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トヨタ博物館のドリームカーたちカローラが生み出した、クルマがある日常 Text & Photo:Daisuke Katsumura

Car

日本の高度経済成長期は、庶民の「いつかはマイカーを所有する」という夢を現実のものにします。1960年代中盤にトヨタのミドルサイズセダンとして登場したカローラは、堅牢さと経済性、そして高級感のある作りが評価され、庶民の足として記録的なセールスを記録しました。そこで今回は、カローラの初代モデルが展示されているトヨタ博物館へ訪れ、詳しくみていきましょう。

偉大な記録を打ち立てた「世界で一番売れたクルマ」

みなさんは「世界で一番売れている自動車」をご存知ですか? それが今回紹介するトヨタ カローラなのです。初代モデル発売から55年が経過した2021年、なんと世界中での累計販売台数が5000万台を突破。ちなみにトヨタ自動車が創業以来販売した車両は、累計2億6000万台を超えていますが、おおよそ5台に1台はカローラということになります。ちなみに1997年、それまでは抜かれることはないだろうと言われていたフォルクスワーゲン・ビートルの累計販売台数を抜いて世界一となり、ギネス記録も樹立しています。今回はそんな偉大な記録を樹立したカローラの初代モデルをトヨタ博物館に訪ねてみましょう。

上昇志向の庶民が共感した「デラックス感」

大衆車とはいえ、カローラには初代モデルから「デラックス感」が随所に盛り込まれていました。例えばフロントグリルのデザインは、縦スリットのフロントグリルを逆スラントに配置し、ヘッドライト周りも複雑な曲線を描くベゼルが取り囲む立体的なデザインを採用。またボディモールやロッカーモールなど、ボディサイドにもクロームパーツを配し、上品で高級な外観となっているのです。

実はこの「デラックス感」こそが、カローラが大成功を収めた大きな要因だったのです。当時の日本人は所得や経済状況が右肩上がりで、庶民も庶民なりの贅沢や高級感を欲していました。カローラは大衆車ながらこの高級感を欲する庶民に評価されたのです。

初代カローラは構造的にシンプルで当時主流だった2ドアセダンとしてスタートし、翌年に4ドアセダンが追加されます。2ドアセダンゆえにリアシート脇の窓は下げることができず、車内の換気のためにポップアウトするのが一般的です。カローラはこのポップアウトウインドーをフレームレスとし、ガラスのみが跳ね上がる仕組みとなっています。これによって後席の開放感はかなり向上しているのです。

新しいスタンダードを数多く採用したインテリア

カローラがデビューした当時の乗用車は、ベンチシートにコラムシフトというレイアウトが一般的でした。そんな中、カローラは若い世代もターゲットとするべく、セパレートシートにフロアシフトというレイアウトを導入。また当時は3速マニュアルが主流だった小型乗用車の中にあって、カローラは4速マニュアルを採用することで、スポーティなイメージを強調しました。

実際にカローラのデビュー当時は日本中に高速道路が開通しつつあり、これまで以上に高速走行性能が重要視されていた時代でした。そのため4速フロアシフトや、後述する1,100ccエンジンは他車に比べて大きなアドバンテージとなったのです。

フロントシートがセパレートとなったもうひとつ大きな理由がリアシートへの乗降性向上です。実は2ドアセダンであるカローラは、フロントシートを倒してリアシートに乗り込む必要があります。その際にセパレートシートはベンチシートよりもバックレストを倒すのが容易だったのです。また運転席と助手席がそれぞれシート位置などを調整できるというメリットもあり、その後徐々にセパレートシートは主流となっていきます。カローラはそんなトレンドを先取りしたといえるでしょう。

プラス100ccの余裕でハイウェイ時代をリード

カローラは当初大衆車である800ccのパブリカと中型セダンである1,500ccのコロナの中間を埋める1,000ccクラスを想定し開発が進められてきましたが、日産がのちに初代サニーとなる新型車を同じ1,000ccで開発しているという情報から、急遽、排気量を1,100ccに拡大することを決定します。これが来るハイウェイ時代にも見事にフィットしたというわけです。

実際に発売当時のキャッチコピーは「プラス100ccの余裕」。これはおそらく日産サニーをはじめとした同クラスのライバル車種を意識したものでした。この他にもカローラは当時の大衆乗用車としては初採用となる新機構を多数採用し、他車を大きくリードして商業的にも大成功を収めるのです。カローラの大躍進は初代モデルから始まっていたことを改めて実感しますね。

トヨタ博物館では、そんな初代カローラのデビューイヤーである1966年式が収蔵されています。取材時にはデビュー当初にライバルであった日産サニーが隣に並んで展示されていました。そんな二台を比較、観察できることも多くの車種を展示しているトヨタ博物館だから味わえる楽しみ方ですね。

【SPECIFICATIONS】
TOYOTA COROLLA

型式
KE10型
年式
1966年
サイズ
全長3,845mm×全幅1,485mm×全高1,380mm
ホイールベース
2,285mm
車両重量
710kg
エンジン
水冷直列4気筒OHV
排気量
1.077L
最高出力
44kW(60PS)/6,000r.p.m.

【DATA】
トヨタ博物館

住所:愛知県長久手市横道41-100
Tel:0561-63-5151(代表)
開館時間:9:30 〜17:00(入館受付は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:大人1,200円、シルバー(65歳以上)700円、中高生600円、小学生400円、未就学児無料(いずれも一般料金、税込み)
※文化館1階、3階は、どなたでも無料で入場できます。
※TS CUBIC CARDを提示し、カードでお支払いいただくと入場料を200円(小学生100円)引きいたします。
https://toyota-automobile-museum.jp/

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