ドラコンチャンプが飛ばしのコツを伝授!
南出仁寛の『飛距離アップレッスン』
VOL.3 飛ばしたかったら力を抜こう
432ヤードの元日本記録を持つ南出仁寛プロ。だが2022年7月に腰を手術し、体重も11キロ減量。また45歳を迎えたこともあり、120%で振るスイングからチェンジした。現在は「ゴルフにつながるドラコン」を目指すJPDA(日本プロドラコン協会)で活動する南出プロに教わる飛ばしの秘技。いよいよ今回から、飛距離アップをもたらすスイングの核心に迫ります。
7~8割の振りで距離と方向を両立
みなさん、お待たせしました。今回から飛ばしのレッスンを始めていきます。
僕が出場するJPDAのレギュレーション(規定)は、1ラウンド3打のうち、グリッド(測定対象となる横幅)をとらえた最長飛距離がそのラウンドの記録となります。チャンピオンズリーグであれば3ラウンド行い、その合計飛距離で勝敗が決まります。
つまり、3打のち1打はグリッド内に収めないと記録が伸びません。ドラコンでありながら、飛距離だけでなく方向性の大切さも求められるのです。
かつては100パーセント以上、120パーセントぐらいで振るつもりで、もう行けるところまでバックスイングを大きく上げてやってたんですけど、それはしなくなりました。
1球目でポンとグリッドに入れば、あとはちょっとずつ振りを強めていきます。でも、2球目まで外してしまうと、最後は入れに行く必要があります(意外と入れに行っても入らないのですが)。
球を散らしてはいけない状況で、僕が今イメージしているのは「ボールの前後ヘッド1個分の間は真っ直ぐ」。でも、それを手でしないことです。
ボールをはさんで前後ヘッド1個分ずつの間を、ヘッドが真っ直ぐ動くイメージ。それを手だけで動かすのではなく、体を回しながら行うのです。
このイメージがあればフルショットにはならず、自然と7~8割ぐらいの感じで振ることになります。思いっきりバチン! と叩きに行くスイングになることはありません。
インパクト前後のゾーンを意識することで、力みが抑えられ、マン振りを防ぐ効果があるのです。
アマチュアの方も、飛ばそうとするとボールの1点に向かって打ちに行くスイングになる人が多いですね。でも、いくら飛んでもOBに曲げてしまえばスコアに繋がりません。
点ではなく線、ゾーンでボールをとらえれば、ヘッドの軌道が安定し、飛距離と方向性を両立できます。
アドレスで腰を反らせない
アドレスも重要なポイントです。
一番気をつけたいのは、腰をあんまり反らせないこと。その理由は、インパクトで体が起き上がりにくくするため、そして腰を痛めないためです。
股関節は、ある程度は入ってもいいんですが、入れるほどに腰はギュッと反ります。
腰が反ると、背骨の左右の筋2本が出ます。そうではなく、筋が出ないでペタッとなるように構えるのです。
ちょっと腰を伸ばしてあげるというか、反るのではなく、丸くする。ただし、猫背はダメですよ。
鉄棒にお腹をつけて寄りかかるイメージ。あるいは、池に入ったボールを取るときに、池の淵ギリギリで手を伸ばすようなイメージですね。
腰を引いて反らすのではなく、前のめりに伸ばす感じ。
腰を反らすと硬い筋が出て、自分で触ってもわかるので、両者の違いを実感してみて下さい。
腰を丸く構えれば胸はボールを向く
腰を丸く使ってほしいのにはもう1つ理由があります。
腰を反らせた状態で前傾すると、腰が痛いというのもあるんですけど、胸がめっちゃ前(正面)を向くんです。これではスイング中に体が起き上がりやすくなってしまいます。
ボールは下にあるわけですから、下に力を使いたい。腰を丸くすれば、胸は下を向きます。
腰を反らせた姿勢は、「力感のあるいいアドレス」に見えるかもしれません。でも、その構えをすることで体の動きが抑えられ、パワーが下に向かず、7割ぐらいしか発揮できなくなります。
野球でもテニスでも腰を丸く使っています。腰を反らせた姿勢でボールを待つことはしません。たぶん、全部のスポーツがそうだと思います。
アドレスでは力の出る構えをしてあげる。無駄な力を構えで使わないことです。
南出仁寛(みなみできみひろ)
1978年大阪府生まれ。15歳からゴルフを始め、ゴルフ部主将を務めた大阪桐蔭高校時代は日本ジュニアにも出場。龍谷大学卒業後、オーストラリアにゴルフ留学を経て2006年プロに転向し、ドラコン大会2戦目にて403ヤードの日本記録を樹立する。その後もコンスタントに記録は更新し、自己最長は432ヤード(元レコードホルダー)。21年からJPDA(日本プロドラコン協会)に活動の場を移し、「男子・オープン 無差別級」「男子・シニア 無差別級」「男子・シニア -78kg級」の3冠に輝いている。177cm・71kg。45歳。
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