写真家が語る一枚のバックストーリー【2015年秋】

Back Story of the Photo

季節の一枚

兵庫県篠山市、洞光寺。大阪、三田(さんだ)のベッドタウンを過ぎると、徐々にのどかな里山の風景に変わっていく。

©Eddy Oomura

里山の紅葉

文・写真:エディ オオムラ

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“実りの秋”の取材で訪れた兵庫県篠山市。丹波の黒大豆やジビエなど旬の食材撮影を終え、最後に残ったのが紅葉風景。取材時はまだ色づきはじめだったため、出直して時季を待つことになった。

ようやく撮影のタイミングが訪れたある日の朝、自宅を出発した。目指すは紅葉の名所が点在する篠山城跡周辺だ。特に南北朝時代の古刹、洞光寺は池に紅葉が映り込み、とても情緒がある。薄曇りの空を、不安な気持ちで仰ぎながら車を走らせる。

大阪、三田(さんだ)のベッドタウンを過ぎると、徐々にのどかな里山の風景に変わっていく。そして「丹南篠山口I.C.」の標識が現れた頃、次第に晴れ間が差し、道の両側がぱあっと明るくなった。前の取材時には緑一色だった山々が、一面、オレンジ色に輝いているのだった。見渡す限り広がる山の紅葉。そのスケール感に驚き、思わず車を停めてシャッターを切りたくなった。しかし、ここは高速道路上……。後ろ髪を引かれる思いで車を走らせた。

写真は、山の紅葉とは対極の、鮮烈な“色彩”にフォーカスした一枚。

撮影地:兵庫県篠山市 洞光寺

エディ オオムラ◎1974年京都府生まれ。写真家。ハリー中西氏に師事後、2004年に独立し「Slide Studio」を設立。京都を拠点に雑誌、広告などで活動中。