温泉地を目指すドライブ旅名湯へ、ハンドルを切る。

Travel

写真提供:箱根湯寮

Text:Reico Watanabe
Edit:Yasumasa Akashi(pad inc.)

温泉を目的地に、少し遠くまでクルマを走らせてみる。山道の先に待つ湯、湖を望む露天風呂、歴史ある温泉街の路地・・・目的地へ向かう道のりも、その土地で過ごすひとときも含めて旅になるのが、温泉ドライブの魅力です。

東京から箱根へ、名古屋から下呂へ、大阪から有馬へ。いずれも東京・名古屋・大阪から訪ねやすく、それぞれに異なる個性をもつ名湯です。湯に浸かり、土地の景色を眺め、街を歩き、その土地の料理に舌鼓を打つ。次の休日は、気になる温泉町を目指してでかけてみませんか。

箱根温泉
森と湖に囲まれた温泉郷で、自分好みの休日を

白煙が立ち上る大涌谷。荒々しい山肌と噴煙がつくり出す、ダイナミックな風景が広がります。温泉とともに周辺を巡れば、場所ごとに異なる風景に出合えます。

東京からクルマで約2時間。都心を離れ、山道を上って行くにつれて景色が変わり、やがて豊かな森に包まれる箱根。箱根湯本、強羅、仙石原、芦ノ湖畔など、エリアごとに異なる表情をもつ温泉郷です。

芦ノ湖畔では湖越しの山並みを眺め、箱根神社へ足を延ばしたり、大涌谷で噴煙が立ち上る火山景観に出合ったり。美術館などの文化施設も点在しているため、温泉と組み合わせる行き先を選びやすいのも特徴です。森の中で湯に浸かるか、湖を望む露天風呂へ向かうか、それとも宿を目的地にするか。自然、温泉、文化を一日の中でつなげられる箱根なら、休日の過ごし方にも幅が生まれます。

癒やされる森に包まれ、里山の湯へ
箱根湯寮

古民家を思わせる木造の意匠と、周囲を包む木々。大浴場「本殿 湯楽庵 大湯」では、内湯のほか露天風呂や「信楽風呂」、「見晴湯」などで湯浴みを楽しめます。

箱根湯本の山あいにたたずむ「箱根湯寮」は、古民家風の建物が里山の景色に溶け込む日帰り温泉施設。大浴場「本殿 湯楽庵 大湯」には内湯や露天風呂、信楽風呂、サウナなどを備え、貸切個室露天風呂「離れ湯屋 花伝」も用意されています。湯だけでなくお食事処や休息房、リラクゼーションも揃い、箱根湯本で温泉を目的に立ち寄る一軒として使いやすい施設です。

貸切個室露天風呂「離れ湯屋 花伝」は全19室。露天風呂と冷暖房完備の休憩室がひと部屋になっており、周囲を気にせず湯浴みをしたいときに向いています。浴槽も切り石や岩、陶器、羽釜風呂など一室ごとに趣が異なります。
湯上がりには、囲炉裏を囲む「囲炉裏茶寮 八里」へ。川魚や国産鶏、季節の野菜などを炭火で焼く囲炉裏料理が、山あいの温泉情緒を引き立てます。湯、食、里山の景色をひとつの場所で味わえるのが、この施設の大きな魅力です。

箱根湯寮

住所:神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤4
アクセス:西湘バイパス・小田原箱根道路・箱根口I.C.から約10分
駐車場:あり(92台・無料)
公式WEBサイト:https://www.hakoneyuryo.jp

眺める芦ノ湖の向こうに、富士を望む
絶景日帰り温泉 龍宮殿本館

芦ノ湖と富士山を望む立地を活かした「絶景日帰り温泉」。観光の合間に立ち寄るだけでなく、湖畔を訪ねる目的のひとつとして組み込みたい温泉です。

芦ノ湖畔に立つ「龍宮殿本館」は、湖を望むロケーションと歴史的な建築美をあわせもつ日帰り温泉施設です。建物は1938年に浜名湖畔で誕生したホテルを1957年に芦ノ湖へ移築したもので、2017年に日帰り温泉施設としての営業を開始。国の登録有形文化財にも登録されています。湖畔の自然を前にした湯浴みと、昭和初期の和風建築。その両方に触れられるのが、この施設を訪ねる理由のひとつです。

浴場の正面に広がる芦ノ湖と、その先に連なる山々。天候に恵まれれば富士山も望めます。男性風呂にはフィンランドサウナ、女性風呂にはスチームサウナも備えています。
京都・宇治の平等院鳳凰堂をモデルに設計された龍宮殿。欅や檜を使った建築は、翼廊や屋根の曲線にも趣があり、浴場へ向かう前から歴史を伝えます。

絶景日帰り温泉 龍宮殿本館

住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根139
アクセス:西湘バイパス・小田原箱根道路・箱根口I.C.から約30分
駐車場:あり(100台・無料)
公式WEBサイト:https://www.princehotels.co.jp/ryuguden/honkan/

くつろぐ足湯、焚き火、本に囲まれて
箱根 ゆとわ

客室はホテルタイプに加え、コンドミニアムタイプも用意。コンドミニアムは温泉ビューバスを備え、宿での滞在そのものを旅の目的に据えられます。

強羅にある「箱根 ゆとわ」は、温泉と館内のパブリックスペースを組み合わせた和モダンなホテル。東棟、西棟、コンドミニアム棟の3棟で構成され、ホテルタイプとコンドミニアムタイプの全72室から、旅のスタイルに合わせて客室を選べます。夕・朝食付きの宿泊プランはオールインクルーシブ形式で、レストランやラウンジのドリンクなども料金に含まれます。強羅を観光したあと、宿へ戻ってからの過ごし方まで考えたくなる一軒です。

ウッドデッキの「ナカニワ」には、自家源泉を使った足湯と焚き火炉、スウィングチェアを配置。湯上がりに火を眺めながら、屋外の心地よさに身をゆだねられます。
「ライブラリー」には約700冊の蔵書を用意。ラウンジではドリンクを片手にページをめくることも。観光の予定を詰め込まず、宿の中で過ごす時間を充実させる仕掛けが揃います。

箱根 ゆとわ

住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300-27
アクセス:西湘バイパス・小田原箱根道路・箱根口I.C.から約30分
駐車場:あり(42台・宿泊者無料)
公式WEBサイト:https://www.hakoneyutowa-hotel.jp

下呂温泉
飛騨川沿いの温泉街で、名湯と飛騨の味を辿る

飛騨川を挟んで山々と温泉街が広がる下呂。橋を渡り、足湯に立ち寄り、坂道の店をのぞきながら歩けば、湯の町らしい風情が見えてきます。

兵庫の有馬、群馬の草津と並ぶ「日本三名泉」のひとつに数えられる下呂温泉。飛騨川沿いに温泉街が広がり、川の流れと周囲の山々を眺めながら歩けます。飛騨牛をはじめとする飛騨の味覚も旅の楽しみ。アルカリ性単純温泉のなめらかな湯は、古くから「美人の湯」として親しまれてきました。下呂の温泉街には足湯も点在し、加盟旅館の湯を3軒まで利用できる「湯めぐり手形」も名物ですが、旅館ごとに利用時間や休館日、駐車場の扱いなどが異なります。特にマイカーで訪れる場合は、利用前の確認が欠かせません。

今回は湯めぐりを宿泊の中に取り入れるスタイルをご紹介します。宿を拠点に温泉街を歩き、宿の湯に戻り、夕食には飛騨の料理を囲む。下呂では、名湯と土地の風景を一泊の流れで辿ってみたいものです。

浸かる老舗旅館で、趣の異なる三つの湯へ
水明館

山水閣1階の「野天風呂」は庭園の緑に囲まれた野趣ある造り。臨川閣3階の「下留の湯」は檜をふんだんに使った宿泊者専用の浴場です。

飛騨川を望む「水明館」は、1932年創業の老舗旅館。臨川閣、飛泉閣、山水閣、離れ青嵐荘の4館からなり、館内には3つの大浴場を用意しています。宿泊者は3つすべてを利用できるため、浴場を移るたびに異なる趣に出合えるのが魅力。日本庭園や能舞台、茶室なども備え、温泉だけを目的にせず、館内そのものを旅の一部として捉えたい宿です。

飛泉閣9階の「展望大浴場」は、大きな窓の向こうに下呂の街並みと飛騨の山々を望む浴場。夜には温泉街の灯りが浮かび、昼とは違った表情になります。
館内には能舞台や茶室、絵画などの美術作品も。館内ツアー*では、館内の芸術作品や匠の技が活かされた施設を案内しています。
*都合によりツアーの実施がない日もあります。

水明館

住所:岐阜県下呂市幸田1268
アクセス:中央自動車道・中津川I.C.から約1時間
駐車場:あり(200台・無料)
公式WEBサイト:https://www.suimeikan.co.jp/

巡る高台から温泉街を望み、館内の湯を渡り歩く
ホテルくさかべアルメリア

15階建ての建物は、山の斜面に沿って1~8階が段状に造られ、8階にも玄関があります。8階には湯上がりサロンや卓球場、カラオケなども集まり、館内での過ごし方が広がります。

下呂温泉街を見下ろす高台に立つ「ホテルくさかべアルメリア」は、山の斜面に沿って段状に広がる大型ホテル。和室や洋室、アジアンリゾートタイプから露天風呂付きスイートまで、幅広い客室をそろえています。温泉だけでなく、レストランやカラオケ、卓球場など館内施設も多彩。温泉街へでかけたあと、宿へ戻って館内でも一日を満喫できる、リゾートホテルらしい構成です。

8階にある総檜造りの展望露天風呂「花見月の湯」。下呂の温泉街を見下ろし、周囲の山々まで視界に収める開放的な大浴場です。
2階の「クアカーディナル『湯の森』」には、ジェットバスやサウナなどを備えています。展望露天風呂とは趣の異なる、明るく機能的な湯処です。

ホテルくさかべアルメリア

住所:岐阜県下呂市幸田1811
アクセス:中央自動車道・中津川I.C.から約1時間
駐車場:あり(150台・無料)
公式WEBサイト:https://www.armeria.co.jp/

味わう畳敷きの大浴場と、飛騨の料理に舌鼓
下呂温泉 小川屋

100帖もの広さをもつ「白鷺の湯」の「畳風呂」は、小川屋を象徴する浴場。畳を敷いた床は滑りにくく、足もとに柔らかな感触が伝わります。

飛騨川のほとりに立つ「下呂温泉 小川屋」は、70年以上にわたり下呂温泉を支えてきた老舗旅館です。東海地方最大級という100帖の畳風呂をはじめ、3カ所5種類の大浴場と9つの貸切風呂を備え、“館内で湯めぐり”が可能。2022年には「白鷺の湯」がリニューアルされるなど、伝統を守りながら新しい設備も取り入れています。飛騨川を望む立地と飛騨の食材を活かした料理も含め、宿泊先として腰を据えて選びたい宿です。

露天風呂「河鹿の湯」など、館内には趣の異なる浴場が揃います。別館「ゆらぎ」には7つの貸切風呂もあり、好みに合わせて湯処を選べます。
飛騨の食材を取り入れた料理も「下呂温泉 小川屋」の魅力。湯でからだを温めたあと、土地の味を囲む。温泉宿に泊まるからこそ生まれる、下呂の夜の一場面です。

下呂温泉 小川屋

住所:岐阜県下呂市湯之島570
アクセス:中央自動車道・中津川I.C.から約1時間
駐車場:あり(80台・無料 ※日帰り入浴の方は有料駐車場をご利用ください。)
公式WEBサイト:https://www.gero-ogawaya.net/

有馬本温泉
金泉・銀泉をたどる、日本最古級の名湯

坂道や路地に土産物店、飲食店が連なる有馬の温泉街。湯本坂を歩けば、古くから続く湯の町の風情と、現在の有馬のにぎわいが交差します。

大阪からクルマで約1時間。六甲山地の山あいに、坂道や路地が入り組む有馬温泉の街が広がっています。日本三古泉・日本三名泉の両方に数えられる古湯で、豊臣秀吉ゆかりの温泉地としても知られます。

有馬温泉を特徴づけるのが、金泉と銀泉というふたつの湯。鉄分と塩分を含み、赤褐色を呈する金泉に対し、銀泉は無色透明。銀泉には炭酸泉とラジウム泉があります。金の湯と銀の湯、ふたつの外湯をはじめ、日帰り温泉施設や宿も揃い、湯の個性を比べながら街を歩けます。湯本坂には土産物店や飲食店が並び、炭酸せんべいなどの名物を探すのも一興。時間があれば六甲山へ足を延ばすこともできます。温泉、街歩き、歴史、食を一日の流れに組み込みやすいのが有馬です。

過ごす金泉・銀泉を巡り、一日を湯に預ける
太閤の湯

金泉・銀泉・人工炭酸泉を使った浴槽が館内に点在。26種類の風呂と岩盤浴を備え、一度の入館で有馬の湯を多角的に体験できます。

有馬温泉で温泉を主役に一日を過ごすなら「太閤の湯」へ。金泉・銀泉に加えて人工炭酸泉を使った浴槽、露天風呂、岩盤浴、サウナなど、26種類の風呂と岩盤浴を備える温泉施設です。館内には、お食事処や休憩スペース、リラクゼーションも揃い、入館後は館内着で湯と休息を行き来できます。隣接する「有馬きらり」への宿泊と組み合わせれば、有馬を一泊で訪ねるプランにも組み込みやすいでしょう。

岩盤浴や蒸し風呂、サウナなども用意。浴場を出てから休憩処でひと息ついたり、食事を挟んだりと、館内で過ごし方を組み立てられます。
安土桃山時代をイメージした和風建築の佇まいが印象的な「太閤の湯」。外観にも、日本の伝統美を取り入れた意匠が施されています。

太閤の湯

住所:兵庫県神戸市北区有馬町池の尻292-2
アクセス:阪神高速道路7号北神戸線・有馬口I.C.から約10分
駐車場:あり(200台・入館後4時間まで無料)
公式WEBサイト:https://www.taikounoyu.com

有馬きらり

住所:兵庫県神戸市北区有馬町池の尻292-2
アクセス:阪神高速道路7号北神戸線・有馬口I.C.から約10分
駐車場:あり(200台・宿泊当日と翌日は無料)
公式WEBサイト:https://www.arima-view.com/onsen/

知る赤褐色の金泉に浸かり、有馬の歴史をたどる
有馬本温泉 金の湯

鉄分と塩分を含む金泉は、空気に触れることで赤褐色に。浴槽いっぱいに広がる独特の色合いが、有馬の湯を象徴しています。

温泉街の中心に位置する「金の湯」は、有馬を代表する金泉を気軽に体験できる日帰りの外湯です。赤褐色の湯が浴槽を満たす姿は、有馬に来たことを実感させてくれる象徴的な光景。男湯「一の湯」は竹、女湯「二のゆ」は瑞宝寺公園の紅葉をモチーフにした空間で、どちらにも「あつ湯(44℃)」と「ぬる湯(42℃)」があります。

有馬の温泉街にたたずむ「金の湯」。周囲の坂道や路地とともに眺めれば、古くから湯治場として栄えてきた有馬の風情が伝わります。
建物横には「太閤の足湯」を併設。無料で金泉に足を浸せるため、温泉街の散策途中に立ち寄るスポットとしても便利です。

有馬本温泉 金の湯

住所:兵庫県神戸市北区有馬町833
アクセス:阪神高速道路7号北神戸線・有馬口I.C.から約10分
駐車場:なし(近隣の有料駐車場を利用)
公式WEBサイト:https://arimaspa-kingin.jp

入り比べる透明な銀泉で、もうひとつの有馬へ
有馬温泉 銀の湯

浴室は、豊臣秀吉が入ったとされる岩風呂をイメージした造り。秀吉やねねが入ったと伝わる蒸し風呂をモチーフにしたサウナも設けられています。

「銀の湯」は、金の湯と並ぶ有馬温泉の代表的な外湯。炭酸泉とラジウム泉を含む銀泉を利用し、赤褐色の金泉とは対照的な無色透明の湯が特徴です。神社や寺が集まる寺町界隈に合わせた和風のたたずまいも印象的。金の湯から街を歩いて訪ねれば、同じ有馬温泉でも異なる湯と風景に出合えます。

銀泉は無色透明の湯。炭酸泉とラジウム泉を利用し、スチーム式サウナも備えています。金泉とは異なる湯の表情を確かめられる外湯です。
寺町界隈の雰囲気に合わせた和風の外観も銀の湯の見どころ。金の湯から徒歩で向かい、温泉街の路地を歩きながらふたつの外湯を回るのもおすすめです。

有馬温泉 銀の湯

住所:兵庫県神戸市北区有馬町1039-1
アクセス:阪神高速道路7号北神戸線・有馬口I.C.から約10分
駐車場:なし(近隣の有料駐車場を利用)
公式WEBサイト:https://arimaspa-kingin.jp

次の休日は名湯へ

灯りがともる夜の温泉街をそぞろ歩く。湯上がりの余韻とともに、旅の夜が静かに深まります。

森と湖に囲まれた箱根、飛騨川沿いに温泉街が広がる下呂、歴史ある坂道とふたつの湯が待つ有馬。どの温泉地にもそれぞれに違った休日の描き方があります。

観光地を巡るだけでなく、宿を目的地にして湯に浸かり、街を歩き、土地の料理を囲む。そんなふうに一日の余白まで含めて行き先を選べば、温泉旅はもっと自由になるはずです。次の休日は、いつもより少し遠くの名湯へ。目的地を決めたら、ハンドルを握ってでかけてみませんか。

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※日帰り温泉施設のご利用・ご予約については、各施設へ直接お問い合わせください。

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