新型RAV4
クルマの未来を先取りしたSUV

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文/渡辺 敏史 写真/奥隅圭之、トヨタ自動車

日本のSUV市場を牽引してきたトヨタ自動車のRAV4がフルモデルチェンジした。6代目となる新型は優れたパッケージングを先代モデルから踏襲しつつ、機能や装備がいっそう充実、エクステリアではハンマーヘッドフェイスを持つ最新のトヨタ自動車のデザイントレンドを身に着けた。

優れたオフロード性能や快適な居住性、持て余さないサイズ感など、SUVとしての資質はいうまでもないが、実は6代目RAV4は内面の進化も著しい。そこでここでは、ソフトウェアを意識したクルマづくりや、グローバルカーゆえに背負った使命など、新型RAV4が宿した隠れた魅力を掘り下げてみよう。

SUVというカテゴリーはRAV4が作った

2台のハイブリッドモデル。左がアドベンチャーで右がZ。2026年3月時点ではZが販売比率の7割を占めるという。

「RAV4」の、当初の車名の由来はレクリエーショナル・アクティブ・ビークル・4ホイールドライブを略したものだ。端緒は1989年の東京モーターショーで披露されたコンセプトカーに遡り、1994年に初代モデルが発売された。

4ホイールドライブ、つまり四駆のレジャー向け車両といえば、トラックのように無骨な梯子フレームや足回りを基にしてタフネスを身上としていた、そんな時代だ。それに対して、乗用車のモノコックシャシーを基にオンロードの快適性とオフロードの走破性を両立させるという、RAV4が掲げたそんなコンセプトのクルマは、本格的な量産車として過去に類をみないものだった。

格子状のフロントグリルを持つハイブリッド「Z」。20インチのタイヤ&アルミホイールはメーカーオプション。
ハイブリッド「Z」。全長4,600mm×全幅1,855mm(アドベンチャーは1,880mm)、全高1,680mmというサイズはすべて先代モデルと同じだが、ボディ剛性は全体で9.7%(サスペンション取り付け部ではフロント31%、リヤ27%)も高められている。

かくして登場したRAV4は、そのコンセプトがユーザーには諸手を上げて受け入れられ、みるみる販売数を伸ばしていく。となると当然ながら他社も同様のモデルを開発、この手のクルマがスポーツ・ユーティリティ・ビークル=SUVと呼ばれる頃にはあらかたの自動車メーカーが入り乱れての一大市場を形成することとなったわけだ。

世界約180カ国、年間100万台を超すセールス

ステアリングとアームレストにオレンジの差し色が入るハイブリッド「アドベンチャー」のインテリア。センターディスプレイは12.9インチと大型で使いやすい。アクティブさを演出するためシフトレバーはあえてのグリップタイプ。

そんなムーブメントの火付け役となったRAV4は、各社が続々と繰り出すSUVの中で、自らの立ち位置をもう一度問い直すこととした。

2018年から投入された5代目はさながら乗用車のように洗練された佇まいとはあえて一線を画し、無骨な道具感を押し出すことで日本のみならず世界的にも再び大きな支持を集めることになった。ちなみにこの5代目では車名の由来も「ロバスト・アキュレイト・ヴィークル・ウィズ・4ホイールドライブ」へと変更されている。直近では世界約180カ国で販売、その台数は年間100万台超というから、トヨタ自動車の販売内訳的にもざっと10台に1台はRAV4が占めることになる。

トヨタ初採用となるスロープ表示式カラーヘッドアップディスプレイは、遠近感から直感的な視認が可能。情報量はドライバーの好みに合わせて3つのモードが選べる。

世界一の販売台数を誇る会社でもっとも売れている金看板のフルモデルチェンジといえば、作り手側にしてみればその緊張感はいかばかりだろうか。が、新しいRAV4には不思議とその気負いが感じられない。主観的な話ながら、見た目的には曖昧な曲線を整理して水平垂直を強調して・・・と、むしろシンプルに設えたようにも映る。

こちらはハイブリッド「Z」のエレクトロシフトマチック。前後方向のみで操作できるタイプはトヨタ初。

そのラインアップは標準系と、よりオフロード志向のアドベンチャーに加えて、逆にオンロードの側に振ったGRスポーツを新たに設定、デザイン的には3つのバリエーションを持つに至った。パワートレインはハイブリッドとプラグインハイブリッドの2種類が用意されアドベンチャーはハイブリッドのみ、GRスポーツはプラグインハイブリッドのみ、そして標準系はどちらも選ぶことが可能だ。

つまりRAV4は全てのバリエーションで電動化を果たしたことになるわけだが、これは何も日本に限った話ではなく、大半の販売国でも同様の展開になるという。トヨタ自動車にとってはこの車種だけでも年間100万台規模で電動化が進むわけで、社としての環境負荷低減の貢献度も無視できないほど大きいはずだ。

第6世代のハイブリッドは約150kmのEV走行が可能

「Z」と「アドベンチャー」の足回りの味付けは共通だが装着タイヤが異なる。高められたボディ剛性の恩恵もあって、シャキッとした小気味いいドライブフィールが得られる。

ちなみにプラグインハイブリッドはそのトヨタ自動車でも初出しになるという第6世代のハイブリッドシステムをベースとしたことで、前型より1.5倍以上となる約150kmのEV走行航続距離を達成、一方でモーターやバッテリーの刷新により動力性能も向上している。得られたその素養を活かす意味からも、GRスポーツが企画されたというわけだ。

ハイブリッド「アドベンチャー」のフロントシート。快適温熱シート機能が備わるが、「Z」に標準のベンチレーション機能は未装着となる。
ハイブリッド「アドベンチャー」のリヤシート。膝元にゆとりがあり、つま先が前席下に収まるので快適度が高い。もちろんセンターアームレスト付き。

そのプラグインハイブリッドは2026年3月9日(月)発売ということもあって、今回の取材車はハイブリッドになったが、こちらも前型に対してバッテリーやコントロールユニットなどに手を加え、約1割のパワーアップと燃費低減を同時に果たしている。

乗り込んで感じるのは車両感覚の掴みやすさや操作のしやすさといった直感的つながりがきちんと押さえられているということだ。特に車幅や前端の形状的な見切りの良さは大きな美点となるだろう。空調や走行機能など頻用する操作系は従来からのスイッチ式としているところも扱いやすさに寄与している。

買った後もクルマの機能が進化する

Areneによる進化はまず先進運転支援機能とインフォテインメントに投じられた。前者のToyota Safety Senseでは作動領域が拡大し、歩行者などの検知性能が高まっている。

新しいRAV4はクルマを統合的に制御するソフトウェアに、これもトヨタ自動車初となるまったく新しい概念を採り入れた。Arene(アリーン)と名付けられたそれは、購入後の性能や能力の進化を、通信等を介したソフトウェアのアップデートによって継続的にフォローできるというものだ。

パソコンやスマートフォンのOS的な発想で、買った後も一定期間、インフォテインメントや先進運転支援などの機能面で最新モデルと遜色ない価値がもたらされるというところにユーザー側の利がある。Areneは今後のトヨタ自動車の新型車に水平展開される予定・・・とあらば、分母の大きさからも、機能追加のスピードや質も期待できるだろう。

ハイブリッド「Z」のラゲッジルーム。リヤシートを倒さずとも749L(デッキボード下段時)の容量を誇り、先代「G」に比べて16L拡大された。

そういう先端的価値と、シンプルな道具としての使いやすさに加えて、新しいRAV4は静粛性や乗り心地といった快適性の面でも目を見張る進化を遂げていた。

世界的にももっとも競争の激しいセグメントで一番売れているモデルともなると、こうも全方位隙なしの出来が求められるのかと見ているこちらの気持ちが退いてしまう、新しいRAV4はそのくらい鬼気迫る完成度を実感させてくれた。

(左奥から)ハイブリッド「Z」、プラグインハイブリッド「Z」(オプション装備車)、ハイブリッド「アドベンチャー」、GR SPORT(プラグインハイブリッド車/オプション装備車)。選ぶ楽しみも新型RAV4のひとつ。

■トヨタ RAV4
https://toyota.jp/rav4/

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