Carbon neutral advocated by Toyotaカーボンニュートラル社会の実現に向けてバッテリーEVを発表 Text:Daisuke Katsumura
昨年末にトヨタ自動車が発表したバッテリーEV戦略では、カーボンニュートラルへの取り組みと合わせて近い将来発売されるEVのラインナップが紹介されました。その多くが市販を見据えた現実味のある車両で、発売が待ち遠しばかりです。そこでこれら新しいEV車ファミリーをじっくりと見ていきましょう。
近い将来を見据えたカーボンニュートラルへの取り組み
世界は2050年までに掲げた「温室効果ガスゼロ」への活動へ向けて、大きく舵を切っています。その目標を達成するための指針のひとつが「カーボンニュートラル」です。これは、人工的に発生させている二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。工場や家畜、民家などからの排出の削減に加え、自動車から発生する二酸化炭素の排出にも大きな期待がかかっています。
そんな時世の中、トヨタ自動車は早くからカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおり、昨年末に発表されたバッテリーEV戦略では、2030年までに大小さまざまな30種類のバッテリーEVをラインナップするという目標を発表しました。また、これに合わせてバッテリー自体の性能向上やコスト削減にも取り組んでおり、電池製造コストを30%以上削減、車両電費の30%向上などを目標とすることで、一台あたりの電池コストを50%削減できるそうです。
未来を見据えた17台ものバッテリーEVをお披露目
そして今回の発表に合わせてTOYOTAとLEXUS合わせてなんと17台ものバッテリーEVが発表されました。そんな中でも中核を担っていたのが、市販に向けて動き始めたbZ4Xを筆頭にしたbZシリーズです。bZシリーズは「beyond ZERO(ゼロを超えた価値)」を目指した専用プラットフォームを持つ次世代のバッテリーEVです。今回発表されたTOYOTAブランドとして発表した13台のバッテリーEVのうち、実に5車種がbZシリーズでした。
その中でも先陣を切り、今年中に発売を予定しているbZ4Xは、兄弟車である86とBRZをそれぞれがリリースするなど協業関係にあるSUBARUとの共同開発されたモデルです。トヨタの持つ優れたEV技術とSUBARUのAWD技術「X-MODE」を組み合わせた本格的SUVタイプのEVとなります。SUBARUと共同開発したe-TNGA EV専用プラットフォームを採用することで、ガソリン車では難しかったロングホイールベース化を実現。これによってDセングメントセダンに比肩する広い室内空間を実現しています。
bzシリーズの中でも最もコンパクトなのが、この”bZ Crossover”と説明されている一台です。他の車両と比較する限り、ヤリスよりもコンパクトであると思われます。外観を観察すると5ドアハッチバックながらボンネットが短かめなので、車内は車格に対してかなり広そうです。コンパクトな車両である以上、バッテリーの搭載スペースも限られてきますが、バッテリーの高効率化によって、現実的な航続距離を確保できることが予想されます。
もちろん今回のラインナップ紹介では、4ドアのセダンも紹介されています。それがこの「bZ SDN」と紹介された車両です。こちらは周囲の車両と比較するとかなり大型のセダンのようです。ミライのようなティアドロップ型のキャビンに、ホイールベースの長い車体を組み合わせることで、居住空間はかなり広そうです。特にリアシートはレッグスペースも広く、かなり広く快適な空間であることが予想できます。
bZシリーズ以外にも魅力的なEVを発表
ここからはbZシリーズ以外の車両も見ていきましょう。まずはこちらの車両。画像には「EV SPORTS」との説明しかありませんが、周囲の車両と比較するに、比較的コンパクトな2シータースポーツクーペのようです。フロントボンネットが低く短い点と、リアフェンダーにエアインテークがある点から、リアにモーターを搭載した後輪駆動であることが予想されます。ボディのスタイリングを含めてこんなEVが発売されれば、EVのイメージも大きく変わりそうです。
続けて気になる車両がこちらです。ランドクルーザーやFJクルーザーを彷彿させるスクエアなSUVボディのこの車両は、「Compact Cruiser EV」と紹介されています。周囲の車両から決して大きくな車両ではなさそうですが、グラスエリアが広くスクエアな車内から車内は広く居住性も良さそうです。例えばE-FOURのような機能を搭載した本格的なオフロード性能を持つ四輪駆動車であれば、アウトドアの相棒としても最適な一台となりそうです。
こちらは、新型ハイラックスにも通じるピックアップトラックタイプのSUV。本格的なオフロード走行での実力はもちろん、海外での仕様も見据えたモデルという印象です。EVの可能性をグローバルに提案できる車種として注目度の高いモデルと言えます。
さて、今回はこれで終わりません。3月公開予定の記事では、トヨタが企業としてカーボンニュートラルへ取り組む本気の姿勢を、昨年発表されたフィロソフィーや豊田章夫社長のコメントを交え、これまでのカーボンニュートラルへの道のりを辿りながら解説します。また、今回掲載しきれなかった他のEVもご紹介するので、ぜひお楽しみに。
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