PGAツアー最多アンダーで優勝した松山英樹のドライバースウィングをAIで分析

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スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックス AI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎にPGAツアーの最多アンダーで優勝した松山英樹のスウィングを解説してもらった。

35アンダーという記録的なスコアで優勝した松山英樹(撮影/Blue Sky Photos)

こんにちは。「スポーツボックス AI」 3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回は2025年PGAツアー開幕戦の「ザ・セントリー」で優勝しました松山英樹選手のドライバースウィングを「スポーツボックス AI」のデータとともに解説していきます。以前にも松山選手のスウィングを分析させて頂きましたが、今回は後方アングルからのスウィング分析です。後方アングルから見た松山選手の特徴は、

①スウィングのキーポジションで、クラブと手がほぼ重なる
②クラブがプレーン上に沿いやすいスクエアグリップ
③わずかにインサイドアウトのスウィング軌道

の3点です。それでは早速チェックしてみましょう!

新しいデータ項目「クラブヘッドと手の前後差」とは?

画像①テークバック/わずかにアウトサイドに上げる松山選手は、クラブヘッドと手の前後差がプラスで表示されている

まず最初に、後方アングルからチェックできる新しいデータ項目について解説させて頂きます。クラブヘッドと手の前後差を表す「CLUBHEAD TO HANDTHRUST GAP」は、手よりもクラブヘッドが前方(アウトサイド)に上がると数値はプラスに、手よりもクラブヘッドが後方(インサイド)に上がると数値はマイナスになります。

後ほど詳しく解説しますが、松山選手の特徴は「クラブヘッドと手の前後差」が、キーポジション(※)で常に前後差が少ないことです。このクラブヘッドと手の前後差が少ないほど、クラブがプレーン上に沿っていくので、ショットの精度は高まります。ショットメーカーの松山選手らしい特徴です。

※今回のキーポジションはP2(テークバックでクラブが地面と平行)、P4(トップ)、P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)の3ポジションです

スクエアグリップの松山選手は、キーポジションで常にクラブヘッドと手の前後差が少ない

画像②トップとダウンスウィング/松山選手はキーポジションで常にクラブヘッドと手の前後差が少ないのが特徴

続いてトップとダウンスウィングを比較しましょう。クラブヘッドと手の前後差は、トップでプラス13.6cm、ダウンスウィングでマイナス6.3cmです。先程のテークバックもそうですが、松山選手はテークバック、トップ、ダウンスウィングと、いずれもクラブヘッドと手の前後差が少ないことが特徴です。

画像③アドレスとトップ/左右ともスクエアグリップの松山選手は、トップで左手首がまっすぐに伸びている

この常にクラブヘッドと手の前後差が少ない松山選手のポイントは2つあります。まず1つはグリップで、松山選手は左右とも横から合掌するように握るスクエアグリップです。このスクエアグリップは、ストロンググリップやウィークグリップに比べてスウィングがシンプルになりやすく、クラブヘッドがプレーン上に沿いやすいのが特徴です。松山選手の他にはタイガー・ウッズやアダム・スコットがこのタイプです。

もう1つのポイントはトップの左手首の角度です。トップの左手首を見ると、まっすぐに伸びているのが分かります。松山選手のように左右のグリップがスクエアで、トップで左手首がまっすぐ伸びるとトップでクラブがターゲットと平行に近いトップになりやすくなります。

P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)でクラブヘッドが手より背中側にあると、スウィング軌道はインサイドアウトになりやすい

画像④P6(写真左)とインパクト(写真右)/P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)でわずかにクラブヘッドが手よりも背中側にある。インパクトのスウィング軌道は3度のインサイドアウト

最後にダウンスウィングのポジションを見てみましょう。P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)のポジションで松山選手のクラブヘッドと手の前後差は、マイナス6.3cmで、わずかにクラブヘッドが手よりも背中側にあるのが分かります。この手よりもクラブヘッドが背中側にある場合、スウィング軌道はインサイドアウトになりやすい特徴があります。

画像⑤クラブパスとスウィング軌道の違い/アタックアングルがアッパーの場合、写真右のようにスウィング軌道(ディレクション)はインサイドアウトでクラブパスは0に近くなる

そしてインパクトを見てみましょう。インパクト前後のスタンス幅の中でのスウィング軌道を表す「SWING DIR V STANCE」は3度のインサイドアウトです。先程のP6でのクラブヘッドが手よりもわずかに背中側にあったことで、スウィング軌道は3度インサイドアウトになっています。ただし、クラブパスは3度より0に近いはずです。

その理由は、通常ドライバーの場合はアタックアングル(縦の入射角)がアッパーブローになりますので、スウィング軌道に対してクラブパスはインサイドアウトの度合いが減少するからです。ですので、このショットは球の打ち出し方向から推測すると、おそらくストレートに近いドローと推測できますね。

今回は松山 英樹選手の後方からのスウィングを解説させて頂きました。開幕戦から35アンダーという驚異的なスコアで、2位に入ったコリン・モリカワが思わず放送禁止用語をつぶやくほど見事な勝利を飾った松山選手。今年はメジャー2勝目に期待したいですね!


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