吉田直樹の『アイアンショット・バイブル』
VOL.5 切り返し~フィニッシュを学ぼう

Lifestyle

主に地面の上から打つことが多く、ライや芝の状況などにショットの成否が左右されやすいクラブがアイアン。でも、ボールに対してしっかりコンタクトするテクニックを身につければ、ミスが激減し、グリーンをとらえる確率も飛躍的にアップします。谷原秀人プロ、上井邦裕プロ、小祝さくらプロ、脇元華プロらを指導する吉田直樹コーチが、切り返しからフィニッシュまでの体の動きを教えます!

撮影協力/アクアラインゴルフクラブ(アコーディア・ゴルフ)





ダウンでさらに左足に荷重していく

VOL.3、VOL.4と2回にわたって、テークバックでの体と腕の使い方をお伝えしました。
今回は、トップからの切り返し、そしてインパクトを経てフィニッシュに至るまでの動作を説明します。

テークバックで右肩と右腰を左肩の上方向に、切り上げるように回す。
同時に、右肘を胸の前からほぼ動かさないように両腕を上げ、左腕も右腕も時計回り(自分から見て)に回す。
このような正しいトップの形が作れていれば、体重配分は「左7:右3」または「左8:右2」になっているはずです。

ここからクラブを切り返していくのですが、ダウンではさらに左下方向に(左足に荷重するように)踏み込んでいきます。
左足外側と左腰が一直線になるイメージ。または、胸骨が左に少し移るイメージでもいいでしょう。

左足に体重が乗ったトップから、ダウンではさらに左下方向に踏み込んでいく
左足外側と左腰が一直線になるイメージを持つ

踏み込んだ後に、跳ね上げる

このときに気をつけたいのは、肩も腰も、右サイドが高くなっているアングルを保つこと。
正しいトップの形では、左足に体重が乗り、力のベクトルは左下に向いています。ところが、切り返したときにベクトルが変わると、力がほどけて体は伸び上がってしまいます。
なので、ダウンではさらに左下に踏み込んでいくのですが、このとき、頭の位置が少し下がってもかまいません。

右サイドが高い肩・腰のアングルをダウンでもキープする
左サイドが高くなると力がほどけ、体が伸び上がってしまう

ダウンで左下に踏み込み、ハーフウェイダウン(クラブが腰の高さまで下りてきたあたり)からは、左肩と左腰を左上に跳ね上げる動作になります。左腰と左肩が左上に引っ張られる感じです。

ハーフウェイダウンからは左上(グリップエンドの方向)に左腰と左肩を跳ね上げる

トップの位置はコンパクトに収まっているので、少し踏み込んだらもう跳ね上げる動きに入るイメージでOKです。

左下に踏み込んで沈む動作がないまま、いきなり跳ね上げると体が反ってしまいます。これではパワーがボールに伝わらないので、「一瞬左下を踏んで、跳ね上げる」という順序を守ってください。

ダウンはまず左下に踏み込んだ後、左上に跳ね上げていく

左手1本ドリルで踏み込みを覚えよう

踏み込みの動作をマスターするドリルを紹介します。

左手1本でクラブを握り、正しいトップの形を作ります。
ダウンに入って左下を踏み込み、右肩がずっと高いままの状態でインパクトするイメージで素振りをします。

左手1本でクラブを持ってトップを作る。右肩がずっと高いままインパクトを迎えるイメージで素振り

このとき、左肩が上がってしまうと、右足体重になってヘッドはボールの手前に落下してダフリになります。
逆に、右肩が高いままなら、ヘッドの最下点はボールの先に来ます。

左肩が上がると右足体重になり、ダフる

左手1本で行うのは、両手で持つとどうしても右手で打ちに行き、タメがほどけてしまうからです。
また、左手だけでクラブを持つと、トップでシャフトが右(飛球線後方から見て)を向き、ターゲットラインとクロスする「シャフトクロス」の形にはなりません。シャフトがターゲットラインより左を向く「レイドオフ」を作ることができ、ダウンもシャローに入ってきてクラブが立つ理想の動きが身につきます。

なお、このドリルでは左腰・左肩の跳ね上げは意識しなくてけっこうです。というのも、アマチュアの方はほぼ絶対と言っていいくらい、右肩が下がってしまうからです。
なので、右肩がずっと高い感じを維持したままの素振りで、ボールの先に最下点が来る感覚を学んでください。

伸び上がりは気にしなくていい

このドリルで踏み込みの感覚をつかんだうえで、跳ね上げの動きを取り入れるといいでしょう。

踏み込みと跳ね上げができれば、自ずと全身が一直線になったフィニッシュになって、背中もお辞儀をしたときのように丸まらず、反った綺麗な形になります。

実際にこのスイングを行うと、体が伸び上がっているように感じる方もいるかもしれません。
ところが、USPGAツアーの9割の選手は、とくにピッチショットなど短い距離になればなるほど伸び上がるというデータがあります。 伸び上がるのが悪いといわれるのは、切り返し直後で伸び上がるからダメなんです。左下への踏み込みがあって成立する動きなのです。

レッスンでよく見るようになった「地面反力」という言葉があります。
これは、地面を踏み込んだときに、地面から返ってくる力のことで、まさに「踏み込み」と「跳ね上がり」を意味しているのです。

「踏み込み」でボールの先の芝を取るハンドファーストのインパクトを作り、「跳ね上がり」で地面反力を使ってパワーを生む

吉田 直樹(よしだ なおき)

幼少期から過ごしたアメリカ・ニューヨークでゴルフを始める。オーストラリアの大学で5年間、オーストラリア女子ナショナルチームのコーチに師事。その後、アジア、日本、アメリカでプロツアーを転戦しながら世界のトップコーチからレッスンを受ける。2014年、兵庫県芦屋市にインドアゴルフ練習場『ゴルフ ラ・キンタ』をオープン。現在は谷原秀人、上井邦裕、小祝さくら、脇元華など男女ツアープロを指導している。

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