WRC 第6戦ラリー・イタリア サルディニア デイ30.2秒差で逆転を許すもオジエが総合2位を獲得
エバンスは総合4位でフィニッシュ

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6月2日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦ラリー・イタリア サルディニアの最終日デイ3が、サルディニア島北西部の「アルゲーロ」を起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が総合2位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合4位でフィニッシュしました。また、前日デイリタイアを喫した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は最終日に再出走を果たし、総合35位で完走しました。

ラリー・イタリア サルディニアの最終日は、サービスパークの北側エリアが戦いの舞台に。2本のステージを各2回走行し、その合計距離は39.30kmという、3日間で最短の一日でした。最終日もアルゲーロ周辺は天候に恵まれ、路面コンディションはドライ。気温は日中23度前後まで上がりました。最終日のステージは海に近く、目の細かな砂状のグラベルに覆われた、荒れた路面での戦いとなりました。

首位で最終日をスタートしたオジエは、前日のデイ2終了時点で総合2位のオィット・タナック(ヒョンデ)に17.1秒差をつけていたことから、確実性を重視した走りで3本のステージを走行。6.2秒のリードを保った状態で最終のパワーステージを迎えました。通常であれば問題なくリードを守り切れるタイム差でしたが、オジエはステージ終盤の荒れた路面でタイヤから空気が抜け始めペースダウン。2番手タイムを刻んだタナックから6.4秒遅れの6番手タイムとなり、結果的に0.2秒差でタナックに逆転を許し、総合2位でラリーを終えました。0.2秒はWRCの最終結果における最小タイム差であり、偶然にも2011年にオジエが、現チーム代表のラトバラをヨルダン・ラリーの最終ステージで逆転し、破った時のタイム差と並ぶものです。なお、オジエは今季6戦中4戦にしか出場していないにも関わらず、優勝2回と総合2位2回を獲得。ドライバー選手権では4番手に順位を上げ、首位との差は30ポイント差です。

前日、総合4位に順位を上げたエバンスは、最終日を好調に戦い総合4位でフィニッシュ。日曜日だけの合計タイムで争われる「スーパーサンデー」では3番手となり、パワーステージでも3番手タイムを記録するなど、多くのポイントを獲得しました。その結果、ドライバー選手権首位のティエリー・ヌービルとのポイント差は、前戦終了時点の24ポイントから、18ポイントに縮まりました。また、土曜日のデイ2で一時総合3位につけるも、トランスミッションに関する問題によりデイリタイアとなった勝田は、修理されたクルマで日曜日に再出走。パワーステージでは5番手タイムを記録し、ポイントを獲得しました。

サポート選手権のWRC2では、サミ・パヤリ(プリントスポーツ)が今季初優勝。GR Yaris Rally2は、前戦ラリー・ポルトガルでヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン組(テオ・マーティン・モータースポーツ)により初優勝を達成しましたが、これで2戦連続優勝となります。パヤリは総合でも6位に入るなど素晴らしい走りを見せ、GR Yaris Rally2のスピードと耐久性の高さを証明しました。また、前戦優勝のソランスは今回WRC2で3位を獲得しました。

豊田 章男 (TGR-WRT会長)

サルディニアの道は本当に厳しく、いつも我々のチームとクルマを鍛えてくれます。TOYOTA GAZOO Racingがサルディニアで勝てたのは一度だけ。2021年にセブが勝ってくれた時だけでした。そんな厳しい道で、セブとヴァンサンが最後まで頑張ってくれましたが、最後の最後、パワーステージで本当に悔しい結果となりました。0.2秒差は本当に悔しいですが、これもラリーです。
我々の合言葉は「負け嫌い」。この悔しさを力に変えて、次の勝利を目指していきましょう!
追伸: オィットへ
私も現地で見ていた2019年のサルディニア。
あのときのパワーステージの悔しさを晴らせましたね。おめでとう!

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)

このような形で勝利を逃し、もちろん非常に残念です。サルディニアの最終ステージは、過去にも非常にドラマチックでした。残念ながら、ここで劇的な結末を経験するのは初めてではありません。2019年に当時我々の一員だったオィットが、トップを走っていたにも関わらず、今回と同じステージで勝利を失ったことを思い出します。我々にとってこのラリーは常に優しくありませんが、セブとの相性は良かったため、今回は再び一緒に勝利を獲得することができると考えていました。唯一、ポジティブに思える点は、我々チームにとってポイントへの影響があまり大きくなかったことです。このような出来事を受け入れるのは難しいですし、自分たちは負けることが大嫌いですが、闘志を失うことは絶対になく、次のポーランドで再び優勝戦いに挑むつもりです。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)

自分たちにとっては非常に厳しい週末でしたが、今日は少し良くなりました。フィーリングは間違いなく改善されたと思いますし、そのことが今日のタイムとポイントを獲得したことにも表れていると思います。それでも、この週末全体を見ると、このようなコンディションのラリーで改善するためには、まだまだやるべきことがたくさんあることは明らかです。ただし、これからの3戦はキャラクターがかなり大きく変わり、ハイスピードなラリーが続くのはいいニュースです。ハイスピードラリーで、我々のクルマが強さを発揮できることは分かっています。ですので、可能な限りしっかりと準備をして、できるだけ早く自信を取り戻すことが重要です。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)

今日は路面がかなり荒れているステージがあり、自分たちにはあまり向いていないかもしれないと思っていたので、厳しい戦いになることは予想していました。それでも、確実に勝つための仕事は十分に出来ていたと思いますが、残念ながらフィニッシュまで3kmというところでタイヤから空気が抜け出てしまいました。今回のパワーステージのコンディションは、ここでこれまで経験してきた中で最も過酷で、自分ができることはあまりなかったと思います。このようなことは決して起こるべきではありませんが、それでも最終的にチームが獲得することが可能なポイントには何も影響がありませんでした。この週末の自分自信の戦いに関しては、満足するべきだと思います。モータースポーツは、時に思い通りにいかないものです。次にカムバックする時も、今回のようなレベルのパフォーマンスを維持できるように頑張ります。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)

何よりもポイントを獲得することが今日の目標でした。もちろん、自分の出走順を考えれば難しいことは分かっていましたし、最初のステージは前を走るクルマの砂埃で視界が非常に悪く、あまり上手く行きませんでした。最終のパワーステージではポイントを獲得しましたが、もちろんさらに多くのポイントを望んでいました。ラリーの序盤は順調で全てをコントロールすることができていましたが、残念ながら技術的な問題が起こってしまいました。しかし、今回はクルマにとって厳しいラリーでしたし、時にはこういうこともあり得るので、現実を受け入れて次のラリーでも頑張るしかありません。

ラリー・イタリア サルディニアの結果

1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 3h06m05.6s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +0.2s
3 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +2m25.8s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m37.8s
5 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +6m42.9s
6 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m13.4s
7 ヨアン・ロッセル/バンジャマン・ブルー (シトロエン C3 Rally2) +7m45.7s
8 ヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m52.7s
9 マルティン・プロコップ/ミシャル・エルンスト (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m05.4s
10 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m09.3s
35 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +41m28.1s
(現地時間6月2日16時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

第6戦 終了時点でのドライバー選手権順位

1 ティエリー・ヌービル 122ポイント
2 オィット・タナック 104ポイント
3 エルフィン・エバンス 104ポイント
4 セバスチャン・オジエ 92ポイント
5 アドリアン・フォルモ− 74ポイント
6 勝田 貴元 52ポイント
7 カッレ・ロバンペラ 36ポイント
8 ダニ・ソルド 27ポイント
9 エサペッカ・ラッピ 23ポイント
10 グレゴワール・ミュンスター 16ポイント

第6戦 終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位

1 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 269ポイント
2 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 256ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 131ポイント

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
表彰式
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)


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