WEC2024年シーズン第5戦サンパウロ6時間 決勝TOYOTA GAZOO Racing、GR010 HYBRID 8号車が今季初勝利!7号車はトラブルから追い上げ4位フィニッシュ

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7月14日(日)、ブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦サンパウロ6時間レースが行われ、2番手からスタートした8号車が今季初勝利。ポールポジションからスタートを切った7号車はトラブルに見舞われ、一時最後尾近くまで後退するも、見事な追い上げを見せ4位でチェッカー。2台揃っての上位入賞でマニュファクチャラーズチャンピオン争いでも前進しました。

2012年にトヨタがハイブリッドのレースカーによる初優勝を飾ったこの地で、ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、7万3千人ものブラジルのファンの皆様の歓声を背に、今季初勝利のチェッカーを受けました。

小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は、ポールポジションスタートから勝利を目指し序盤戦は首位を守りましたが、技術的なトラブルによる長いピット作業で順位を落とすこととなりました。しかし、レース後半に素晴らしい追い上げを見せて4位でフィニッシュ。貴重な12ポイントを獲得しました。

完璧なドライビング、的確なタイヤ戦略とチームワークで、TGRは今季2勝目を手にし、厳しい戦いの中で可能な限り最大のポイントを獲得。マニュファクチャラーズチャンピオン争いで、首位のポルシェに4ポイント差まで迫り、残り3戦での逆転を目指すことになります。

この週末では最も暖かい気候の下、TGRの2台のGR010 HYBRIDは、昨年11月のバーレーン戦以来となるグリッド最前列独占スタートから、序盤戦をリードしました。ポールポジションからスタートした7号車のコンウェイは、クリーンなスタートを決めると、バトルを展開する後続との差を広げていきました。2番手グリッドの8号車ハートレーは、スタート直後の1コーナーでコースオフを喫するも、2位のポジションを守り、後続勢の追撃を抑える役割となりました。

タイヤの摩耗が激しいインテルラゴスの路面で、路面温度も上昇する難コンディションでもコンウェイはミディアムタイヤを温存しながら、狭く追い抜きの難しいコースで周回遅れをかわして着実な周回を重ねていきました。スタートから1時間を経過した時点で、7号車は2位の8号車に11秒差をつけ、8号車のハートレーは後続のポルシェ5号車を抑えて2位のポジションを守り続けました。

最初の90分間、首位の7号車は余裕を持ってレースをコントロールしていましたが、フルコースイエロー時の速度違反でドライブスルーペナルティを科され、アドバンテージは帳消しとなってしまいました。さらに、2時間を過ぎたところでトラブルに見舞われ、燃料系に関するコントロールユニットの修復のために長いピット作業を余儀なくされました。7号車はデ・フリースへと交代し、18番手とほぼ最後尾まで順位を落としてコースに復帰することとなりました。

この7号車のトラブルにより、チームの勝利への挑戦権は8号車へと託されました。平川へとドライバーチェンジしたばかりの8号車はすぐに首位に浮上すると、レース折り返しの時点で2位以下との差を30秒まで拡大。平川は次のピットでタイヤを右側のみ新品に交換し、タイヤ温度と摩耗をコントロールする戦略をとりました。

インテルラゴスで初レースながら素晴らしいペースでの走行を見せた8号車の平川は、2位との差を40秒以上に広げ、最後の2時間を担当するブエミへと交代しました。7号車もデ・フリースの健闘により順位を取り戻し、小林へと最後の2スティントを託しました。

ブエミは安定したペースで周回を重ねて首位を堅守。2位以下に大きく差を広げたまま残り1時間で最後のピットストップを終えると、2位のポルシェ6号車に1分8秒差をつけてトップでチェッカーを受けました。7号車は小林が猛烈な追い上げを見せ、フェラーリ51号車に猛追。チェッカーまで残り5分というところで息を飲むようなオーバーテイクを見せ、4位へ浮上しチェッカーを受けました。

南米大陸での実り多いレースを終えたTGRは、チャンピオン防衛を目指し、次戦の舞台となる米国テキサス州オースティンへ向かいます。サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われる第6戦ローンスター・ル・マンは、9月1日(日)に決勝レースが行われます。

豊田章男(TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー):

セブ、ブレンドン、亮、そして8号車のみんな、優勝おめでとう!

ル・マンの悔しさをみんながモチベーションに変えて臨んでくれたレース。WECチームだけでなくTOYOTA GAZOO Racingみんなが抱いた悔しさをしっかり晴らしてくれました。ありがとう!

7号車のみんなは、まだ悔しさから抜け出せていないかもしれません。しかし17位まで沈みながらも4位までポジションをあげてくれた走りは最高でした。

特に最後の可夢偉のオーバーテイクは本当に素晴らしかった!

ドライバーとしての意地、プリンシパルとしての責任感、エンターテイナーとしての底知れぬ才能、そして波乱ばかりを引き寄せる数奇な運命!そんな可夢偉と7号車を本当に、かわいく思っています。少し自分と似てるところがあるからかな…。

実は、今回のブラジルの結果を、モリゾウはいつも以上にうれしく思っています。そこには、ル・マンの雪辱だけでなく、他にもいくつかの理由があるからです。

ひとつはマイクの復帰。ル・マンの欠場は本当に残念だったけど、無事に戻ってきてくれて本当にうれしかった。まだ完治じゃないそうですが、しっかり治して次のレースもよろしく頼みます。

一方、マイク復帰によってホセが7号車で地元南米を走れなかったのは少し残念でした。10年ぶりの南米でのレース、ホセ自身も本当に走りたかったのだろうと思います。そんな中でもホセはわざわざTOYOTA GAZOO Racingに顔を出してくれました。そして地元ブラジルの応援団を盛り上げてくれました。底抜けに明るいホセがファミリーでいてくれることのありがたさを改めて実感しています。

そして、8号車のエンジニアとしてドライバーと共に表彰台に立ってくれたライアン。初の表彰台おめでとう!彼は、ル・マンの後、休みも取らずに来日し、スーパーフォーミュラのエンジニアもしてくれていました。彼の存在がWECチームと私の距離をさらに近づけてくれています。日本との行き来は大変だと思いますが、これからもよろしく頼みます。

最後に、ブラジルの大応援団。10年ぶりのブラジル開催にトヨタの仲間たちがサーキットに大集結してくれました。南米は距離もあって私自身なかなか行くことができません。それなのに南米の仲間たちの温かさを感じることがよくあります。AkioでなくMorizoと呼んでくれる仲間たちです。今回、この仲間たちの応援が8号車の優勝や7号車の驚異の追い上げの力になっていたことは間違いありません。ブラジルの仲間たち、熱い応援を本当にありがとう!

距離の離れたところで行われたレースでしたが、不思議とチームのすぐそばで戦えたような気持ちになるレースでした。可夢偉がつくってくれているこのチームと、チャンピオンを目指して、これからも“すぐそば”で戦っていきたいと思います。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):

チームにとって、間違いなく我々のための一週間でした。我々は予選で2台揃っていい走りを見せ、決勝でも2台共に本当に速かったですし、タイヤ摩耗のコントロールもとても上手くいきました。優勝した8号車を祝福します。素晴らしい走りでした。7号車にも勝てる力はありましたが、残念ながらトラブルに見舞われ、ピットでの修復でタイムを失いました。厳しい状況でしたが、最後まで諦めずに追い上げを続け、4位という結果は今日のレースでは現実的に可能な最善の結果だったと思います。最高の仕事で支えてくれたチームの皆に感謝します。今日我々のクルマに起こったことを分析し、次戦はもっと強くなって戻って来ます。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):

我々のGR010 HYBRIDは、今日一日を通してとても強かったです。私がフルコースイエローでの手順を誤り、僅かに規定のスピードを超えてしまったことでペナルティを科されましたが、その後首位に復帰することはできました。あの時点ではタイヤの状態も非常に良く、順調だと思っていました。しかし私のスティントの終盤、トラブルが発生し、修復のために時間を費やし、大きく順位を落とすこととなってしまいました。可夢偉とニックの懸命な追い上げにより4位まで挽回してフィニッシュすることができました。あの状況からの挽回という意味ではこれ以上の結果はないと思いますが、残念ながら勝利は逃してしまった気分です。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):

全体を通して見れば、非常にポジティブな週末だったと思います。パフォーマンスは素晴らしかったですし、チームも最高の仕事をしてくれました。可夢偉は予選でポールを獲得し、全てが順調に見えました。残念ながら、技術的なトラブルにより望んでいた結果は得られませんでした。悔しいです。とは言え、我々はほぼ最後尾から4位まで順位を取り戻すという素晴らしいリカバリーを果たしました。優勝できなかったのは残念ですが、チームとして8号車が優勝したことは本当に良かったです。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):

我々8号車にとって、今季初勝利を上げることができて最高の一日になりました。素晴らしいGR010 HYBRIDと、優れたタイヤマネージメントが勝因です。特に決勝レースを通してミディアムタイヤを使えたことが、良いペースを保つのに大いに役立ちました。今季はシーズン序盤が厳しいスタートになっただけに、ようやくトラブル無くレースウィークを戦い抜くことができて嬉しいです。予選で1-2という最高の結果を得られましたが、7号車は不運なトラブルに見舞われてしまいました。彼らは本当に速く、もっと良い結果を得られたでしょう。マニュファクチャラーズ選手権で多くのポイントを獲得できたので、次戦もこの勢いで頑張ります。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):

今季初勝利を飾れて最高の気分です。8号車は今季ここまであまり良いシーズンを送ってこなかったので、この勝利は本当に嬉しいです。7号車も素晴らしいレースでした。今日の彼らは本当に速かったので、残念に思っています。私のスティント序盤、スタートはタイヤの摩耗が激しく、簡単ではありませんでしたが、それを克服して、クリーンで良いレースが戦えました。優勝できたということは非常に大きいです。マニュファクチャラーズ選手権争いにおいても良いポイントが獲得できたので、次戦にもこの勢いを活かしていきたいと思います。

平川亮(8号車 ドライバー):

今季初の勝利を手にできて本当に嬉しいです。我々が最後に勝った昨年のバーレーンからずいぶん間が空いてしまいましたが、決して諦めることなく努力を続けてきました。7号車は本当に速かっただけに、結果は残念です。マニュファクチャラーズ選手権争いにおいても、チームにとっては今日の勝利は大きかったと思います。今季も残り3戦、チャンピオンを目指してプッシュを続けます。私個人としては、初めてのブラジルでのレースでしたが、本当に楽しむことができました。週末を通して応援してくれたファンの皆様と、多大なる努力で支えてくれたチームの全員に感謝します。今季の残り3戦もチャンピオンへ向けてプッシュを続けます。

WEC第5戦サンパウロ6時間 決勝結果

順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
1 8 セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
236
2 6 ケビン・エストレ
アンドレ・ロッテラー
ローレンス・バンスール
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963
236 1:08.811
3 5 マット・キャンベル
ミカエル・クリステンセン
フレデリック・マコヴィッキィ
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963
236 1:15.993
4 7 マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
236 1:23.571
5 51 アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ
フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P
236 1:27.395
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