崎の「らーめん専門 和海」 は、化学調味料を一切使わないスープにこだわり、兵庫を代表する一軒として支持を集めています。

店主は木下武士さん。「体に足りないものを入れるとうまく感じる」という考えのもと、看板メニューの「塩らーめん」を作り上げています。スープは、鶏ガラや豚肉、香味野菜を使った動物系と、昆布や節系を使った魚介系を合わせたWスープ。そこへモンゴル塩などを使ったタレや、鶏油をアレンジした香味油を重ねることで、じわじわとうまみが広がる奥行きのある味わいに仕上げています。

合わせるのは、スープへの溶け出しまで考えて作られた、コシとのど越しのよい自家製中太麺です。しっとりと仕上げた鶏ムネとモモ、豚バラの煮豚、そして店の象徴ともいえる車麩など、それぞれの具材にも丁寧な仕事が施されています。

ひと口のインパクトだけではなく、食べ進めるほどにうまみがじわじわと広がっていくのも、この一杯の魅力です。スープ、麺、香味油、具材の一つひとつにこだわり、それらを丁寧に重ねることで生まれる「塩らーめん」。長く愛されつづける理由を確かめに、兵庫を訪れた際にはぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

和海(外観)

店舗情報

住所:兵庫県尼崎市武庫川町2-19-3
アクセス:阪神本線武庫川駅より徒歩5分
駐車場:なし
営業時間:11時30分〜14時30分(※食材なくなり次第終了)
定休日:日曜、月曜
席:カウンター9席

※店舗情報は取材時のものです。店舗側の都合により変更になる可能性があります。事前に店舗や店主公式SNS等で確認することをおすすめします。

愛知・豊橋の「ラーメン たのしみ」。うどん文化と名店への敬意から生まれた、“楽しい一杯”

醤油ラーメン。釜焼きチャーシューは、静岡・磐田『ヤマシロ』(※閉店)からインスパイア。スモーキーな風味がたまらない

愛知・豊橋の「ラーメン たのしみ」は、同級生と『ラーメン 歩く花』を営んでいた水田真吾さんが、2023年に開いたお店です。ユニークな店名には、お客さまはもちろん、水田さん自身やスタッフも含めて「みんなが楽しめる店にしたい」という思いが込められています。

「醤油ラーメン」は、醤油のキレと魚介の風味が際立つスープに、平打ちの太ちぢれ麺を合わせた一杯です。豊橋にはうどん文化が根付いていることから、多加水の太麺が土地の人々に好まれると考え、愛知県産のうどん用小麦「きぬあかり」を使って自家製麺しています。一昼夜寝かせることで生まれる、もっちりとした食感とツルツルとしたのど越しが特徴です。

さらに印象的なのが、スモーキーな香りをまとった釜焼きチャーシューです。惜しまれながら閉店した静岡・磐田の名店『ヤマシロ』から着想を得たもので、その味への敬意を込めながら、「たのしみ」ならではの一杯へと昇華しています。

土地の食文化を取り入れ、敬愛する店から受けた刺激を活かしながら、自分たちらしい味を追求する「ラーメン たのしみ」。丼いっぱいに詰まった“おいしい”と“楽しい”を味わいに、豊橋まで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

たのしみ(外観)

店舗情報

住所:愛知県豊橋市菰口町6-46
アクセス:JR東海道本線ほか豊橋駅から豊鉄バス市民病院線「吉川町」停留所下車、徒歩2分
駐車場:8台(店前2台、道路を挟んで共同駐車場15〜20番)
営業時間:11時〜14時
定休日:木曜、金曜
席:10席(カウンター9席、4名テーブル1席)

※店舗情報は取材時のものです。店舗側の都合により変更になる可能性があります。事前に店舗や店主公式SNS等で確認することをおすすめします。

石川・金沢 東京から金沢へ。名店が新天地で挑む「金沢 麺つみき」

特上トリュフ。ファーストインパクトは、名古屋コーチンの鶏油とトリュフの香り。スープの温度が下がるとともに、貝のうまみが押し寄せる。

東京・池袋でミシュランガイドのビブグルマンを獲得した『麺処 篠はら』が、屋号も味も一新し、2023年に金沢で新たなスタートを切りました。それが「金沢 麺つみき」です。目指しているのは、“腹八分目でも多幸感を味わえる一杯”。上品さを保ちながら、しっかりとした食べ応えと満足感を追求しています。

そのこだわりを象徴するのが「特上トリュフ」です。スープには、地鶏や黒毛和牛、シジミ、アサリなどから取った7種類の出汁を使用。素材によってうまみを引き出す温度帯が異なるため、それぞれを別々に炊いてから合わせるという、手間を惜しまない仕事が光ります。

ひと口目に広がるのは、名古屋コーチンの鶏油とトリュフの華やかな香りです。そしてスープの温度が下がるにつれて、今度は貝のうまみが前へと現れます。食べ進めるほどに味わいの印象が変化していくのも、この一杯の楽しみです。

さらに「特上」には、豚肩ロース2種、豚バラ、鶏ムネ、鴨ロースと、5種類ものチャーシューが盛り込まれています。肉の種類に合わせて味付けや調理法まで変える徹底ぶりで、チャーシューを単なる具材ではなく、一杯を構成する大切な要素へと高めています。

東京で高い評価を得ながら、あえて金沢という新天地へ。これまで培ってきた技術を礎に、新たな味づくりに挑みつづけています。そのひたむきな姿勢も含めて味わいに、金沢まで足を運びたくなる一軒です。

麺つみき(外観)

店舗情報

住所:石川県金沢市天神町1-18-4
アクセス:金沢駅東口より北鉄バス[95]北陸大学(始発) 北陸大学線「田井町」停留所下車、徒歩2分。
駐車場:8台、ほか第2駐車場9台あり
営業時間:
《昼の部》月曜〜土曜 10時45分〜ラストオーダー14時30分
日曜・祝日 10時30分〜ラストオーダー15時30分
《夜の部》火・金・土曜 18時〜ラストオーダー20時
定休日:不定(詳細はInstagramを参照)
席:カウンター8席、テーブル8席

※店舗情報は取材時のものです。店舗側の都合により変更になる可能性があります。事前に店舗や店主公式SNS等で確認することをおすすめします。

6杯から見える、日本のラーメンの「今」

東京、神奈川、大阪、兵庫、愛知、金沢。6つの街を巡ってみると、今のラーメンのおもしろさは、単なる「新しさ」だけでは語れないことが見えてきます。

名店で学んだ技を受け継ぎながら、自分らしい一杯へと進化させる。長年磨いてきた味を、さらに高めていく。土地に根付く食文化を麺に取り入れる。そして、東京で評価を得ながら新天地・金沢へ移り、新たな味づくりに挑む。それぞれ歩んできた道は違いますが、共通しているのは、よりおいしく、より自分らしい一杯をつくろうとする、ひたむきな姿勢です。

一杯のラーメンを目当てに街を訪ねてみれば、その土地ならではの食文化に触れたり、思いがけない風景に出合ったりすることもあります。

次の旅は、「どこへ行こう」ではなく、「どの一杯を食べに行こう」から考えてみてはいかがでしょうか。おいしい一杯との出合いから始まる旅も、きっと素敵な思い出になるはずです。

TRYラーメン大賞
公式WEBサイト:https://tokyoramenoftheyear.com/ja

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