「現代のPGAツアー平均を超えている」 AI解析で判明した、ジャンボ尾崎の“怪物スウィング”の正体

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スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックス AI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、ゴルフ界をけん引し、「ジャンボ尾崎」の愛称で親しまれた尾崎将司のスウィングを解説してもらった。

ツアー113勝、賞金王12回、国内メジャー最多優勝記録を持つ尾崎将司(撮影/姉崎正)

スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックス AI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、ゴルフ界をけん引し、「ジャンボ尾崎」の愛称で親しまれた尾崎将司のスウィングを解説してもらった。

こんにちは。「スポーツボックス AI」日本アンバサダーの北野達郎です。今回は追悼特別編として、2025年12月23日(火)に78歳で永眠されたジャンボこと尾崎将司さん(以下、ジャンボ)の正面からのドライバースウィングを「スポーツボックス AI」のデータと共に解説させていただきます。ジャンボのスウィングをデータ分析してみると、その特徴が主に3点ありました。

① 右足から左足への横方向の動きが大きい(左右の体重移動)
② 胸と骨盤の大きな捻転差(胸と骨盤の捻転差)
③ ハイティーアップからの高打ち出しと低スピン(骨盤の上下動)

それでは早速チェックしてみましょう!

右足から左足への横方向の動きが大きい(左右の体重移動)

まずは左右の動きに注目しましょう。「Chest Sway」は胸がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか? の距離を表します。(マイナスは右へ、プラスは左へ)ジャンボのバックスウィングは最大でマイナス8.0センチメートル胸が右に移動して、トップではすでに左へ7.2センチメートル戻り始めています。

画像①バックスウィングとトップ/バックスウィングで胸が右に動いてからトップで左に戻る。横方向の動きが大きいのがジャンボの最初の特徴だ

「スポーツボックス AI」が独自で調査した、バックスウィングからトップにかけて胸が右から左に戻る距離の海外男子ツアーレンジ(範囲)は、マイナス2.1センチメートル(右)~マイナス6.9センチメートル(右)ですので、7.2センチメートル左に戻るジャンボは現代の海外男子ツアープロの中でも右から左への横方向の動きが大きいタイプであることがわかります。

ただジャンボの特筆すべき点は、トップでの胸の位置はマイナス0.8センチメートル(右)で、ほぼアドレスの位置に戻っている点です。ジャンボの全盛期は「左右の体重移動」が飛ばしのカギとされた時代でしたが、右に大きく移動してスウェイするのではなく、左への「スライド」も同時に入ることで、結果トップで胸はアドレスに近い位置に収まっていて、軸は左右にブレていないのがわかります。

胸と骨盤の大きな捻転差(胸と骨盤の捻転差)

次は、トップ寸前とトップを比較してみましょう。ジャンボの2つ目の特徴は、トップから切り返しにかけて捻転差が増加する動きが大きいことです。「Pelvis Turn」は、骨盤の回転角度を表し、「X-Factor」(以下、捻転差)は胸と骨盤の捻転差を表します(いずれもマイナスは右へ、プラスは左へ)。ジャンボのトップ寸前の骨盤の回転角度はマイナス45度で、捻転差はマイナス55度です。

画像②トップ寸前とトップの比較/下半身が先に切り返すことで、トップにかけて捻転差が増加しているのがわかる

そしてトップでの骨盤の回転角度はマイナス40度で、トップ寸前のマイナス50度と比較すると約5度左に骨盤が戻り始めていて、その結果として捻転差はマイナス55度→マイナス62度と、こちらは約7度増加しています。「スポーツボックス AI」では、このトップ寸前からトップにかけて捻転差が増加する動きを「X-Factor Stretch」(以下、Xファクターストレッチ)というデータで計測しています。

このXファクターストレッチは、海外男子ツアーレンジは0度~6度ですので、ジャンボは7度とXファクターストレッチが大きいタイプと言えます。Xファクターストレッチが増加する角度が大きいほど、筋肉の伸張反射(※)が強まり、クラブスピードとの相関関係があるとされています。

※伸張反射とは?
事前に筋⾁が急激に引き伸ばされることで、この筋肉を反射的に収縮させる反応のこと。筋肉にはゴムの様な性質があり、急激に引き伸ばされるとより速く戻ります。

ジャンボと言えばバックスウィングからトップにかけての左足のヒールアップが特徴ですが、この左足のヒールアップもXファクターストレッチの増加を生んでいる要因と言えます。

ハイティーアップからの高打ち出しと低スピン(骨盤の上下動)

そして、ジャンボの有名な特徴の1つに高いティーアップ(以下、ハイティーアップ)があります。ハイティーアップから繰り出す「高い打ち出し角と低いスピン量」がジャンボの飛距離の秘訣と言われていました。そのハイティーアップと関連するデータは、「骨盤の上下動」です。「Pelvis Lift」は骨盤がアドレスの位置から上下にどれだけ移動したか? の移動距離を表します(マイナスは下へ、プラスは上へ。以下、骨盤の上下動)。ジャンボの骨盤の上下動は、最大でマイナス6.5センチメートル下に沈み込み、インパクトにかけてはプラス12センチメートル上昇しています。中でも注目したいのは、下に沈み込んでからインパクトにかけて12センチメートル上がる点で、このデータが大きいほどバーチカルフォース(縦方向の地面反力)が大きいとされています。

画像③ダウンスウィングとインパクト/骨盤の上下の動きが大きい。ジャンボのハイティーアップに関連する動きだ

インパクトにかけて骨盤の伸展の海外男子ツアーレンジは、プラス4.7センチメートル~プラス11.3センチメートルですので、ジャンボはこの骨盤の伸展でも現代の海外男子ツアーレンジを上回っています。また、骨盤の上下のデータも大きいほどクラブスピードとの相関関係があると言われており、この縦方向の動きを活かすハイティーアップで、高い打ち出し角と低いスピン量も実現しています。

スウィングのエネルギーは横方向のホリゾンタル、回転のトルク、縦方向のバーチカルの3つの力によって生まれますが、この3つの力の全てにおいて現代の海外男子ツアーレンジを上回るデータを叩き出し、なおかつハイティーアップによる高い打ち出し角と低いスピン量で圧倒的な飛距離を実現させていたジャンボのスウィングは、フィジカルとテクニックの両方を兼ね備えていたのは間違いありません。

今回は、尾崎将司さんのスウィングを解説させて頂きました。エースキャディの佐野木計至さんがおっしゃった通り、ジャンボが豪華に天国へ飛び立っていかれました。ジャンボの前人未到の輝かしい功績は、これからも決して色あせることはないでしょう。

改めて尾崎将司さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

【貴重写真・プロデビュー前】22歳ジャンボ尾崎のドライバーショット連続写真

【ジャンボ尾崎の数々の記録】

●ツアー優勝回数
113勝(歴代1位)※海外1勝(ニュージーランドPGA)。
1973年ツアー制度以降は94勝(歴代1位)

●年間最多優勝
1972年(昭和47年)9勝(ウィザード、札戦オープン、旭国際、千葉県オープン、関東オープン、ファーストフライト、全日本ダブルス、グランドモナーク、日本シリーズ)+海外1勝

●1996年(平成8年)ツアー制度以降8勝(中日クラウンズ、日本プロ、三菱ギャラン、JCB仙台クラシック、久光製薬KBCオーガスタ、ジュンクラシック、ダンロップフェニックス、日本シリーズ)

●獲得賞金額
26億8600万円(歴代1位)

●賞金王
12回(歴代1位)

●国内メジャー優勝
20勝(歴代1位):日本プロ6回、日本マッチプレー1回、フィランソロフィー1回、日本オープン5回、日本シリーズ7回

●最年長優勝記録
2002年全日空オープン(55歳7カ月29日)

●エージシュート
2013年つるやオープン初日にレギュラーツアー史上初のエージシュートを記録、スコアは62。17年10月ホンマツアーワールド2日目を70とし、ツアー2度目のエージシュートとなった

●ゴルフ殿堂入り
2011年世界ゴルフ殿堂入りを果たした。03年樋口久子、04年青木功、05年岡本綾子に次ぎ4人目だった

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