今、駅近サウナの進化がすごい!サウナーたちが選ぶ“都市型サウナ”3選――整いの、その先へ

サウナは今、“ただ汗をかく場所”から、“自分と向き合う体験空間”へと進化を遂げています。とりわけ注目を集めているのが、建築美や空間演出、カルチャーとの融合を実現した、“男女問わず楽しめる、モダンなサウナ”。主要ターミナル駅からアクセス抜群な、東京・名古屋・大阪の注目の都市型サウナ3施設を厳選してご紹介します。
Text:Reico Watanabe
Edit:Yasumasa Akashi(pad)
近年、サウナは“整う”という言葉に象徴されるように、単なる健康法や汗をかく場としての枠を超え、心とからだ、ひいては思考までも調律する「体験の場」として再定義されつつあります。特に感度の高いエグゼクティブ層のあいだでは、サウナを単なる習慣ではなく、「余白」として日常に取り入れる動きが広がっています。
こうした流れの中で今注目されているのが、建築美、空間演出、地域性やカルチャーといった要素を兼ね備えた“おしゃれサウナ”です。本記事では、東京・名古屋・大阪それぞれの都市で、思想とデザイン性を両立させた3つの施設を厳選。それぞれのサウナが持つ独自の哲学に触れながら、「整いの、その先」を見つめていきます。
■東京――渋谷SAUNAS|渋谷駅から徒歩約3分

都会の真ん中に“迷い込む森”がある
東京・渋谷の喧噪を抜けた先、桜丘町の一角に突如として現れるのが、渋谷SAUNASです。外観はまるでギャラリーのようなたたずまい。中に足を踏み入れると、そこは都市とは思えぬ静けさと木の香りに包まれた「異空間」。まさに“迷い込む森”のような感覚を味わえます。

施設内には個性の異なる9つのサウナが用意されており、熱気・湿度・香りなどの違いを楽しみながら、自分の好みに合った心地いいひとときをお過ごしいただけます。

印象的なのは、空間ごとに設計思想が明確に表現されている点です。例えば「MUSTA(ムスタ)」と呼ばれるサウナは、照明を抑え、落ち着いた空間で熱したサウナストーンに自分で水をかけて水蒸気を発生させるロウリュを楽しむ、THEフィンランドサウナ。その他にも、音楽家とくさしけんご氏と音響設計を手掛けるWHITELIGHTが共同開発したサウンドシステムを搭載したサウナ室「SOUND SAUNA」や、木の上であぐらをかくスタイルでサウナストーブを囲む、茶室をイメージした「TEETÄ(テータ=茶)SAUNA」など、個性あふれるサウナが勢ぞろい。

都市の中心で、五感を解放し、自分と向き合う。そんな新しいサウナ体験を求める方にとって、渋谷SAUNASは理想的な選択肢といえるでしょう。
渋谷SAUNAS
住所:東京都渋谷区桜丘町18-9
アクセス:JR「渋谷駅」新南改札より徒歩約3分
営業時間:8時〜24時
休館日:不定休
※イベントなどによる休業日があります。各SNSをご確認ください。
駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)
入場料:平日3,200円/土曜・日曜・祝日・特定日3,900円
男性 2時間30分制/女性 3時間30分制
延長1時間ごと800円、朝割/夜割/デイサウナ(5時間 平日限定)などサービスあり。
※価格はすべて税込みです。
URL:https://saunas-saunas.com/shibuya/
■名古屋――ウェルビー栄|栄駅から徒歩約5分

本場フィンランド文化と都市の洗練を融合させた、成熟のサウナ体験
サウナの本場フィンランド。その文化や哲学を、日本という都市生活の中でいかに融合させるか。そんな挑戦を体現しているのが、名古屋・栄に位置するウェルビー栄です。
この施設の最大の特長は、都市型でありながらも“森と湖の国”フィンランドのエッセンスをしっかりと取り入れている点にあります。例えば、セルフロウリュが可能な本格的なフィンランド式サウナ、氷点下のアイスサウナと水風呂を備えた「ラップランド」など。まるで北欧の山小屋にいるような心地よさを感じることができます。

サウナはもちろん、植物の枝葉を束ねた「ウィスク」で身体を叩いて血行を改善するウィスキングや、サウナマスターによるサウナ内の蒸気を撹拌させるアウフグース、さらにはサウナヨガも楽しめるのも大きな魅力。日常から切り離されたこの空間でこそ、思考の再整理や創造のインスピレーションが得られる――そんな感覚を呼び起こしてくれる場所です。

2023年には、女性専用エリア「Forest House」や、男女共用で最大70名まで同時入室可能な巨大モニター&音響・照明完備の「Sauna Theater NAGOYA」も3階に誕生。立ち飲みスタイルの「Sauna Bar」も新設されるなど、さらに進化を遂げています。

ウェルビー栄
住所:愛知県名古屋市中区栄3-13-12
アクセス:名古屋市営地下鉄東山線・名城線「栄駅」8番出口から徒歩約5分
休館日:不定休
駐車場:なし(近隣の一部の駐車場利用で駐車サービス券の発券あり)
男性専用サウナ
営業時間:通常サウナ 5時〜24時、ナイトサウナ 24時〜5時
入館料:平日2,000円/土曜・日曜・祝日・特定日2,500円
ナイトサウナ 平日2,500円/土曜・日曜・祝日・特定日3,000円
※通常サウナ、ナイトサウナともに2時間制、延長1時間ごと500円。
※ナイトサウナは延長不可。
※価格はすべて税込みです。
「Sauna Theater NAGOYA」は23時〜翌12時までは利用不可。また、「Sauna Theater NAGOYA」で開催されるイベントにより、参加料金が発生する場合あり。
女性専用サウナ(Forest House)
営業時間:12時〜23時 ※22時最終入館
入館料:平日2,000円/土曜・日曜・祝日・特定日2,500円
2時間制、延長1時間500円
※価格はすべて税込みです。
「Sauna Theater NAGOYA」で開催されるイベントにより、参加料金が発生する場合あり。
URL:https://www.wellbe.co.jp/
■大阪――大阪サウナ DESSE(デッセ)|心斎橋駅から徒歩約3分

都市の水辺とともに、「整い」を再構築する新感覚サウナ
大阪・心斎橋の中心に2023年春に誕生した「大阪サウナ DESSE」は、水の都・大阪の文化をモチーフに、都市の中に“川”や“森”を感じさせる大胆かつ繊細なデザインが特徴のサウナ施設です。館内には、趣向の異なる8種類のサウナと複数の水風呂、そして温かい風呂が点在し、まるでテーマパークのように巡ることができる、ほかに類を見ない構成となっています。
中でも、サウナ室内からそのまま水風呂に飛び込める「川サウナ」は、約16℃の冷水が流れる空間で都市と自然が交差するユニークな体験を提供。高温・多湿の静かな空間で自分自身と向き合える「森サウナ」や、半外気浴エリアに面した開放感あふれる「庭サウナ」では、静と動、孤と社交、それぞれの整い方を自由に選ぶことができます。

また、畳敷きの床と茶葉ロウリュが和の情緒を醸し出す「茶室サウナ」、川サウナとつながる「川サウナ蔵」、さらにはウィスキングが用意された「はなれサウナ」など、デザインや香り、体感温度の異なる空間が随所に用意されており、その日の気分や体調に合わせて選べるのも魅力です。

最大6名まで利用できる完全個室の「結びサウナ」は、サウナ、水風呂、休憩スペースに加え、食事や飲み物も楽しめる特別仕様の貸し切り空間(完全予約制、水着着用)。同性グループや家族、LGBTQの方への配慮も行き届き、よりプライベートに整う時間を演出してくれます。

水風呂は全部で4種類。中でも、水深150cm・10℃以下に保たれた「深水風呂」は、関西でも稀少な冷却体験のできる水風呂として人気を集めています。サウナ後は、川辺を思わせるラウンジでひと息。大阪ソース焼きそばや大阪ソース飯など、サ飯も充実しています。
大阪サウナ DESSE
住所:大阪府大阪市中央区南船場3-6-18 ケーズビル心斎橋 4階
アクセス:Osaka Metro 御堂筋線、長堀鶴見緑地線「心斎橋駅」から徒歩約3分
営業時間:11時~翌朝9時(最終受付8時)
定休日:不定休
駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)
入場料:ショート1時間コース 1,900円(6時〜9時、11時〜17時限定)、2時間コース 2,900円(平日は2.5時間コース 24時〜翌朝6時 +2,000円)、フリーコース 3,900円(24時〜翌朝6時 +2,000円)、ナイト3時間 3,900円(22時〜翌朝6時限定)
※価格はすべて税込みです。
URL:https://desse.osaka/
自分と向き合う「整い」の選択肢
今回ご紹介した3つのサウナ施設に共通するのは、いずれもターミナル駅からわずか数分という大都市の中心部にありながら、心と感性を静かに回復させられる、癒しの場所であるということ。そして、それぞれが異なるスタイルと独自の哲学を持ちながらも、「自分と向き合う体験空間」として、共通した価値を提供しています。
時間に追われる毎日の中でも、意識的に「何もしない」時間を持つこと。それは単なる休息ではなく、次なるパフォーマンスへの準備にも欠かせないもの。サウナという空間は、今やそうした「余白の時間」を能動的に生み出すための選択肢となっています。空間とからだ、時間と温度、そして思考と沈黙――そのすべてがひとつの線で結ばれた瞬間、私たちはようやく「整った」といえるのかもしれません。自分と静かに向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。
