「写真をもっと上手く撮りたい」……。日々切磋琢磨する写真愛好家へ、
Harmonyで活躍中のカメラマンが実践的なテクニックを指南します。

Harmony 2016年2月
本格派のための写真講座

ドラマチックな日の出を撮る

文/写真・坂本道浩

第2回は、日の出を美しく撮るコツ。日の出前に空が青く染まる“ブルーアワー”から日の出までの刻々と変化する時間帯を撮影していきます。重要なポイントは、露出補正。日の出前は−側、日の出後は+側へ補正することで色彩豊かな写真が撮れます。日の出時間を調べてよい場所へ早めに到着しておくことです。

準備

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    ISO感度を高感度設定にすれば手持ちも可能ですが、ここでは三脚を使用し、ISO200〜400でじっくりと撮影に臨みます。用意するものは、
  • 三脚、レリーズ(リモートシャッター、なければセルフタイマーでも可)。最近はワイヤレスのレリーズがサードパーティから販売されています
  • レンズは標準系ズーム、あれば望遠系ズーム
  • 予備カメラバッテリー(冬期は予想以上に消耗します)
  • ヘッドライトや手元を照らすライト、使い捨てカイロなど

Step1:日の出撮影

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日の出時間の1時間以上前には撮影現場に到着しておきましょう。幻想的なブルーアワーは、日の出の1時間ぐらい前から体験できます。現場は足もとがおぼつかないほど暗いので、別日にロケーションハンティングしておくと場所決め、移動などスムーズです。この時間帯の露出は、適正より2/3〜1絞りアンダーにすると濃度の濃い発色をしてくれます。

日の出の位置を想像して構図を微調整しましょう。日の出方向が詳細にわかるスマホのアプリを使っても便利です。太陽だけを写真に収めてもよいのですが、手前に象徴的な被写体をシルエットで写し込み、海や川の水面をとりいれるなどの工夫でさらに表現が広がります。

日の出直前は赤、橙黄(とうこう)色のグラデーションが美しい空や赤々とした雲などが楽しめます。露出はAvモードで。絞りf5.6〜8にセット、ホワイトバランスは日陰モードを使用するとさらにオレンジ色が強調でき、よい結果になります。日の出後の露光はカメラ内蔵露出計の適正値〜1絞りオーバーの間が美しく撮影できます。日の出撮影には、雲ひとつない晴天より少々雲が散らばっている(かつ晴天)方が、より豊かな光の表情をとらえることができます。日の出予定時刻にまだ姿を現さなくても、数分後に綺麗に見えることが多くあります。集中力を切らせないよう準備しておきましょう。

Step2:日の出後の風景いろいろ

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日の出撮影を楽しんだ後は、朝一番の光に照らされた被写体を探して、付近を散策してみます。東の空(日の出)の反対側に見える朝日を浴びたビルや雲、山などは、普段より何倍もドラマチックな被写体となります。露出は絞り優先モード、ホワイトバランスは太陽光 or 曇り空モードで。作例6、7のように平凡な風景も、この時間のマジックにより澄んだ早朝特有の透明感が表現できます。さらに作例8のように砂浜のエッジが立ち、立体感が強調され奥行き豊かに見せてくれます。

今回のキーワード「カメラ内蔵露出計」

露出計には測光方式でわけると入射光式と反射光式の2種類があります。入射光式は単体のメーターに多く、スタジオ、映画撮影などの現場で使われています。多くの市販カメラは反射光式露出計を搭載しています。被写体に反射した光をレンズに通しカメラ内の露出計で測光計算した値を表してくれます。やや専門的なことですが、適正露光とする基準は“反射率18%グレー”という明るさにセットされています。その色より明るければカメラは露出過多(オーバー)、暗ければ露出不足(アンダー)の表示となります。たとえば白い壁を構図全面にフレーミングすると、露出過多のため−補正側、黒い壁の場合は露出アンダーのため+補正側、グレーの壁の場合は適正値と判断します。カメラの測光モードにもよりますが、黒い壁前のフレーミング内に1/4ほどの小さく光るLEDライトが点灯していても+補正と判断するのはこの基準のためです。反射光式の測光方法は構図内の光の明るさを測ってはいません。カメラ内蔵露出計の基準を知っていると撮影時に大変役に立ちます。

さかもと みちひろ◎東京都生まれ。写真家。広告、エディトリアル、企業PR誌等で臨場感のある旅取材撮影を得意とし、これまで30数カ国に渡航。情感を捉えた写真に定評がある。