iPhone13年間2億台近く売れるiPhone。世界一使われているカメラは、iPhone 13シリーズでどう変わったか?
Text:Takuta Murakami
昨年発表されたiPhone 12シリーズ、さらに2021年秋に発売されたiPhone 13シリーズは、いずれもカメラ機能が非常に向上しています。しかし変更内容が多岐に渡っていて、カメラに詳しい人でないと、何が変わったのか分からないと感じている人も多いと思います。そこで今回はiPhone 13のカメラ機能は、従来のモデルに比べて何が変わったか? 分かりやすく解説してみましょう。
まず、センサーとレンズが良くなっている
まず単純に言って、すべての写真がより美しく、より鮮明に映るようになっています。 これには大きく分けてふたつ理由があります。1つは、すべてのカメラユニットが前のモデルより大型化され性能が向上しているということです。もう1つはiPhoneのチップセットの処理速度がより速くなり、より高度な画像処理ができるようになったということが挙げられるでしょう。
まずは物理的なカメラユニットの性能の向上のお話をしましょう。広角と、超広角、2つのカメラユニットを持っている、iPhone 13とiPhone 13 miniについてです。
この2つの標準的なモデルの、一番スタンダートなカメラ、つまり26mmの広角レンズを使うカメラユニットでさえ、iPhone 12世代の最上位機種である12 Pro Maxと同等の大型センサー、明るいレンズを搭載しており、センサーシフト式の手ブレ補正機能を搭載しています。 これらの効果の大きさは、何気なく撮った普通の写真が明るく美しくなっていることで一目瞭然です。また、手持ちで撮ったごく当たり前の動画が、まるでプロが大きなカメラで撮ったかのような、手ブレの少ない安定した動画になることでも感じられます。また、超広角カメラの画質も向上しています。
iPhone 13 Proのレンズとセンサーはさらにすごい
iPhone 13 Proと、13 Pro Maxという最上位モデルのiPhoneでは、さらにバリエーション豊かな美しい画像を撮影することができます。
まず、iPhoneとしてのスタンダードなカメラ、つまり26mmの広角レンズを使うカメラについて解説しましょう。iPhone 13、13 miniは12 Pro Maxと同等のセンサーを積んでいるのですが、13 Pro、13 Pro Maxは、それよりさらに大きく明るいセンサーと組み合わせて搭載しています。つまり、歴代のiPhoneのカメラで、もっとも大きいセンサーを明るいレンズと組み合わせているということです。iPhoneの標準画角とも言うべき26mmの画角において、この基本性能の高さはとても重要です。
次に、13mmの超広角レンズにはオートフォーカスが搭載されました。比較的細かい部分に寄ることのない超広角では、あまり部分によることがないため、パンフォーカスでも問題がなかったのですが、よりクリアな画像を取得するために、AFを搭載したということです。そして、これにより、このレンズとAFを使うことで、マクロ撮影をすることが可能になりました。花や食べ物を撮る時にマクロ撮影が使えると、写真に大きな変化を付け加えることができます。
さらに、最大の変化として、77mmの望遠レンズが追加されました。
77mmという画角はプロのカメラマンがポートレートを撮影する時に使う画角です。つまり、ポートレートを顔を歪ませることなく、遠くから撮ったようにパースのつかないカタチで撮影することができます。また、テーブルの上にあるモノなどを撮っても歪ませずに撮影することができますし、ポートレートモードのようなデジタル処理をしなくても、手前や背景に写っているものをボカすことができます。これは高級な一眼レフで撮っているような効果を容易に与えてくれます。
さらに、2~3倍のデジタルズームを加えれば、150~230mmぐらいの中望遠レンズとしての撮影距離を持つこともできます。
この大きなレンズの追加が、一番大きな変化でしょう。
画像を一番大きく変化させているのは、プロセッサー
そして、何より大きな変化がA15 Bionicというチップセットを、iPhone 13 Seriesが搭載したということでしょう。
これにより、iPhoneは、ユーザーが1枚の写真を撮っていると思っている間に数枚の写真を撮り、その中で最もブレていない写真をセレクトしてくれます。また、複数枚の露出の写真を撮り、その中から適正露出で写っている写真をセレクトして提供してくれます。
A15 Bionicに搭載されているNeural Engineは、ディープラーニングを使った画像解析により、撮った瞬間に何を撮影したかを判別して、それに応じた撮影判断、画像処理を行ってくれています。
つまり、空ならよりノイズ感少なく、抜けるような青色に。人肌ならより滑らかに。食べ物なら少しハイキーにして暖色系にして美味しそうに。メカの写真ならよりエッジを立たせて、明るい部分と暗い部分のコントラストを際立たせて、メカメカしさを増すように。iPhoneは、何が写っているのかを理解して、撮影してくれいてるのです。これでは、普通の一眼レフが敵わなくなってくるのも当然です。
その特徴が一番出ているのが、アップルがウェブサイトで公開しているこの写真です。逆光ですから、普通だとみんな真っ暗なシルエットになってしまうようなアングルですが、iPhone 13 Proはそれぞれの表情をはっきりと適正な露出で撮影しています。また、従来のカメラなら、肌の白い人か、黒い人どちらかに露出を合わせるしかなく、そこに撮影者の人種的偏向が現れる可能性があったのですが、この写真ではiPhoneは、肌の白い人も黒い人もそれぞれ適正な露出で撮影しています。いわば、iPhoneは多様性に配慮した撮影のできるカメラなのです。
写したいものを写す、コンピューテーショナルフォトグラフィーの凄さ
それだけではなく、iPhoneはすべての写真を適切露出かつ、ドラマチックになるように演出してくれますし、ポートレートモード、ライブフォト、ナイトモード、ディープフュージョン、フォトグラフスタイル、バーストモードなど、高度な撮影機能を誰もが利用可能です。
さらに動画では、まるでハリウッド映画のような焦点効果を与えてくれるシネマティックモードをはじめ、タイムラプス、マクロ動画など、本格的な映画撮影でも使えるほどのクオリティの機能を搭載しています。
実際に映画で使うような高度な静止画、動画が必要な際には、Apple ProRAWや、ProResなどのあとで高度な編集が可能なデータ保存形式を用いることが可能です。ただし、この静止画と動画の機能は、恐ろしく多くのストレージを必要とするので、日常的な利用には向きませんが。
これらの機能は、A15 Bionicの処理能力により実現しているので、セルフィーを撮るインカメラでも利用可能なところも驚きです。
ある意味では、一眼レフを超えている
iPhone 13シリーズは、高度なコンピュータの処理能力によって、プロが使う一眼レフの撮影機能を、一般ユーザーの使うスマートフォンで超えようとしています。
撮影できる写真は非常にハイレベル。でも、利用者側には深い知識や、高度なテクニックは必要ない。誰でも美しい写真を撮れる。それがiPhone 13シリーズの凄さなのです。
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