海と緑に身を委ねる、大人の余白旅リゾート好きなら一度は訪れたい、バリ島という選択
エメラルドグリーンの海を望むヴィラで目覚め、南国のフルーツを味わいながら朝を迎える。午後はスパで心とからだをほぐし、夕暮れには波音を聞きながらグラスを傾ける。そんな穏やかな時間を過ごせる場所として、今あらためて注目したいのがインドネシア・バリ島です。
成田から直行便で約7.5時間。アジアのリゾートの中でも比較的物価が安く、それでいて確かな非日常を感じられるバリ島は、円安の今、高い満足度が得られる滞在先として、旅慣れた大人たちの視線を集めています。
今回は、“観光地を巡る旅”ではなく、“どう過ごすか”を楽しむ旅としてのバリ島をご案内します。
Text:Reico Watanabe
Edit:Yasumasa Akashi(pad inc.)
東南アジアを代表するビーチリゾートへ
バリ島と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、美しいビーチやラグジュアリーなヴィラ、スパやエステといったリゾートの風景かもしれません。もちろん、それらはこの島を語るうえで欠かせない魅力です。しかし、バリ島の真価は、その多彩な表情にあります。
感度の高いレストランやショップが並ぶ海辺の街、静寂に包まれた高級リゾートエリア、そして棚田や熱帯雨林が広がる内陸部。それぞれが異なる時間の流れを持ち、旅人の気分に寄り添ってくれます。
予定を詰め込みすぎず、気の向くままに過ごす。そんな余白こそが、大人の旅には心地よいのかもしれません。
サンセットに心ほどける、スミニャック時間。
バリ島南西部を代表するリゾートエリア・スミニャック。かつての素朴な漁村の面影を残しながらも、現在ではバリ島でも屈指の洗練された街として知られています。
ビーチ沿いには、トレンドを意識したレストランやカフェ、スパ、ブティックが点在。お気に入りの店を探しながら歩くだけでも、海外旅行特有の高揚感を味わえます。
夕方になれば、多くの人が海辺へと足を運びます。空がオレンジ色から深い藍色へと変わっていくわずかな時間。サーファーたちが波間に浮かぶシルエットを眺めながら過ごすサンセットは、スミニャックを代表する魅力のひとつです。
その象徴ともいえる存在が、海沿いの大型ビーチクラブ兼レストラン&バー「ポテトヘッド ビーチクラブ」。海に向かって開かれた空間では、食事やカクテルを楽しみながら、ゆっくりと沈む夕日を眺めることができます。にぎわいのなかにもどこか落ち着きがあり、“大人の遊び場”という表現がしっくりくる場所です。
旅先だからこそ、少しだけ時間にルーズになる。予定を気にせず、もう一杯だけワインを楽しむ。そんな心のゆとりを思い出させてくれるのが、スミニャックという街なのです。
何もしない贅沢に浸る、ヌサドゥアの休日。
バリ島南部に位置するヌサドゥアは、島内でも有数の高級リゾートエリア。整備された街並みと穏やかな海が広がり、喧噪から少し距離を置いた、落ち着いた時間が流れています。
大型リゾートホテルが立ち並ぶこのエリアの魅力は、観光の予定を詰め込まなくても十分に満たされること。朝はプールサイドで読書をし、昼は木陰でうたた寝を楽しみ、夕方にはビーチを散歩する。そんな何気ない時間の積み重ねが、日常では得難い豊かさをもたらしてくれます。
写真提供:MuYeeTing / iStock
海沿いの遊歩道を歩いて訪れたいのが、景勝地「ウォーターブロウ」。断崖に打ち寄せた波が勢いよく吹き上がる光景は迫力満点で、穏やかなヌサドゥアの風景のなかに、自然のダイナミズムを感じさせてくれます。
せわしなく観光地を巡るのではなく、その土地の空気に身を委ねる。ヌサドゥアは、“滞在そのものを楽しむ旅”の心地よさを教えてくれる場所です。
深い緑のなかで、自分を整えるウブド時間。
海辺の高揚感から離れ、島の内陸部へ。バリ島中部のウブドには、また異なる魅力が息づいています。棚田や熱帯雨林に囲まれたこのエリアは、古くから芸術と信仰の中心地として栄え、今では“心を整える場所”として世界中の旅人を惹きつけています。
象徴的な風景が「テガララン・ライステラス」。幾重にも連なる棚田にはみずみずしい緑が広がり、風が吹くたびに稲穂がやさしく揺れます。その景色を眺めているだけで、不思議と呼吸が深くなっていくのを感じるでしょう。
写真提供:ノンタン / PIXTA
ウブドでは、ヨガやスパを体験したり、森に囲まれたヴィラでゆっくり過ごしたりするのもおすすめです。“聖なる湧き水”で知られる「ティルタエンプル寺院」も外せません。沐浴で清めたあとは、地元の市場を散策し、カフェでひと休み。何か特別なことをしなくても、心が満たされていく感覚があります。
年齢を重ねるほど、旅に求めるものは変わっていくもの。刺激だけではなく、自分自身を見つめ直す静かな時間もまた、旅の醍醐味なのかもしれません。
グリーンシーズンという、もうひとつの贅沢。
バリ島のベストシーズンといえば、一般的には4月から10月頃の乾季を指します。しかし、もし旅の時期を自由に選べるなら、“グリーンシーズン”と呼ばれる雨季にも目を向けてみたいものです。
雨季といっても、日本の梅雨のように一日中雨が降りつづくわけではありません。短時間のスコールが降ることが多く、その後は青空が広がることも少なくありません。
むしろこの時期は、木々や棚田の緑がもっとも鮮やかに輝く季節。雨上がりの森に立ち込める湿った空気、濡れた石畳に映る木漏れ日、静かなヴィラで耳を澄ませる雨音。乾季とは異なる落ち着いた表情に出合えるのも、この季節ならではの魅力です。
宿泊費が比較的安くなることも多く、人気シーズンよりもゆとりを持って過ごせるのも嬉しいポイント。成熟した旅人だからこそ、この静かな贅沢を味わってみてはいかがでしょうか。
海辺でサンセットを眺めるひととき。静かなリゾートで何もせず過ごす休日。深い緑のなかで、自分自身と向き合う時間。バリ島には、それぞれ異なる豊かさが息づいています。
年齢を重ね、旅の経験を積み重ねてきたからこそ、「どれだけ多くを見たか」ではなく、「どんな時間を過ごしたか」が、旅の記憶を左右することに気づくのかもしれません。
何かを手に入れるためではなく、少し立ち止まり、自分を取り戻すために旅に出る。そんな成熟した大人の旅先として、バリ島はこれからも、多くの人を優しく迎え入れてくれるはずです。
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