Local activities in Wakayama地域のとりくみ「広島」:
次世代モビリティC+walk-Tでこれからの観光スタイルを体験
Text:PONCHO
Photo:Yuichiro Higuchi

Lifestyle

トヨタが開発した次世代モビリティの『C+walk T(シーウォークT)』。その3輪BEVにスマホを搭載し、現在地や目的地がわかるだけでなく、観光スポットを音声案内するサービスが広島ではじまっています。早歩き程度のスピードで立ったままラクに移動できる新たな観光のスタイルを、うさぎの島として人気の「大久野島」と「ひろしまゲートパーク」で体験してきました。

すべての人に移動の自由を提供する次世代モビリティ

EVの普及が世界的に進められる中、施設内の移動等の歩行領域での活用を目的に2021年10月にトヨタから発売された「C+walk T」。立ったままの姿勢で乗車でき、ステップ高150mmと低くフラットなステップによって、幅広い年齢の方が乗り降りしやすく、操作しやすい3輪BEVです。

高齢者の移動手段、または工場や空港等の大型施設内での移動手段が想定されていましたが、その目線を変え、観光活用をはじめたのが、広島トヨペット株式会社です。

うさぎの島で人気の大久野島の新たな移動手段を模索していた広島県竹原市の要請に応えて、新たな観光スタイルとして提案、活用しています。

観光活用のキーは、スマホ!

現在、C+walk Tのレンタル乗車体験ができるのは、「大久野島」と広島市中心部にある「ひろしまゲートパーク」です。レンタルの手続きはWEBから行ない、決済までオンラインで完結。そのため、島やパークでC+walk Tを見かけて乗りたいと思った場合でも、予約は簡単です。

貸出場所に掲示されたポスターのバーコードをスマホで読み取り、予約ページを表示。必要事項を記入し送信するとカギを受け取るためのQRコードが届きます。そのQRコードを貸出場所の休暇村 大久野島のカウンター、パーク内のオフィスにあるリーダーにかざすと、ボックス内からカギを取り出し、すぐに乗車できます。

ある程度スマホを使うことができれば、予約、決済、カギの受け取りができ、とてもスムーズ。遠方から訪れた場合でも、誰もが持っているスマホひとつで手続きができるのは、とても便利です。

スマホの活用は、もうひとつあります。なんと、C+walk Tの乗車可能エリアにある観光スポットを、スマホが案内してくれるのです!

このスマホは、現在、「大久野島」と「ひろしまゲートパーク」でレンタルされるC+walk Tにのみ装備。乗車時にスマホの電源を入れると、表示されたマップに利用者が現在いる場所、周辺の観光スポットがマーク。そして乗車して移動していくと、近づいてきたスポットの案内を、音声で知らせてくれます。音声案内は。海外からの観光客向けに英語対応もしています。

例えば、広島市民球場跡地につくられた「ひろしまゲートパーク」には、その名残が点在。ホームベースやスタンドにあったベンチ、広島東洋カープの優勝記念碑等、普通に歩いていると見逃してしまいそうなスポットを案内してくれます。

C+walk Tに乗り、スマホが観光スポットをガイドしてくれるスタイルは、未来的! 一歩先行く観光スタイルを、広島では体験できるのです。

うさぎの島・大久野島では、新たな移動手段として人気!

竹原市の沖合、瀬戸内に浮かぶ「大久野島」。瀬戸内海国立公園に指定される風光明媚なところ。それが2011年の卯年に、メディアやSNSで、戦後に野生化したウサギが数千羽もいることで「うさぎの島」として拡散。国内外から観光客が多く集まるようになったそう。

一周約4kmでアップダウンもある島は、実は無人島。島内に一軒、「休暇村 大久野島」というホテルがあるのみで、一般車の通行は禁止。だから移動は徒歩か休暇村で貸出されるレンタサイクル、持ち込んだ自転車のみでした。

そこに登場したのが、C+walk T。ウサギ目当ての観光客が多いけれども、戦前につくられた毒ガス工場の戦跡を巡るために訪れる高齢者も多く、簡単に操作、ラクに乗車できるC+walk Tは、幅広い年齢層が利用しているといいます。

また、乗車している人たちを見て、「あれは、なに?」「どこで借りて乗れるの?」と、ウサギ目当てだったはずが、いつしか乗車体験がメインになることもあるそうです。

乗ってみたら想像以上にラクでした!

レンタルに際しては、身長140cm以上、体重100kg以下であれば、年齢や運転免許証の有無に関わらず利用可能。平均身長で考えると、小学生でも5年生くらいから乗車でき、家族みんなで楽しめます。

取材時には、「一周したいけれど歩くのは大変なので……」という70代くらいの高齢夫婦が利用するのを見掛けました。シニアカーのような雰囲気もあり、高齢者でも利用を希望する方は、多いようです。

実際に乗ってみると、右ハンドルにあるボタンを押すと進み、離すと止まります。ブレーキも左右に備わっていて、安心です。前1輪、後ろ2輪の3輪車なので、ハンドルを切ると、体重移動しなくても小回りできます。

時速6kmというスピードは、若い人には物足りないかもしれませんが、速歩き程度のスピードは出るので、島の景色をゆっくり見ながら観光するにはちょうどよい感じです。せっかくの観光だからこそ、のんびり回る気分にぴったりです。

スマホの観光案内が、スバラシイ!

スマホのマップ表示は、現在地がわかるので、初めて島を訪れても、道に迷う心配がありません。それに観光スポットがマークされているので、小径の奥や茂みの向こうにある戦跡を見逃すこともなし!

しかも、そのスポットがどんな場所なのかを音声で案内してくれるので、観光バスでガイドさんに情報をアナウンスされているようで、ありがたい。ウサギの島として訪れても、C+walk Tに乗れば、当たり前に戦争の勉強もできるのが、よい点です。

レンタサイクルでは行けない展望台にも、行けます!

また休暇村のレンタサイクルでは、急勾配のためスピードが出過ぎてしまうため通行禁止になっている、島の中央部の展望台へと続く坂道。しかし、C+walk Tは安全機能が働きスピードを制御するので、通行可能です。意外とトルクがあって、徒歩ではツラい急坂もラクラク進んでくれます!

おかげで、瀬戸内ならではの多島海の絶景を、のんびり眺めることができました。徒歩で展望台まで登るとなると、軽い登山となり、高齢者は諦めざるを得ない道程ですが、C+walk Tなら大丈夫。時間をつくって訪れた大久野島のよさを満喫できるでしょう。

そうそう、レンタサイクルでは問題になっていたウサギとの接触。確かに、走行中に不意に茂みからエサを求めたウサギが飛び出してくることがあるんです。でも、スピードが制御されているC+walk Tは、急ブレーキをかけずとも、スゥ~っと止まれるので、乗車した人にとっても、ウサギにとっても、安心だと感じました。

多くの観光地も、取り入れる価値があります

C+walk T がレンタルできる「ひろしまゲートパーク」では、来年、再来年と近接するエリアにサッカースタジアムや広島城の公園が新設。それらを結び、回遊を目指す移動手段のひとつとしてC+walk Tを活用。スポットやエリア情報を観光客に伝える手段としても期待されているということです。

そして、「大久野島」での走行を体験して思うことは、イベントなどで歩行者が多くいる時でなければ、安全に利用が可能。また、瀬戸内でいえば芸術祭の作品を巡るのに、そもそも歩行者や車両の通行が少ない小島であれば、点在する作品案内をスマホで行なってくれる広島のC+walk Tのサービスはかなり有効。レンタサイクル以上に楽しく、有意義な芸術体験が可能になると感じました。

将来的には、C+walk Tのようなモビリティが歩行者や自転車と並んで走行できるレーンが街なかにもでき、安全に回遊。これまでにない観光、旅ができるようになることが楽しみです。願わくば、近い未来に!

C+walk Tのレンタル情報はこちらから。
大久野島のC+walk Tレンタル情報
広島ゲートパークのC+walk Tレンタル情報

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