ROLEX 、TAG Heuer、Grand Seiko時計ジャーナリストが教える、一目置かれる最新ビジネス・ウォッチ3選

2025年4月に開催された世界最大級の時計見本市「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ 2025」で発表されたニューモデルが、時計店や百貨店に並び始めました。今年のトレンドはケースの小径化、文字盤カラーの多様化、そして機能・精度の向上の3つ。ビジネスシーンで一目置かれるだけでなく、持つ喜びと贈る喜びも与えてくれる最新・最旬タイムピース3本を、スイス現地取材を行った時計ジャーナリスト数藤 健さんが紹介します。
Text:Ken Sudo
Edit:Shigekazu Ohno(lefthands)
1. ロレックス オイスター パーペチュアル
スイス時計の代名詞が、ニュアンスカラー文字盤を纏った

ロレックスは、文字盤の多様性と独創性で高い人気を博している「オイスター パーペチュアル」コレクションを今春、さらに充実させました。柔らかく落ち着いたパステルカラーの文字盤を新採用。ラベンダー、ベージュ、ピスタチオグリーンなど、新しいラッカー仕上げの文字盤はマット仕上げが特徴です。
「オイスター パーペチュアル」コレクションは、1926年の発売以来、高い評価を得てきた世界初の防水腕時計、初代オイスターの直系の子孫です。これらのタイムピースは、スイス公認クロノメーター検定協会(COSC)が定めた高精度を満たすムーブメント、防水性オイスターケース、パーペチュアルローターによる自動巻きムーブメントといった同コレクションの基本的な特徴をすべて備えています。

ケースは直径28mm、31mm、34mm、36mm、41mmの5サイズがあり、水深100m(330フィート)までの防水性が保証されています。ミドルケースはオイスタースチールの塊からつくられ、ポリッシュ仕上げのドーム型ベゼルが採用されています。細い溝が入ったケースバックは時計職人により特別なツールで密閉され、ダブル防水システム搭載のリューズはケースにしっかりとねじ込まれます。風防は傷のつきにくいサファイアクリスタルでできており、反射防止コーティングが施されています。

なお、文字盤カラーは「オイスター パーペチュアル 41」のみラベンダー仕様がなく、そのほかのモデルはラベンダーを含む3色すべてが追加されました。また41mmモデルはケースやフォールディング・クラスプ(留め金)がスリムになり、洗練度を増しました。
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2. タグ・ホイヤー カレラ デイデイト
約80時間パワーリザーブの3針・日付曜日表示モデル

今年、F1の公式タイムキーパーに復帰したタグ・ホイヤー。クロノグラフなどのスポーツウォッチのイメージが強いかもしれませんが、時針・分針・秒針とバーインデックスを文字盤に備える、クラシカルかつエレガントな3針モデルもラインアップしています。
今年の新作の「タグ・ホイヤー カレラ デイデイト」は、パワーリザーブ(機械式ムーブメントの駆動時間)が約80時間と長いのが魅力。仮に金曜日に時計を外し、週末に身に着けずにいても、月曜まで余裕で時を刻みつづけます。文字盤の3時位置に、視認性のよい日付および曜日表示も備えているので、ビジネスユースにも最適。

特筆すべきは、新しいクイックチェンジリンクシステムを備えるブレスレット。工具なしで、リンク(コマ)の取り外し・調整ができるのです。高温多湿の時期、汗に強いブレスレット仕様の腕時計は重宝するもの。夏はブレスレットを少し緩めにして、風通しをよくするのもいいでしょう。パートナーと共有・共用する場合、このアジャストのしやすさはありがたいものです。
「タグ・ホイヤー カレラ デイデイト」は、ブラック オパーリン文字盤にローズゴールド・インデックスを合わせたモデル(記事冒頭写真)のほか、スモーキーレッドおよびブルー文字盤のモデルを用意。第2時間帯の時刻を表示するGMT針を持つグリーン文字盤の「タグ・ホイヤー カレラ デイト ツインタイム」も展開されています。いずれも、60万円台というコストパフォーマンスの高さも魅力です。

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3. グランドセイコー エボリューション9コレクション
スプリングドライブU.F.A. SLGB003
年差±20秒の高精度“スプリングドライブ”搭載

機械式時計とクオーツ時計の利点を組み合わせた、セイコー独自のムーブメントが「スプリングドライブ」。ぜんまいの動力源を使いながら、水晶振動子とIC(集積回路)で制御することで、機械式時計を上回る高精度となめらかな針の動きを両立しています。「グランドセイコー」専用の最新型キャリバー“9RB2”は、3カ月の入念なエージングを経た水晶振動子と新設計の省電力ICを用いることにより、年差±20秒という異次元の超高精度を実現しました。
その精緻な心臓を初搭載したのが、今年のウォッチズ・アンド・ワンダーズでお披露目された「エボリューション 9 コレクション スプリングドライブ U.F.A. SLGB003」。ぜんまい駆動式の腕時計としては、世界最高の精度を誇ります(*2025年4月現在)。ちなみに、時計名につく“U.F.A.”はUltra Fine Accuracy=超高精度の略です。

ケース直径は今年のトレンドである小径で、37mm。ケース素材は耐傷性に優れ軽量のブライトチタン製です。正確に時を刻み、小さく、軽く、傷つきにくい――実用時計としてまさに理想的な一本といえるでしょう。

文字盤は、この時計の製造地である信州地方(長野県)の空気の澄み切った雪原に林立する樹氷の美しさを、精緻な型打ち模様で表現したもの。光の具合により、多彩な表情を見せます。“和”を感じさせる文字盤を持つグランドセイコーは、日本を代表する時計のひとつとしてインバウンド(訪日外国人観光客)にも人気です。
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セイコーウォッチお客さま相談室
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ここに挙げた3モデルは知名度や性能、見た目の質感・高級感も申し分のないもの。クルマ好きのお眼鏡にも、きっと敵うはず。身に着ける人のモノ選びの見識・知識とセンスを物語る、理想の腕時計といえるでしょう。
プロフィール
数藤 健(すどう けん)/ビジネス誌『週刊ダイヤモンド』で1998年からバーゼル/ジュネーブの時計見本市取材を開始。新潮社『ENGINE』編集部に2003年~2009年に在籍。その後『地球の歩き方』MOOK/Web編集長などを経て2021年に独立。2024年から『ENGINE』誌コントリビューティング・エディターとして時計担当を務める。独立後はほかにも『ウェブクロノス』『芸術新潮』『文春オンライン』などの媒体で時計情報を発信。時計取材歴27年のベテラン。