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旅する惑星世界の伝統的テントライフ photo:PIXTA

Travel

広大な草原や砂漠を旅するように、馬や羊などの家畜とともに生活の拠点をうつしつつ生きてきた世界の遊牧民たち。彼らの野外生活に欠かせない移動式住居には大自然の中で暮らす知恵と工夫が詰まっています。ゲル、ティピー、イグルーなど、歴史のあるキャンプスタイルのルーツを紹介します。

  • モンゴルの冬の寒さに耐え得る
    気密性に優れた「ゲル」の暮らし

    モンゴルは、国土の約80%が草原地帯です。この壮大な大地で暮らすため、人びとは季節ごとに牧草地を替えながら羊や山羊、馬などの家畜とともに移動するという遊牧文化が発達してきました。そんな遊牧民の暮らしの拠点となっているテント、それが「ゲル」と呼ばれる移動式住居です。

    ゲルは、中央の2本の支柱から放射状に梁が設置された直径5〜8.5mの円形テントで、壁や骨組みに布や羊毛のフェルトをかぶせて気密性を高めているため、冬場のキャンプにも対応。ゲル内はゆったりとした空間にはテーブルやベッドが置かれ、中央の天窓下にはストーブを兼ねた炉が設置されているので料理も作れます。

    ゲルのような体験をしたいなら、私たちがテント選びを考える時、2ルームテントを選択するのもおすすめです。寝室とダイニングという発想につながる空間の要所に、温かなフェルト生地をあしらいながら、自分だけの居心地を実現してみましょう。

  • ネイティブ・アメリカンの狩猟拠点
    とんがり屋根が特徴の「ティピー」

    とんがり屋根のお洒落なデザインがグランピングやキャンプシーンを華やかに演出し、アウトドア好きから人気を集めているのが「ティピー」。

    もともとは北アメリカの平原に住む狩猟部族のネイティブ・アメリカンが、夏の間、バッファローや鹿などの動物を狩猟する際の野営用住居として用いていました。柱を放射状に組み上げた骨組みに布を巻き付けた円錐形テントで、上部に煙を排出する穴が開いているため、安全と換気に十分気を付けつつテント内で焚き火もできます。

    巷のキャンプ用品店では、設営が簡単で見た目にもワクワクさせられるティピーをモチーフにしたワンポールテントが販売されているので、大自然の中で行われる野外フェスなどに活躍させるのもいいですね。

  • トナカイの毛皮で保温性を高めた
    サーミ人の移動式住居「コータ」

    北欧と呼ばれるスカンディナビア半島北部のラップランド地方には、少数民族サーミ人がいます。彼らは自分たちの住む地域をSapmi(サプミ)と呼び、夏は海岸沿い、冬は内陸部へトナカイとともに移動しながら極北の大地で遊牧生活を行っていました。

    移動先では「コータ」と呼ばれるネイティブ・アメリカンのティピーに似たテントを利用し、三角錐状の柱の骨組みにトナカイの皮をかぶせ、テント内にもトナカイの毛皮を敷いて寒さ対策をしていたといいます。(現在は時代の流れとともに遊牧生活を続ける人びとはほとんど居なくなりましたが、現地のウィンターマーケットなどに「コータ」が登場し、サーミ人の遊牧生活の様子を垣間見ることができます。)

    サーミ人の知恵を借りて、私たちのキャンプでも朝晩が冷える時季には羊毛のブランケットなどを床に敷いて、ちょっとしたグランピング気分を味わいつつ、地面からの冷えを予防するのもおすすめです。

  • 旅するようにラクダと暮らす
    砂漠の民による黒いテント

    アラビア半島を中心にシリアや北アフリカなどの砂漠地帯で遊牧生活を送るベドウィン族。冬の雨季は砂漠に、夏の乾季は川や泉のある耕作地付近に移動し、ラクダや羊を放牧して暮らしています。

    遊牧先では、垂直に立てた柱を山羊の毛で織った生地を紐で補強した黒布で覆い、ロープで固定する張力構造の黒いテントを活用します。長さ6〜9m、奥行き約3m程度の広さで、屋根部分を平坦に張ることによって砂嵐や風からの抵抗を少なくする工夫が行われています。このテントには自然の脅威から身を守り、野外で快適に過ごすための知恵が詰まっています。

    このアイデアを参考にしながら、潮風を受けるビーチキャンプや風が強い日のキャンプ場でのタープの張り方に工夫を凝らしたり、そして可能な範囲でテントを張る時の参考にしたりするのもおすすめです。

  • 暖かく過ごすための工夫が詰まった
    イヌイットの雪の家「イグルー」

    イヌイットとは、カナダ北部のアラスカ国境近くやグリーンランドのツンドラ地帯に暮らす先住民族。現在は定住化が進んでいますが、かつては冬の間、犬ゾリで移動しながらアザラシなどの狩りを行っていました。

    その際に作られたのが、切り取った雪のブロックを下から順に積み上げた「イグルー」と呼ばれるドーム形の雪の家。天井の高さは2m程と低く、室内では座って過ごすスタイルだったそうです。風が吹き込まないように入り口から居住空間までの通路を少し曲げた構造にしたり、動物の毛皮を床に敷くなどで保温性を高める工夫を凝らしたり。

    冷気予防のこういった工夫を参考にしながら、寒い季節はテント内の動線を布壁などでちょっと変えてみたり、家族みんなで冬シーズンの雪遊びとしてイグルー作りに挑戦したりするのも楽しそうです。

  • 天井の最頂点に先祖の魂が宿る
    騎馬遊牧民が暮らした「ボズウイ」

    キルギス共和国の主要民族である騎馬遊牧民のキルギス人。羊や馬、ラクダなどの家畜を遊牧する彼らの暮らしに欠かせなかったテントが「ボズウイ(ユルタ)」です。

    モンゴルのゲルにも似ていますが、キルギスでは骨組みに白樺や柳などの材木を使用し、屋根や壁に圧縮フェルトを用いるのが特徴です。夏は涼しく、冬は暖かい、草原での暮らしに適した住居で、家の中にいるような安心感に包まれながら季節を問わずにキャンプを楽しめます。

    私たちのキャンプでも、例えばテントの出入り口の一面に、カラフルな色を飾るように圧縮フェルトを飾って寒さ予防に役立てるのも一案です。その空間に、やさしい光を放つランプ、肌触りのいいブランケットなど、リラックス感を誘うアイテムを飾って、テント内をゆったり系に演出することで、さらに素敵なひとときを過ごせそうですね。

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