気になるトヨタ車エキスパートに聞く、RAV4 PHVのアウトドア的活用術 text:Koji Ozawa　photos:Takashi Imai
camp styling:Miho Higashi
撮影協力:ホウリーウッズ久留里キャンプ村

2021.07.15

昨年、人気のため一時販売を休止していたRAV4 PHVが販売再開。電気自動車としても使えるプラグインハイブリッドシステムが魅力だが、強力な給電システムにはキャンパーからも熱い視線が注がれています。今回は人気女子ソロキャンプYouTuber、natsucampさんを招き、小沢コージとともにその実力を試してもらいました。

natsucampさん

女子ソロキャンプYouTuber。第1回ソロキャンプ女王決定戦（2019）で優勝。ひとりでキャンプし、ご飯を作って、お酒を楽しむスタイルが人気。その様子は、著書『ソロキャンごはん』（学研プラス）に。YouTube：natsucamp

小沢コージ

神奈川県横浜市出身。自動車メーカー勤務を経て1990年に二玄社に入社し、自動車情報誌『NAVI』の編集に携わる。1993年にフリーランスとして独立後、現在は「バラエティ自動車ジャーナリスト」という肩書きも持つ。

ドライヤーも使える‼
女子ソロキャンパーも納得するこれぞ理想のキャンピングSUV！

小沢: はじめましてnatsucampさん。まず肩書から教えてください。
natsucamp: 一応、女子ソロキャンパーとしてYouTubeやってます。
小沢: おお、ついにYouTuber登場か！　チャンネル登録者数はどれくらいいってるんですか？
natsucamp: もうすぐ10万人です。
小沢: すごい。でもなぜYouTube、しかも女子ソロキャンプ専門の。
natsucamp: 元々アウトドア用品を取り扱う会社に勤めていたんですけど、商品の説明のためYouTube 見て勉強してたら自分でもやりたくなって。オジサンたちが焚き火しながらお酒飲んでるのが羨ましくて（笑）
小沢: わかる。僕もnatsuさんの動画観ましたがメチャクチャ気持ちよさそう。natsuさん自慢のキャンプ料理も美味しそうだけど、ご自身が本当に美味しそうに食べてて見てるだけで癒される（笑）
natsucamp: 実際、外にいるだけで全部美味しくなりますから。本当にそれだけをしに来てる感じ。
小沢: 女子ソロキャンパーがクルマに求めるものってなんです？
natsucamp: 基本は積載能力ですね。私は普段、軽のハイトワゴンを使ってるんです。ときどきDIYしたベッドで車中泊もします。もちろんふたりなら狭いでしょうけど。
小沢: そんななか、RAV4 P HVを見てどう思いました？
natsucamp: やっぱり最大1500W使える家庭用電源ですね。普段私はクルマにポータブル電源を積んでスマホやランタンを充電するんですが、それがなくていい。あとキャンプ場って意外に夜寒くなったり、夏暑くなることもありますが、エンジン音やバッテリー残量を気にせずにエアコンかけられるからすごい！って思いました。
小沢: RAV4 PHVがいいのは18・1kWhというピュアEVの約半分の巨大電池を積んでることで、フル充電状態からモード走行で95km走れるのはもちろん、止まった状態なら最大1500Wの電力を連続約7時間、400W程度なら20時間くらい使えますから。
natsucamp: えっ、ヤバーい！　一晩どころか丸一日じゃないですか。
小沢: まったくその通りで、しかも600Wのセラミックヒーターを同時にふたつどころか、ちょっとした業務用電子レンジまで使えます。もちろんキャンプに電子レンジは少し便利過ぎますが、natsuさんなら何を使います？
natsucamp: 私、キャンプ場でヘアアイロンとか使うんですけど、ヘアドライヤーもあったらうれしいです。キャンプ来て、地元の温泉行ってもドライヤーがなかったりして。
小沢: それどころかエンジン回しながらの発電ならば、ガソリン満タンから丸三日もつという話も。
natsucamp: そりゃ、災害時にもメチャクチャ役に立ちますよね。
小沢: 災害時はもちろん、RAV4 PHVを本気で使い込んだらキャンピングスタイルが変わると思うんですよ。どこまで楽するかは悩みどころですが、グランピングみたいな感じで、プロジェクターでこどもと映画を観たり、電磁調理器で料理したりできちゃう。焚き火なしはキャンプ的にはツマラナイけど。
natsucamp: 幅が広がりますよね。

“本気で使い込んだら、
キャンピングスタイルが変わると思いますよ”

natsucamp: その分、価格は？
小沢: 安くはないです。同程度の装備のガソリンエンジン版RAV4の約80万円高で、469万円から。
natsucamp: えー、普通に600万円を超えるのかと思ってた。乗り心地は高級車のようでしたし、内装も革張りで豪華なので。
小沢: そうなんです。RAV4 PHV、SUVとしたら安くはないですが半分EVと考えたら安いし、装備も充実。電池や充電器を床下やシート下に備えている割に、ラゲージや後席が狭くなってない。ついでに総合出力も222PSから3 06PSに強化されて速くなってる。
natsucamp: ちなみに完全な電気自動車とプラグインハイブリッドってどっちが人気なんですか？
小沢: そこは好みもありますが、大抵は電気自動車のほうが高価です。
natsucamp: ってことは電気自動車よりちょっとコスパがいい感じ？
小沢: コスパは難しいところですがPHVがいいのは家庭用電源で充電できるうえ、充電が面倒だとか時間がない時にはガソリンだけで走れちゃうことです。そしてEVで避けられない電欠も避けられる。しかもガソリンだけ使って走らせてもモード燃費で22km/L台、実燃費も20km/L近くいきます。最低でも15km/L以上はいくでしょう。
natsucamp: それ、普通の軽ワゴンよりいいくらいじゃないですか。そんなん聞いたら欲しくなる。精悍な顔もかわいく見えてきました（笑）
小沢: マジメにソロキャンプ生活、変わっちゃうかもですよ（笑）

左）ラゲージには最大1500W（AC100V）のアクセサリーコンセントを標準装備。アウトドアでの使用はもちろん、万一の停電・災害時などにも役立つ。右）ボディ側面にはプラグインハイブリッド車を示すエンブレムを備える。

普段からひとりキャンプを楽しむnatsucampさん。テントや寝袋、キャンプテーブルやチェアをクルマに載せて各地を訪れ、キャンプの様子を動画に記録している。ワンポールテントを張り、こだわりのスパイスや調味料を詰め込んだスパイスボックスを開き、いろいろなキャンプ飯に挑戦。大好きなお酒に合うツマミもダッチオーブンやスキレットを駆使して作る。次のキャンプを思い描き、準備して実行する。その過程も楽しいと話す。最近、新たにハマっているのが車中泊。車内を過ごしやすく飾り、ひとりキャンプで食べて飲む。しかし車中は火気を使えないため電磁調理器を使う。「1,000Wや1,400Wのものもあるので、RAV4 PHVなら車中泊もさらにはかどりそう！」と想像を膨らませている。

RAV4 PHV
Specifications

サイズ: LACK TONE 全長4,600mm×全幅1,855mm×全高1,695mm
G、G“Z” 全長4,600mm×全幅1,855mm×全高1,690mm
乗車定員: 5名
ハイブリッド燃料消費率: 22.2km/L（WLTCモード、国土交通省審査値）
充電電力使用時走行距離: 95km（プラグインレンジ、国土交通省審査値）
EV走行換算距離: 95km（等価EVレンジ、国土交通省審査値）
交流電力量消費率: 155Wh/km（WLTCモード、国土交通省審査値）
電力消費率: 6.45km/kWh（WLTCモード、参考値）
エンジン: 形式：A25A-FXS
総排気量：2.487L
最高出力（ネット）：130kW（177PS）/6,000r.p.m.
最大トルク（ネット）：219N・m（22.3kgf・m）/3,600r.p.m.
フロントモーター: 型式：5NM
最高出力：134kW(182PS)
最大トルク：270N・m(27.5kgf・m）
リヤモーター: 形式：4NM
最高出力：40kW(54PS)
最大トルク：121N・m(12.3kgf・m)
メーカー希望小売価格: 469万円～539万円（税込み）

ボディ側面、後輪のうえに備えられた充電インレット。200V/16Aと100V/6Aのふたつの方法で充電できる。100Vなら専用の配線工事をせずとも充電できる。

ハイブリッド車やガソリン車など
いろいろ選べる「RAV4」

「アウトドアでも、アーバンシーンでも、見て、乗って楽しいクルマ」をテーマに、1994年に登場したRAV4。現在はPHVの他に、ハイブリッド車とガソリン車もラインナップしている。2019年に登場した現行モデルは、八角形をコンセプトに、精悍さを増した外観デザインを持ち、SUVらしい力強い走破性も魅力だ。多彩なグレードやボディカラーから好みの一台を探すのも楽しい