国内外で愛される1980~1990年代の日本の名車トヨタ博物館「Classic Car Meeting ~’80-’90年代の日本車~」取材レポート

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2025年11月29日(土)、愛知県長久手市にあるトヨタ博物館にて、「Classic Car Meeting ~’80-’90年代の日本車~」が開催されました。本イベントは、現在開催中の企画展「What’s JDM?-世界が熱中する’80-’90年代の日本車-」の関連企画として実施されたもので、北は宮城、南は岡山から、当時のクラシックカーをこよなく愛するオーナーさま約100名が、自慢の愛車とともに参加。高く澄み渡る青空の下、それぞれの愛車を囲みながら交流を楽しむ、貴重な一日となりました。

Text:Reico Watanabe
Photo:Takeki Kurimoto
Edit:Yasumasa Akashi(pad inc.)

「What’s JDM ― 世界が熱中する’80-’90年代の日本車―」のスピンオフ企画「Classic Car Meeting ~’80-’90年代の日本車~」

「Classic Car Meeting ~’80-’90年代の日本車~」のオープニングセレモニーでは、トヨタ博物館の榊原康裕館長が開会の挨拶を行い、駐車場にずらりと並んだクラシックカーをバックに横断幕を掲げ、参加者全員で記念撮影。夫婦や友人同伴はもちろん、中には親子二代(2台!)での参加もあり、世代を超えた参加者同士の交流も生まれ、会場はあたたかな雰囲気に包まれていました。

トヨタ博物館では、毎年秋に「クラシックカー・フェスティバル」を開催していますが、応募者多数により、参加したくてもできない人たちが年々増加。そこで今回、トヨタのクルマに関するヘリテージ活動「TOYOTA CLASSIC」の一環として、クルマ文化に触れる場づくりとクルマを愛する人々が仲間とより気軽に集える場を目指し、新しい試みである「Classic Car Meeting」が開催されることになりました。開催中の企画展「What’s JDM?-世界が熱中する’80-’90年代の日本車-」に合わせて、その時代の日本車に今も大切に乗りつづけているオーナーさまを募集したとのことです。

時代を彩った約100台の名車が並ぶ様は圧巻。

参加者は、愛車の特徴やこだわりを綴った「コミュニケーションシート」をきっかけに、全国各地から集まったオーナーさま同士でクルマ談義に花を咲かせ、会場は笑顔と歓声に包まれました。

中にはボンネットを開けて見せてくれるオーナーさまも。

2組の親子オーナーさまが語るクラシックカー愛

秋の陽に美しく輝く赤の1982年型の「セリカXX」のオーナーさま・スギウラチエノさんは、独身時代からずっとスポーツカー一筋。「20歳で免許を取り、『セリカXX』に一目惚れして購入しようとしたところ、当時、父に『女の子の乗るクルマじゃない』と反対され、泣く泣く諦めた過去があります。あれから35年。皆さんとパレードできるなんて、本当に嬉しいです」と、笑顔で喜びを語ってくださいました。

一目惚れした「セリカXX」を35年越しに手に入れた喜びを語るスギウラチエノさん(右)と息子のサトキさん(左)。

一方、1991年型ブルーメタリックの「70スープラ」のオーナーさまである息子・サトキさんは、「母が昔80スープラに乗っていたので憧れがありました。私が選んだのは高市総理も愛した70スープラ。リトラクタブルヘッドライトもロングノーズもかっこいい」と話し、母のチエノさんも「英才教育の賜物です(笑)子どもの頃から助手席に乗せていたので影響があったんでしょう。今では逆に息子からいろいろと教えてもらっています」と微笑みます。

「70スープラ」の前で快く取材に応じてくれたオーナーさま親子。

タカシマジュンさん・ユウキさん親子は、「ハチロク」の名で親しまれている1986年型の「カローラ レビン」と黒の「スプリンター トレノ」を駆り、ナンバーも2台揃って「86」。なんと、黒のトレノは息子のユウキさんが、「18歳で免許を取った日に父のジュンさんから譲り受けたもの」で、現在ジュンさんが乗る白のレビンは、「就職したユウキさんからプレゼントでもらったもの」なのだとか。

2台の「86(ハチロク)」の前で記念写真に応じるタカシマジュンさん(右)と息子のユウキさん(左)。クルマ関係の仕事かと思いきやジュンさんは政治家、ユウキさんは考古学関連とのこと。

ユウキさんは「1980年代のクルマに乗るなら、その時代の空気を感じたい」と話し、当日はカーステレオでオメガトライブを聴きながら、助手席には当時の雑誌『明星』や『平凡』。父親から継承されたJDM文化を、体現されているのが印象的でした。

ユウキさんの「86(ハチロク)」の助手席には、懐かしのアイドル誌とカセットテープが。

トヨタ博物館 新旧館長対談も開催。

第9代トヨタ博物館館長の布垣直昭氏(右)と第10代館長の榊原康裕氏(左)。

文化館1階ホールでは、トヨタのデザイン部門出身で第9代館長を務めた布垣直昭氏と、設計部門出身で第10代館長を務める榊原康裕氏による“新旧館長対談”も実施。1980~1990年代のクルマ開発の裏話や当時と現在の評価のギャップなど、ここでしか聞けないトークが繰り広げられました。事前に募集した質問に新旧館長が本音で答えるコーナーもあり、観客は熱心に耳を傾けていました。

布垣氏は「1980~1990年代の日本車は当時、海外では色眼鏡で見られていました。しかし近年、若い世代がその魅力を理解し、親しみをもってくれています。皆さんが乗りつづけることでJDMの楽しさを国内でも広げ、日本文化として盛り上げていければ」と語りました。

榊原館長は「旧車を次世代に継承するには?」という問いに対し、「2025年4月から『TOYOTA CLASSIC』が始動しました。博物館での保存・継承に始まり、ヘリテージパーツの販売・レンタル、仲間づくりなど多角的に文化を広げています」と話し、今回のようなイベントも文化醸成の一環であると強調しました。

イベントのクライマックスとなる参加オーナーさまによる構内パレードの様子。

イベント終盤には、参加オーナーさまによる構内パレードも開催。この日たまたま来館したご家族連れや、クラシックカーファンから熱い視線が送られる中、“T”を象った赤い看板を背景に、1台ずつ記念撮影が行われ、イベントは盛況のうちに幕を閉じました。

記念撮影に笑顔で応える参加オーナーさまたち。

クラシックカー好きにとっては“晴れ舞台”ともいえるこの場所で、愛車のハンドルを握り、帰路に着く参加オーナーさまたちの、充実感に満ちた表情が印象的でした。

企画展「What’s JDM?-世界が熱中する’80-’90年代の日本車-」

メインビジュアルは「海外から見た日本」をイメージ。富士山やお城も配置されている。

今回、初の試みとなった「Classic Car Meeting ~’80-’90年代の日本車~」は、現在トヨタ博物館で開催中の企画展「What’s JDM?-世界が熱中する’80-’90年代の日本車-」と、密接に関連しています。ここからは、企画展の内容をご紹介します。

連絡通路のパネルで「JDM」を予習してから展示室へ。

企画展は、「クルマ館」から「文化館」2階展示室へ向かう連絡通路のパネルからスタート。企画展のタイトルでもある「JDM」について、少し予習してから展示に進める構成となっており、クルマ好きはもちろん、詳しくない人でも楽しめる工夫が施されています。

そもそもJDMとは?

JDMとは、Japan Domestic Market(日本国内市場)の略で、「国内市場向けにつくられたクルマ」という意味です。近年、この“日本仕様”のクルマをアメリカやイギリスで輸入して、カスタマイズを加えて楽しむ文化が定着しつつあり、愛好家が年々増加傾向にあります。

特に、2005年に発足したアメリカ・カリフォルニアの「JAPANESE CLASSIC CAR SHOW」は参加車500台、来場車1万人超の一大イベントへと成長。2014年に「スカイラインGT-R」が「25年ルール」※によりアメリカへ輸入可能となったことが、人気爆発の契機とされています。

スポーツカーだけでなくセダン、軽自動車、軽トラックまで幅広い車種が人気を博し、日本のナンバープレートや車検ステッカーまで再現する熱狂的ファンも。JDM文化を丸ごと楽しむスタイルが広がっています。

※「25年ルール」:アメリカでは、右ハンドル車の通行は原則認められていないが、25年以上経過したクルマは、合衆国運輸省がクラシックカーとして輸入・走行を認め、関税や排ガス規制までも対象外とする制度。

1982年型「ランドクルーザー(40系)」。

国内自動車メーカーの当時の技術が集結した展示車

漫画『頭文字D』でお馴染みの「スプリンター トレノ」(中央)。

展示室には10台の日本車が放射状に配置。「スカイラインGT-R」と「スプリンター トレノ」は同館所蔵車、残る8台は国内メーカー各社や日本自動車博物館から借り受けたものとのことです。

展示テーマは「当時の最新技術」「独自のデザイン」「小さな高性能」の3つ。壁面には当時のカタログを引用して時代ごとの技術革新やスタイリングの特徴がわかりやすく紹介され、BGMには『頭文字D』や『ワイルド・スピード』の映画で使用されていた楽曲を採用し、1980~1990年代の空気感を演出しています。

また、二次元コードを読み取るとリヤビューやエンジンルーム画像が見られるサービスも導入。実車を見たあとに、細部をじっくり見返せるのもこの企画展ならではの楽しみです。

※期間中、展示車両は入れ替えを行う予定です。詳細は公式ホームページをご確認ください。

「JDM」のひとつのジャンルとして、海外市場で注目を集める日本独自規格の軽自動車。

さまざまな国からの来場者

本企画展のテーマは“海外から見た日本車”。浮世絵が海外での評価をきっかけにして国内で再評価されたように、日本車も海外の熱狂によって国内で価値が見直されている――そんな「逆輸入的視点」を示す展示となっています。

大胆にも壁を突き抜けて展示されている「スカイラインGT-R」。

同館スタッフの岩澤光一郎氏によると、トヨタ博物館は来場者の約半数がインバウンドで、欧州系、アジア系がほぼ半々とのこと。本展でも海外来館者からの反応は大きく、会場奥に設置されたメッセージカードには外国語のコメントも数多く並んでいます。

来場者のアンケート満足度も非常に高く、「子どもと一緒に楽しめた」「海外で見たクルマがここにもある」といった声が寄せられているそうです。イベント当日も、多国籍の来場者がひっきりなしに展示会場を訪れており、まさに興味津々といった様子で展示車を見学し、メッセージカードに記入する姿が見受けられました。

メッセージボードに掲出された「あなたのイチ推しの~’80-’90年代の日本車は?」のアンサー。

企画展は2026年4月5日(日)まで開催され、2026年1月には一部車両が入れ替わる予定。海外でも人気の1980~1990年代日本車文化を、この機会にトヨタ博物館でじっくり堪能してみてはいかがでしょうか。

企画展「What’s JDM?-世界が熱中する’80-’90年代の日本車-」

会期:2025年10月3日(金)~2026年4月5日(日)
場所:トヨタ博物館 文化館2階 企画展示室
住所:愛知県長久手市横道41-100
電話番号:0561-63-5151(代表)
開館時間:9時30分~17時(入館受付は16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:大人1,200円、65歳以上700円、中高生600円、小学生400円、未就学児無料(いずれも税込み)
※文化館1階、3階は無料でご入場いただけます。
※TS CUBIC CARDをご提示のうえ、カードでお支払いいただくと、入場料が200円引き(小学生は100円引き)となります。
URL:https://toyota-automobile-museum.jp/

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