気になるトヨタ車新型ヴェルファイアはスポーツカー並みの走り!!
常に疑問を投げかける意識が未来に繋がる
文:佐々木 亘/写真;トヨタ自動車、ベストカーWeb編集部
トヨタはよく「カイゼン」という言葉使う。それは一般的な「改善」を意味する言葉とは少し違う。普通の人なら思いもしないアイデアを生み出すトヨタのイノベーションにおいて、欠かすことが出来ない「この言葉の真意」を探っていこうと思う。
日常生活を豊かにする思想
漢字で表記する「改善」と、カタカナ表記のカイゼン。読みは同じだが、その意味は少し異なる。
改善の辞書的な意味は「良くする」こと。既に問題は発生していて、発生した問題を解決する受動的なイメージだ。
一方トヨタの言う「カイゼン」とは、既存の物をよりよくするために何が必要かを考えて実行する作業の事を言う。
カイゼンは、常に「なぜ」を問いつづけなければ行えない。トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏は、次のような言葉を残している。
「困らんやつほど、困ったやつはいない」
問題がないという状態はほとんどなく、問題があることに気づいていないだけなのだ。
その問題に気付かず、困った状態にならない人にはなってはいけないということである。
職場・家庭で起こる問題に対し、多くの人は問題発生後に動き出す。常に、新たな問題を探しながら生活することで、仕事・生活の質が大きく向上するだろう。
トヨタのカイゼンは、仕事だけでなく、生活全体を豊かにするために使えるものなのだ。
カイゼン=効率化ではなく当たり前のレベルを高めているだけ
トヨタ生産方式やカイゼンという言葉を出すと、すぐに「効率化」と結びつける人がいる。
無駄を省いて最短距離で進むのが、カイゼンの一つの目的ではあるが、カイゼン自体が強硬な効率主義というわけではないのだ。
それぞれの活動の中には、必ず「標準」がある。進め方や時間、物の置き場所など、現時点で最善とされるやり方や条件だ。
まずは、これを定める。例えば、テーブルの上の所定の位置に、テレビのリモコンがある状態としておこう。
次に、標準通りにできているかを確認する。テレビのリモコンが、棚や床といった標準でないところに置いてあることが多い場合は、まず標準通りにテーブルの上に必ず置くということを意識する。
自分だけでなく、家族全員がリモコンをテーブルの上に置く(戻す)ことができたら、生活は標準の状態に改善されたということだ。
何気ないカイゼンが未来に繋がって行く……
最後に、現状の標準からの進化を模索する。あるべき姿を思い描き、それを実行するということだ。
リモコンが必ず元の位置に戻るようにケースを作るというのもいいだろう。リモコンの数を増やした方が、よりよく生活ができるならそれでもいい。
そもそもリモコンを無くして、IOTを導入し、家族の誰もが「声」でチャンネルを変えられる、スイッチをON・OFFできる環境を目指すというのも進化の模索だ。
これをトップダウンではなく、現場のボトム層にいる一人一人が考え、グループの中で共有していくことが、カイゼンの一つのポイントだ。
カイゼンの思考方法は、効率化よりも生活集団がよりよく過ごすために必要な、個々の思考や動きを教えてくれるものになる。
カイゼンは、トヨタ自動車だけでなく、全国のトヨタ販売店でも強く意識され、仕事をより良くするために使われている考え方だ。
トップダウンの強制的な効率化は、確かに古い。ただ、トヨタのカイゼンの本質は、中間管理職や従業員一人一人が、よりよい状態を考えて動き続けることにある。
誤った理解が進んでしまえば、カイゼンはおろか改善も難しくなるだろう。
「カイゼン」が何を意味するのか。世の中もトヨタも改めて考え、正しく理解し、実行し直す時期が来ているのかもしれない。
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