TOYOTA AUTOMOBILE MUSEUM History of modern carsトヨタ博物館で学ぶ近代自動車産業の歴史 Text & Photo:Daisuke Katsumura

2022年4月16日、トヨタ博物館のクルマ館2Fの一角に全く新しい常設展示「クルマづくり日本史」がオープンしました。日本国内における戦前・戦後の自動車製造の歴史はもちろん、近代自動車産業の成長までを詳しく学ぶことができる貴重な施設です。
トヨタ博物館がより楽しくなる
新たな常設展示がオープン

愛知県長久手市にあるトヨタ博物館には、世界初のガソリン自動車と言われるベンツパテントモトールヴァーゲンから、水素を燃料とした燃料電池自動車MIRAIまで200台を超える自動車が収蔵されています。その多くはクルマ館の2階と3階に展示されていますが、そんなクルマ館の一角にまったく新しい展示施設「クルマづくり日本史」がオープンしました。エントランスからエスカレーターで2階に上がると、3階に向かうエスカレーターのちょうど裏側がこの新しい展示施設のスペースとなっています。
工夫を凝らした展示で
自動車産業の歴史をわかりやすく解説

早速中に入って見ましょう。展示は大きく「ヒストリーロード」「物語」「人物」「系譜」「数字」の5つのパートに分かれています。順を追ってみていくことでトヨタのみならず日本の自動車産業が発展してきた過程を学ぶことができるようになっています。
まず中央にスクロールする歴史年表を投影した動く年表が目に入ります。これが「ヒストリーロード」です。この年表は日本における自動車史70年分をスクロールしながら投影しており、これを見るだけでも大まかな日本の自動車史が理解できるようになっています。トヨタ自動車だけでなく、他の自動車メーカーが所有する貴重な写真もたくさん使用されており、見応えはかなりあります。

続けて左側面を見てみましょう。こちらのコーナーでは19世紀初頭から現在までを4分割した上で、大型スクリーンによるショートムービーで、それぞれの時代を「物語」を通じて学ぶことができます。時代背景やエポックメイキングな出来事などを盛り込んでおり、4つのムービーを見るだけでもかなりの見応えがあります。

続けて右奥にあるのは日本自動車産業史に欠かすことのできない「人物」にフォーカスを当てた展示です。トヨタ自動車の創設者、豊田喜一郎はもちろん、日産の創設者である鮎川義介、そのほか鈴木道雄、松田恒次、本田宗一郎などの人物を深掘りした解説が行われています。それぞれの人物像や生い立ちだけでなく、その思想からいかにして創業したのかまでを、判りやすく解説しています。

そのほか、現存する自動車メーカーのルーツが判る日本の自動車メーカーの「系譜」や年間自動車生産台数の推移などを「数字」で紹介するインフォグラフィックスのコーナーなど、情報量の多い展示は見応え十分。ムービーなどをじっくり見て回ると1時間はあっという間に過ぎてしまいます。
ちなみに写真の「日本の自動車メーカーの系譜」はそれぞれの自動車メーカーの歴史では触れることのない複数メーカーの合併や分離などがわかりやすく図示されている上に、系譜の途中には主要な車種の画像を表示することで、日本の自動車産業の歴史をひと目で理解することができるようになっており、かなりの見応えとなっています。
企画展示を見たら
実際の車両でさらに実感しましょう

企画展示で知識を深めたら、実際の車両も見たくなりますね。今回の企画展示のオープンに合わせて、2階の展示車両を刷新。1932年式ダットサンフェートンや1925年式オートモ号、1936年式トヨダAA型、さらには日本でノックダウン生産されたフォードやシボレーなど、関連した車両がまとめて展示されています。実車を目にすることで、より見識は深まるはずです。

トヨタ博物館では今回紹介した新しい常設展示だけでなく、文化館では従来通り期間限定の企画展示を行なっています。現在は小さな自動車ばかりを集めた「Here’s a Small World! 小さなクルマの、大きな言い分」が開催中です。サブロクと呼ばれた古い360cc規格の軽自動車から令和の最新式電気自動車まで、それぞれ独創的な小型車が勢揃いしています。7月18日までの期間限定開催なので、気になる人は是非とも訪れて見てください。
トヨタ博物館
住所:愛知県長久手市横道41-100
TEL:0561-63-5151(代表)
開館時間:9:30~17:00(入館受付は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:大人1,200円、シルバー(65歳以上)700円、中高生600円、小学生400円、未就学児無料(いずれも一般料金、税込み)
※文化館1階、3階は、どなたでも無料で入場できます。
※TS CUBIC CARDを提示し、カードでお支払いいただくと入場料を200円(小学生100円)引きいたします。
https://toyota-automobile-museum.jp/