PHEVはエコなだけじゃない
RAV4 GR SPORTが切り開く新境地

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文/善福寺正文 写真/トヨタ自動車

2026年3月9日(月)、新型トヨタ RAV4に待望のPHEV(プラグインハイブリッド車)が追加された。新世代のプラグインハイブリッドシステムは、満充電からのEV航続距離が従来型の約95kmから約150kmへと大幅に伸長。日常における移動の大部分を電気のみでまかなえるようになった。そしてスポーティーなスタイルと優れた操縦性能を兼ね備えた「GR SPORT」も新たなラインアップとして追加したことで、新型RAV4は多種多様なスタイルが見事に出揃った。

そんな新型RAV4の幅広いラインアップのなかで、PHEVはどのような立ち位置を占めており、どんな魅力と個性を備えているのだろうか?また、そもそもプラグインハイブリッドというシステムには、どのようなメリットとデメリットが存在しているのか?

新型トヨタ RAV4 PHEVモデルの特徴をひもときながら、トヨタ自動車とRAV4ブランドが切り開いた“新境地”を探っていく。

日常的な短・中距離の移動ならガソリンを一滴も使わない

トヨタ自動車が2025年12月に発売したSUV、新型RAV4に、待望のPHEV(プラグインハイブリッド車)が追加された。

PHEVとは、ガソリンと電気の両方を使って走るクルマのこと。HEV(ハイブリッド車)も、PHEVと同様にモーターとエンジンが搭載されたクルマだが、両者の最大の違いは「外部充電ができるかどうか」という点にある。

HEVは外部充電の機能を持たず、走行中にエンジンが発電したり、ブレーキをかけた際のエネルギーを回収(回生)したりして、内部で自動的にバッテリーへの充電を行う。それに対してPHEVは外部充電機能を持っており、なおかつHEVよりもはるかに大きな駆動用バッテリーに、充電した電気をたっぷり貯めておくことができる。そのためPHEVは、エンジンを使わずにモーターの力のみで比較的長い距離を走行できる。

2026年3月9日(月)に追加されたトヨタ RAV4のPHEVモデル。写真のグレードは「Z」で、ボディカラーはブラック×アバンギャルドブロンズメタリック。
PHEVはHEVと違って「外部充電」を行うことができる。新型RAV4 PHEVモデルの場合、200V/6kW(30A)の普通充電であれば約4時間30分で満充電に。
「Z(プラグインハイブリッド車 )」の運転席まわりはこのようなデザイン。走行モードセレクトスイッチにより、3つの走行モードを切り替えることができる。

そんなPHEVには「日常的な短・中距離の移動であれば、ガソリンをほとんど使わずに電気だけでこなせる」「大容量バッテリーは走るためだけでなく、電気を取り出して使うための巨大な蓄電池としても機能する」「BEV(電気自動車)と違ってガソリンで走行できるので、電欠による走行不能のリスクが低い」などのメリットがある一方、そのメリットを最大限享受するうえでは充電用設備が必要になったり、車両重量が増えるといった要因も存在する。

このあたりの損得を人それぞれの使用環境と照らし合わせながら、ユーザーはPHEVを選ぶか、それともHEVか、あるいはBEVにするかを決めていくべきだろう。

EV航続距離は約150km。外部電源としての利用も可能

今回の追加によって選べるようになった新型トヨタRAV4のPHEVは、ZとGR SPORTの2グレード。より売れ筋のグレードとなるだろうZのほうから説明すると、そのシステムは、世界トップレベルのエネルギー効率を実現した新世代プラグインハイブリッドシステムに、電池容量が大幅に向上した新開発の大容量電池を組み合わせたもの。システム最高出力は従来型の306PSを上回る329PSに達し、これによりRAV4らしい、力強い走りを楽しむことができる。

そして電池容量の増加と、電力ロスを低減するSiC(シリコンカーバイド)半導体という部材の採用により、満充電からのEV航続距離(WLTCモード)は従来型の約95kmから約150kmにまで伸長。通勤や毎日の買い物、あるいはちょっとした遠出まで、日常における移動の大部分は電気のみで行えるようになった。

新型RAV4 PHEVモデルに採用された新世代プラグインハイブリッドシステム。
新開発された大容量電池と新素材SiCを使ったパワー半導体により、EV走行距離と出力は大幅に向上。Z(プラグインハイブリッド車)のEV走行距離はWLTCモードで約150kmなので、通勤や毎日の買い物、ちょっとした遠出まで生活のほとんどをEVモードで移動できる(※一般社団法人日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」によれば、平日1日あたりの走行距離「50km以内」の人が9割以上)。

また新型RAV4のPHEVは給電機能により、アウトドアでの家電製品の使用など、大容量バッテリーに蓄えた電力を走る以外にも使えるということも大きな特徴だ。

ラゲージに設置されたコンセントを通じて、車内でさまざまな家電製品を使用できることに加え、付属のヴィークルパワーコネクターを普通充電インレットに挿し込めば、合計1,500Wまで対応する100Vの外部給電用コンセントとしても使用可能。

さらに停電・災害などの万が一の非常時にも、新型RAV4のPHEVは「電源」として活用することができる。トヨタ自動車のシミュレーションでは、満充電・ガソリン満タンの状態から消費電力400Wで供給した場合には約6.5日、給電日数を延長する「給電時間優先モード」を使用した場合には約7日※1の電力を供給できるというから、自然災害の多い国に住む人間としては、大いに安心できる部分である。
※1 社内シミュレーターでの試算値になります。

ラゲージルームに用意されているAC100V・1,500Wのアクセサリーコンセント。
標準で付属する写真上の「ヴィークルパワーコネクター」を普通充電インレットに挿し込めば、100Vの外部給電コンセントに早変わりし、合計1,500Wまでの電気製品を安心して使用できる。

かっこよさと機能性を両立させたGR SPORT

そして今回新たに設定されたGR SPORTは、新型RAV4 PHEVの圧倒的なパワーをドライビングプレジャーへと昇華させた一台だと言える。

意のままの走りと機能美が魅力となる「GR SPORT」。アルミホイールは軽量・高剛性な20インチで、レッド塗装されたGRロゴ入りブレーキキャリパーも標準装備。

まずエクステリアデザインの観点から言うと、機能美を追求したフロントリップスポイラーとウイングタイプのリヤスポイラーはシンプルにかっこいい!と言える造形だが、デザイン性だけを追求したものでは決してなく、車体が浮き上がる力を抑えるとともに、前後の空力バランスを徹底的に追求。コンピューター解析と風洞試験を重ねてつくり込むことで、高速域だけでなく低中速域でもダウンフォース(空気の流れによって、物体が下向きに押される力)を発生。これにより、日常的な速度域における操縦安定性も大幅に向上することになった。

フロントまわりのダウンフォース増加と車体下部の整流効果を高める専用フロントリップスポイラー。
フロントリップスポイラーとあわせて車体の前後バランスを追求し、ウイングの高さや形状などがミリ単位で追求された専用リヤスポイラーウイングと専用リヤサイドスポイラー。

さらにGRパフォーマンスダンパー(R)と、専用剛性アップパーツ「GRブレース」が装着されているというのも、新型RAV4 GR SPORTの大きな特徴だ。

GRパフォーマンスダンパー(R)とは、不快な微振動を吸収することで、乗車中の快適性を向上させるアイテム。ボディの前後に装着すると、走行中に生じるボディの変形を素早く収束し、車体の不快なねじれや不安定な挙動を抑えてくれるというパーツだ。そしてリヤサスペンションの補助フレームに「GRブレース」というさらなる補強パーツも組み合わせることで、新型RAV4の GR SPORTは、通常グレード以上にダイレクトな操舵感を味わえる一台となった。

車体そのものに減衰特性(振動を抑える力)を付与し、走行中に生じるボディの変形を素早く収束するGRパフォーマンスダンパー(R)。
写真上の青く囲まれた部分がGRブレース。リヤサスペンションメンバーという補助フレームにこれを装着することでボディ剛性はさらに強化され、直進安定性とダイレクトな操舵感が高まる。

またサスペンションは微低速域から摩擦を細かく制御し、最適な減衰力を発生させる専用チューニングのもので、電動パワーステアリングもGR SPORT専用チューニング。ドライブモードセレクトの「ノーマル&スポーツモード」では、より手ごたえのある操舵感や的確な操作性が味わえるようになっている。

PHEVならではのパワフルな駆動力をしなやかに受け止める専用チューニングサスペンション。
EPS(電動パワーステアリング)にもGR SPORT専用チューニングを施すことで、クルマとの一体感はより高まっている。

最大85万円のCEV補助金を含めて考えれば、車両価格も現実的

今回新たに設定されたPHEVは、高い走破性と、アウトドアでも大容量電力を利用できる給電性能を兼ね備えることで、新型RAV4が追求する「どこへでも行けそう、なんでもできそう」という価値観をさらに拡げることになったわけだが、そこにGR SPORTも加わることで、トヨタ自動車が標榜している「もっといいクルマづくり」は、さらなる進化を遂げたといえる。

もしも、さまざまな意味合いで世界トップ水準のSUVを自身の生活のパートナーにしてみたいと考えるならば、このたび登場したトヨタ RAV4のPHEVには、ぜひとも注目してみるべきだろう。

なお新型RAV4 PHEVの車両価格はZが600万円(税込み)で、GR SPORTが630万円(税込み)。お手頃とは評し難いプライスだが、実はRAV4 PHEVの購入時には、最大85万円のCEV補助金が国から交付される※。そこを加味して考えるのであれば、新型RAV4 PHEVの車両価格は意外と現実的なのだ。

左奥からZ(ハイブリッド車)とZ(プラグインハイブリッド車)、Adventure(ハイブリッド車)、そしてGR SPORT(プラグインハイブリッド車)というラインアップが出揃った新型RAV4。さて、あなたならどれを選ぶだろうか?

■トヨタ RAV4
https://toyota.jp/rav4/

※補助金額などの情報は、2026年5月現在のものです。

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