吉田直樹の『アイアンショット・バイブル』
VOL.2 一番大事なのはアドレスです
主に地面の上から打つことが多く、ライや芝の状況などにショットの成否が左右されやすいクラブがアイアン。でも、ボールに対してしっかりコンタクトするテクニックを身につければ、ミスが激減し、グリーンをとらえる確率も飛躍的にアップします。谷原秀人プロ、上井邦裕プロ、小祝さくらプロ、脇元華プロらを指導する吉田直樹コーチが、「アイアンで一番大事」と説く正しいアドレスを詳しく教えます!
アマは正しく構えられていない
アイアンショットに限らず、スウィングにおいてアドレスは一番大事です。
アマチュアの方に多い誤った構え方は、ハンドレートで右足体重、グリップもウィークになっていて、さらにフェースが開いています。
この構えではロフトが増えて当たり、ロブショットのような上がるだけの打球に。さらに、ウィークに握ることで右肩が前に出て、アウトサイドインのカット軌道にもなります。
正しいアイアンショットの構えは、アマチュアのほぼ9割くらいの方ができていないといってもいいでしょう。
もちろん、本人には自覚はないはずです。その理由は、何がいいアドレスなのかがわかっていないから。例えば、「アイアンのロフトをそのまま変えずに構えないといけない」と思っている方は、当然のようにハンドレートになってしまうというわけです。
クラブを芝生や地面よりも先に、ボールに当てたい。それがアイアンの絶対条件です。それがハンドレートでは、ボールの後ろに当たりますよね。
正しいアドレスができていれば、絶対にボールに当たります。だから、最初に言ったように「アドレスは一番大事」なんです。
インパクトの形を最初から作っておく
それでは、正しいアドレスを作っていきましょう。
まず両手をダラリと垂らします。この時、手のひらは正面ではなく、体に向けます。
そして右手でクラブを持ち、グリップを左手の位置に寄せていって握ります。
この時、とくに年配の方は右手をウィークで握りがちなのですが、これも飛ばない1つの要因になります。なので、右手は横から添えるように握ってください。
ボールは両足の真ん中。ヘッドはその後ろに置くので、シャフトは飛球線方向(正面から見ると右)に傾くことになります。フェースは真っ直ぐに向けてください。
インパクトでは、手がヘッドよりも先行するハンドファーストになるのが正解。ならば、初めからシャフトのアングルを作っておけばいいのです。
あとは体を回すだけで、ダウンでクラブが重力で勝手にアドレスの位置に落ちてくる。絶対に当たるし、再現性も自ずと上がります。
このアドレス、このアングルが作れるかどうかがとても重要です。
体重配分は「左7:右3」「左8:右2」
ボールが両足の真ん中にあるということは、クラブヘッドは真ん中より右側に置くことになります。多くの方にとっては見慣れない景色で、最初のうちは違和感があるかもしれません。
でも、この形じゃないと、ロフトが10度立ったプロのようなインパクトを作ることはできないのです。
正しい形ができているかどうか確認したいのであれば、このまま腕を上げてみましょう。ヘッドよりも手が前にあって、フェースは真っ直ぐ向いていれば合格です。
さらに、ここから左腰を左(ターゲット方向)に少しずらして、左足体重にします。右腰を左に押すようなイメージがいいでしょう。体重配分は、「左6:右4」のイメージでは実際には左足に乗らない方が多いので、「左7:右3」、あるいは「左8:右2」くらい極端に左足にかける意識を持ってください。
以上で正しいアドレスが完成し、アイアンを打つための準備ができました。
次回からスイングの動きを紹介していきます。
吉田 直樹(よしだ なおき)
幼少期から過ごしたアメリカ・ニューヨークでゴルフを始める。オーストラリアの大学で5年間、オーストラリア女子ナショナルチームのコーチに師事。その後、アジア、日本、アメリカでプロツアーを転戦しながら世界のトップコーチからレッスンを受ける。2014年、兵庫県芦屋市にインドアゴルフ練習場『ゴルフ ラ・キンタ』をオープン。現在は谷原秀人、上井邦裕、小祝さくら、脇元華など男女ツアープロを指導している。