気になるトヨタ車トヨタが「MIRAI」を通じて描く「未来」 Text:Daisuke Katsumura
水素を燃料とし、電気の力で走る燃料電池自動車(以下FCV)である「MIRAI」がフルモデルチェンジを果たしました。次世代燃料である水素を使った自動車のモデルチェンジによって社会は大きく前進しようとしています。そこで今回は「MIRAI」の進歩で見えてきた自動車社会の未来をのぞいてみたいと思います。
「MIRAI」のフルモデルチェンジで期待が高まるFCVの未来
今回のモデルチェンジで、レクサスLSやクラウンと同じGA-Lプラットフォームを採用し、「MIRAI」のボディサイズは大型化。また駆動方式も先代の前輪駆動から後輪駆動へと大きく変更となっています。これによって「MIRAI」は大型の4ドアFRセダンとなり、車内装備も高級乗用車と呼ぶにふさわしい内容となりました。
また後輪駆動となったことで、フロントフード内にFCスタック(燃料電池装置)を、リアにモーターと駆動用バッテリーを分散配置。さらに車体下部に水素タンクを配置することで、前後50:50という理想的な前後重量バランスを実現。静粛性と走行性能を兼ね備え、FCVとして話題となる以前に、高級大型セダンとして完成度の高い一台となっています。
FC大型商用トラック実用化で見えてきたのゼロエミッション貨物輸送の未来
トヨタが「MIRAI」で蓄積した技術は、今大型トラックの世界でも実用化に向けた準備が着々と進んでおり、トヨタは2017年よりロサンゼルス港湾地域で貨物輸送のゼロエミッション化を推進しています。2020年12月よりケンワース社製T680型トラックにトヨタのFCシステムを搭載したFC大型商用トラックをこの地区の貨物輸送会社に納入を開始。さらに今回の「MIRAI」のモデルチェンジで新しくなったFCシステムを搭載した新型FC大型商用トラック(上写真)を新しく公開し、実証実験を進めています。
一方日本国内でも日野自動車や物流業者各社と共同で、燃料電池技術を大型トラックに搭載し、実際に2022年より物流業務で使用しながら走行実証実験を開始する予定です。上の写真は、現在開発中のFC大型トラックの車両イメージです。これにより国内商用車全体のCO2排出量の約7割を占めるという大型トラックのCO2排出削減を目指しています(車両総重量3.5t超のトラック・バスのCO2排出量、日野調べ(2020年9月末現在))。
FC技術の進歩がもたらす水素社会の未来
充填時間が短く、航続距離も長いことから発展普及が期待されているFCVですが、今後普及するために必要な要素として現在注目を集めているのが、水素ステーションをはじめとした水素インフラの整備です。既に都内を中心に水素ステーションが徐々に整備されてきており、ガソリンと同様に気軽に水素を充填できる世の中はすぐそこまできていると言っていいでしょう。
併せてトヨタは「水素バリューチェーン推進協議会」に加入。業界各社とともに「早期に水素社会を構築する」という目的に向けた取り組みを行っています。
こうしたトヨタの活動は、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標・Sustainable Development Goals)に基づくもので、事業を通じてSDGsの達成に貢献しています。また、トヨタは2020年12月に役目を終えたばかりの東富士工場跡地を利用し、次世代燃料や自動運転などの先端技術を導入した実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」の建設をスタートします。世界中のテクノロジーが集まるこの都市でも燃料電池技術が活用されるそうです。これまで遠い未来の話だった化石燃料を使わない自動車社会は、いつの間にかすぐそこまで近付いているのです。
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