プロも認める高画質×初心者でも使いこなせる操作性ミラーレスカメラが拓く新しい世界――飛躍する写真表現力

SNSが生活の一部となり、誰もが写真で日常や思いを表現する時代。そんな今だからこそ、スマートフォンでは捉えきれない世界を写し、自分らしい一枚を追求する楽しみが求められています。写真表現の可能性を広げるミラーレスカメラの魅力に迫ります。
Text:Kazuo Hashiba
Edit:Yasumasa Akashi(pad)
写真の歴史は、時代を記録し事実を伝える報道の歴史であり、アーティストがレンズを通して世界を捉え表現する芸術の歴史でした。同時に市民の間では、人の記憶を補完し、よりよい人間関係を築き、私たちの思い出をシェアするツールとして進化した歴史もあります。カラーフィルム、インスタントカメラ、モータードライブ、オートフォーカス、画像のデジタル化・・・といった歴史的な新技術の登場で撮影方法も進化を遂げてきました。
SNS時代に進化した「写真」の役割
一方で、近年「写真」のあり方を大きく変えたのはソーシャルメディアの登場と利用者世代の拡大です。総務省の「情報通信白書」(令和6年版)では、日本のソーシャルメディア利用者数(SNS等を月1回以上定期的に利用する人数)は、2028年に約1億1,360万人まで増加すると予測。アメリカの調査団体Photutorial社の調査では、現在、世界のSNSユーザーはソーシャルメディアを使い、毎日140億枚の画像を共有しているといわれています。かつて「写真のプロフェッショナル」が担った、時代を記録する写真、表現としての写真は、技術革新とソーシャルメディアを通して、今日、私たちが記録し表現する手段へと変化を遂げています。
ただし、その「写真」の約93%はスマートフォンやカメラ付き携帯電話で撮影されたもの。「カメラ」を使って撮影した画像はわずか約8%に過ぎません(イギリスのフォトプリントサービス店Max Spielmann社調査)。たしかにスマートフォンの撮影機能はどんどん高性能化していますが、レンズサイズや画質の限界は否めず、そこに止まっていては、自身が撮影する「写真」のクオリティーも上がりません。自分が感じ、体験したように「伝える/表現する写真」を発信するためのツールとして、自分に相応しい「カメラ」を手に取り、撮影することをおすすめします。
ミラーレス一眼と交換レンズで広がる写真表現

スマートフォンとカメラの大きな違いは、搭載するレンズとイメージセンサーのサイズにあります。口径の大きなレンズはより多くの光量を取り込み、イメージセンサーのサイズが大きいほど、レンズを通した光を電気信号に変換する性能が高まります。そのためスマートフォンでは難しい暗部での撮影も可能にし、動体や微細な被写体をしっかりと画像化できます。
スマートフォン以上の画像クオリティーと写真表現の幅を広げる「カメラ」のエントリーモデルとして、ぜひ推奨したいのがミラーレスカメラです。一眼レフカメラに比べて軽量で購入しやすく、シャッタースピードや絞り、感度を自動設定する機能や手ブレ補正など、カメラ初心者でも思いどおりの「写真」を撮影できる操作性のよさも特徴でしょう。もちろん撮影条件や被写体に合わせて、自分で細やかな設定が可能なので、撮影機能を使いこなす楽しさも得られます。自分ならではの設定でオリジナリティの高い「写真」表現を実現できる。これもミラーレス一眼の魅力といえます。
さらにオリジナリティの幅を広げるには「交換レンズ」の活用にも注目です。ミラーレス一眼は、広大な風景を一枚の写真に収める広角レンズ、遠くの被写体を捉えるズーム機能を備えた望遠レンズ、背景ボケなど味わいのある撮影を可能にする単焦点レンズなど、多様な機能をレンズ交換で可能にします。
こうした交換レンズの面白さにハマってしまうことは「レンズ沼」ともいわれますが、そのハマり方でマニアックな人気となったのが「オールドレンズ」です。最新機能を備えた21世紀のミラーレス一眼にマウントアダプターを装着し、20世紀のオールドレンズを取り付けて撮影するアンビバレントな楽しみ。カラーフィルム以前の時代のレトロレンズや、過去の多くの名写真家たちが愛した名作レンズを中古店などで安価に買い求め、自分のミラーレス一眼に搭載して撮影することが可能になります。高解像度で高性能な現在のレンズによる撮影とは違う、彩度やコントラストが曖昧なオールドレンズ特有の幻想的な写真表現で、雑味も味わいになる自分だけの「写真」が楽しめます。

気軽なスマートフォン撮影も魅力的ですが、カメラ機能とレンズの組み合わせでソーシャルメディア上の140億枚/日の画像に埋もれない、自分らしい写真を楽しんでください。エントリーモデルとしておすすめのミラーレスカメラと、SNS表現に特化した画角が特徴の最新カメラを紹介します。
2025年版おすすめミラーレスカメラ①
Canon EOS R50

軽量・コンパクト。初心者でも美しい写真が撮れるエントリーモデル。カメラが自動で人や動物の瞳を検出しピントを合わせる瞳トラッキングや多様なクリエイティブアシスト機能、スマートフォン感覚で操作できるタッチパネルなど初心者や初めてのミラーレスユーザーにおすすめ。最大約2,420万画素とCMOSセンサーと最新の映像エンジンDIGIC Xの搭載で、圧倒的な高画質を実現。
URL:https://personal.canon.jp/product/camera/eos/r50/
2025年版おすすめミラーレスカメラ②
FUJIFILM X-T50

フィルムカメラを彷彿とさせるX-Tシリーズのデザインを継承しながら、わずか438グラムの軽さを実現。フィルムカメラのような操作性と高い色再現力で写真愛好家に人気。新世代X-Trans CMOS 5HRセンサー搭載。ボディ内手ブレ補正も搭載し、気軽なスナップ撮影にも最適です。富士フイルムの色再現技術を結集させた全20種類もの「フィルムシミュレーション」搭載。
URL:https://www.fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-t50/
2025年版おすすめミラーレスカメラ③
SONY α7C II

α7Cシリーズの第2世代モデル。小型・軽量設計のフルサイズミラーレスで高性能と携帯性を両立。ボディ内手ブレ補正機能を備え、有効最大約3,300万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー搭載。AIプロセッシングユニットにより被写体認識AFが大幅強化。動画機能も充実し、旅行や日常スナップなどの幅広いシーンで、静止画・動画問わず、どちらも本格的に楽しみたい中級者向けモデルです。
2025年版おすすめコンパクトデジタルカメラ
FUJIFILM X half

SNS時代に刺さる“縦型ハーフ”という新感覚。Instagram・リールなどの“縦構図主流メディア”にぴったりの画角で、日常スナップやVlogにもフィット。「デジタル時代の新・写ルンです」ともいえる存在に。クラシックなデザイン、アナログ操作の楽しさを感じるフィルムカメラモード、2枚の写真を1枚にできる「2-in-1」機能など、独自の設計とユーザー体験が大きな魅力です。SNS表現に特化するなら、一眼レフでもミラーレスでもなく、時代に合わせて進化したコンパクトデジタルカメラという選択も。
URL:https://www.fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-hf1/