ゴルフ情報の収集に余念がないゴルフ大好きライター鶴原弘高が、
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2016年6月記
ゴルフコラム 第5回

近鉄賢島カンツリークラブ

文/写真・鶴原弘高

近鉄賢島カンツリークラブには、あちこちにトーナメントを10年間開催していた余韻が残っている。ティショットは雄大な打ち下ろしで、セカンドから打ち上げとなるホールが多い。

USLPGAツアーの余韻を感じながらプレーできる、由緒正しきリゾートコース。

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プロが優勝を決めたメモリアルなショットを思い起こしながら、自分も同じ場所でプレーする。それがトーナメント開催コースでラウンドする最大の楽しみだと思う。

近鉄賢島カンツリークラブは、2006〜2015年までの10年間にわたってUSLPGAツアー「ミズノクラシック」(2015年度からTOTOジャパンクラシックに名称変更)の舞台となっていたゴルフコースだ。この大会は日本で唯一開催される全米女子プロゴルフ協会公式戦で、海外からも女子プロが参戦する大きなトーナメント。優勝者にはUSLPGAツアーカードが与えられ、過去大会では上田桃子プロが二度優勝し、米ツアー参戦の足がかりにした大会でもある。

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今年5月には「伊勢志摩サミット」が行われたので、テレビのニュースで伊勢志摩を目にした人も多いと思うが、関東出身の方が伊勢志摩と聞いても、いまひとつイメージが湧かないようだ。かくいう僕は大阪出身なので、伊勢志摩はなじみ深い場所。小学校の修学旅行の行き先は伊勢志摩であったし、ヒマな大学生だったときには、友だちと深夜にドライブに出掛けた記憶もある。関東出身の方は、静岡の伊豆をイメージしていただくといいと思う。伊勢志摩は、海が近くてリゾート感にあふれていて、付近の観光にも適した場所だ。

さて、ゴルフ場に話を戻そう。近鉄賢島カンツリークラブは、上田治がコース設計した1969(昭和44)年開場のゴルフ場だ。上田治が設計したコースは関西地方に多く、ゴルフコース好事家の間では、東の井上誠一、西の上田治と言われていて、コース造成の特徴から井上は「軟」、上田は「剛」と評されている。重機によって土を大きく動かしてコース造成する「剛」の上田治が設計し、トーナメントが行われていたコースと聞けば、難攻不落のコースのように思われるのだが、実際にラウンドしてみるとそうでもない。フェアウェイは比較的広く、ティグラウンドに立ったときにストレスを感じることはない。ティショットは雄大な打ち下ろしで、セカンドから打ち上げとなるホールが多いのも、ゴルファーにそう思わせる要因となっている。

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伊勢志摩は昔からのリゾート地であったから、リゾートコースとして上田治が精一杯のやさしさを演出したのだろう。ただし、グリーン周りだけは注意されたし。アゴの高さが2メートルを越えるバンカーが多く設置されていて、特に12番と14番のバンカーは深く、そこからグリーン面の見えないピンに対して寄せるのは至難の業。脱出できれば御の字だが、好スコアでラウンドしたいなら、バンカーには入れないようなコースマネジメントが必要になる。ここまで深いバンカーにはあまりお目にかかれないので、僕のように来場記念に入れておくのも一興ではあるが……。

開場当時の詳しい資料は、もうゴルフ場にも残っていないらしいが、大きなコース改造はこれまで行われていないと聞いた。女子トーナメントの開催が決まったときに、グリーンの芝をコーライからベントに変更し、17番のパー3に池を新たに造成したぐらいだという。この池が、このコースの唯一のウォーターハザードで、トーナメントでは宮里藍プロがここからウォーターショットを披露して、ギャラリーから喝采を浴びることになった。ラウンド時には、きっとキャディさんからもそんな説明が聞けるだろう。

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このコースのすべてのパー5には、女子プロの飛距離プレートが設置されているのも面白い。フェアウェイのあちこちにプレートが設置されているから、シリアスなゴルファーが目にすると煙たい顔をするかも知れないが、リゾートコースらしい演出で、僕は素直にいいと思った。「あの女子プロは、こんなに飛ばすんだね」などと語らいながら盛り上がれるはずだ。

伊勢志摩へは、クルマでも電車でも名古屋からは2時間弱、大阪難波からだと約2時間半は掛かる。近鉄特急の賢島行きに乗れば、終点の賢島駅からはタクシーで約3分。ぜひ、伊勢志摩へは2〜3泊して非日常を味わうゴルフ旅行をおすすめしたい。

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近鉄賢島カンツリークラブから徒歩圏内に「海辺ホテルプライムリゾート賢島」というリゾートホテルがあり、ラウンドがセットになった宿泊パックが用意されている。さらにクルマで15分ほどのところには姉妹コースの近鉄浜島カンツリークラブがあるので、趣の異なる両コースをラウンドするのがいいだろう。プレー以外の空いた時間には、すぐ近くのテーマパーク「志摩スペイン村」に立ち寄ってもいいし、伊勢神宮へもクルマで1時間圏内だ。

今年度からUSLPGAツアーの開催地は茨城県のゴルフ場に移ってしまったが、近鉄賢島カンツリークラブには、トーナメントを10年間開催していた余韻があちらこちらに残っている。そんな雰囲気に包まれながらも、気軽にリゾートゴルフを楽しめるのがいい。全国から訪れるゴルファーを、伊勢志摩の心地よい海風が待っている。

近鉄賢島カンツリークラブ(三重県)

つるはら ひろたか◎ゴルフライター。1974年、大阪府生まれ。フリーランスのライターとして男性誌などで活動後、30歳のときにゴルフの面白さに気づき、ゴルフ専業のライターに。最新クラブの試打評、ゴルフ場のレビュー記事など多岐にわたる分野で執筆を行っている。HDCPは7。