砂丘を歩き、湯に癒され、紅葉を愛でる松葉がにを求めて鳥取へ
Text:Reico Watanabe
Edit:Yasumasa Akashi(pad inc.)
冬の訪れを告げる味覚として知られる、松葉がに。山陰地方の日本海側で水揚げされる雄のズワイガニを指し、身の締まりと上品な甘みで知られています。漁が解禁される11月上旬を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。せっかく旬を味わうなら、その土地の景色や温泉も一緒に楽しみたいもの。日本海を望む鳥取県には、波と風が造る鳥取砂丘をはじめ、名湯として知られる三朝温泉、秋色に染まる大山など、クルマで巡りたい場所が点在しています。松葉がにを旅のきっかけに、海から山へ。季節が少しずつ冬へ向かう鳥取で、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか。
風がつくる景色を歩く。鳥取砂丘から砂の美術館へ
鳥取インターチェンジを降りたら、まずは鳥取砂丘へ。市街地を抜けておよそ20分。視界が開けた瞬間、日本海へ向かって大きく広がる、国内最大級の海岸砂丘が姿を現します。
砂丘へ一歩踏み出すと、足元の砂がさらりと崩れ、普段の散策とはまったく違う感覚に思わず歩幅が変わります。見渡す限り続く砂の起伏。乾いた砂に風が吹けば、砂の表面には「風紋(ふうもん)」と呼ばれる繊細な模様が描かれます。同じ景色は二度と現れない、自然が刻む一瞬の造形です。
鳥取砂丘
アクセス:山陰自動車道/鳥取自動車道・鳥取I.C.から約20分
駐車場:あり(有料 鳥取砂丘駐車場)
公式WEBサイト:https://www.sakyu-vc.com/jp/
砂丘を散策したあとは、鳥取砂丘のすぐ隣に立つ「鳥取砂丘 砂の美術館」へ。館内に並ぶのは、糊を使わず、水と砂だけで制作された巨大な砂像です。毎年テーマが変わり、2026年は「砂で世界旅行・スペイン」が開催されています。
歴史的建造物や芸術文化をモチーフにした作品が並び、細部まで彫り込まれた表情や衣服の質感は、砂でできていることを忘れてしまうほど。光と影が織りなす立体感も相まって、一つひとつの作品に思わず足を止めて見入ってしまいます。
鳥取砂丘 砂の美術館
住所:鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17
アクセス:山陰自動車道・鳥取西I.C.から約20分
駐車場:あり(無料/180台)
営業時間:9時〜18時(最終入場は17時30分)
公式WEBサイト:https://www.sand-museum.jp/
日本海を眺め、湯に癒される。三朝温泉で過ごす特別な一日
鳥取砂丘をあとにしたら、日本海沿いを西へ。海岸線を走るドライブを楽しめます。途中で立ち寄りたいのが、白兎(はくと)海岸。白い砂浜と青い海が広がる景色は、神話「因幡の白うさぎ」の舞台としても知られています。海を眺めながら深呼吸すると、潮風が心地よく頬を撫で、緩やかな時間が流れていきます。
白兎海岸
住所:鳥取県鳥取市白兎
アクセス:山陰自動車道/鳥取自動車道・鳥取I.C.から約20分
駐車場:あり(無料 道の駅「神話の里 白うさぎ」)
公式WEBサイト:https://sirousagi.com/
そのまま山あいへクルマを走らせ、三朝温泉へ。世界有数のラドン含有量を誇る名湯。古くから「三たび朝を迎えると元気になる」と伝えられてきました。三朝温泉に泊まるなら名宿「三朝館」がおすすめ。
客室でひと息ついたら、まずは温泉へ。木々に囲まれた露天風呂では、湯面に映る空を眺めながら、ゆっくりと湯に身をゆだねます。耳に届くのは、湯の流れる音や木々を揺らす風の気配だけ。クルマを走らせてきた一日の疲れが、少しずつほどけていくようです。
湯上がりは浴衣に着替え、館内で思い思いの時間を過ごすのも温泉旅の楽しみ。ラウンジでくつろいだり、庭園を眺めたり。何もしない時間こそ、贅沢に感じられます。そして迎える夕食。いよいよ、この旅のメインである松葉がにを味わいます。
鳥取県産の松葉がにのうち、甲羅幅11センチメートル以上の高品質なものには、産地を証明する白地に赤いロゴ入りのブランドタグが付けられます。三朝館には漁の時期、獲れたばかりのタグ付きの松葉がにが生きたまま届けられ、調理されるまで水槽で管理されます。
かに刺しでは、透き通るような身の上品な甘みとぷりっとした食感を。炭火焼きにすると香ばしさが加わり、凝縮したうまみが口いっぱいに広がります。さらに、しゃぶすき鍋、丸ごと一杯を味わう浜茹での姿盛りと、調理法を変えながら松葉がにを堪能できます。
心ゆくまでかに料理を堪能したら、腹ごなしに浴衣姿で温泉街を散策するのもまた一興。三朝橋や足湯を巡りながら、湯の里の穏やかな雰囲気に触れてみてはいかがでしょうか。
三朝館
住所:鳥取県東伯郡三朝町山田174
アクセス:山陰自動車道・はわいI.C.から約25分
駐車場:あり(無料)
公式WEBサイト:https://www.misasakan.co.jp/
山あいの古刹から、紅葉の大山へ
温泉で迎える朝も、三朝に泊まる楽しみのひとつ。朝の湯でからだを温め、朝食をいただいたら、三朝温泉から少し足を延ばしてみましょう。向かうのは、山深い場所にたたずむ「三徳山三佛寺」。その奥院にあたる国宝「投入堂」は、切り立った岩壁のくぼみに建つ、ほかに類を見ない姿で知られています。
投入堂までの参拝登山は険しい道が続きますが、麓にも遥拝所があり、登ることなくその姿を望むこともできます。望遠鏡をのぞけば、岩壁に寄り添うように建つお堂がくっきり。周囲の山々が色づく季節には、歴史ある建築と秋の山景色を一緒に楽しめます。
三徳山投入堂遥拝所
住所:鳥取県東伯郡三朝町三徳
アクセス:三朝温泉からクルマで約10分
駐車場:あり(無料 2台 ※満車時は三徳山第一・第二駐車場を利用可)
公式WEBサイト:https://mitokusan.jp/
三徳山をあとにしたら、再びハンドルを握って大山へ。山あいを走るうち、窓の外にはさらに鮮やかな秋の色が広がっていきます。
中国地方最高峰の大山は、「伯耆富士」とも呼ばれる鳥取を代表する名峰。秋には山肌が赤や黄に染まり、大山環状道路は紅葉の中を走る絶好のドライブルートになります。
緩やかなカーブの先に大山の姿が現れ、道沿いを彩る木々が次々と車窓を流れていく。クルマで走るからこそ出合える、秋の鳥取らしい景色です。途中、鍵掛峠でクルマを降りれば、紅葉の向こうに大山南壁の雄大な姿が広がります。荒々しい岩肌と赤や黄に色づく木々。そのコントラストは、この季節にぜひ目にしたい風景のひとつです。
※積雪や冬季規制により一部区間が通行止めになる場合があります。出発前に最新の道路情報をご確認ください。
鍵掛峠
住所:鳥取県日野郡江府町大字大河原字鍵掛1531-29
アクセス:米子自動車道・江府I.C.から約20分
駐車場:あり
公式WEBサイト:https://www.town-kofu.jp/kanko/8/1/01/
松葉がにを味わい、砂丘を歩き、温泉でくつろぎ、紅葉を眺める。旬の味覚をきっかけに訪れた鳥取には、それだけでは語り尽くせない魅力があります。次の休日は、ハンドルを握って鳥取へ。この季節だけの景色と味わいが、きっと旅の時間を豊かにしてくれるはずです。
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