SUPER GT Rd.02TOYOTA GAZOO RACINGが参戦する
SUPER GTを120%楽しむ方法
Text:Daisuke Katsumura
2022年、ゴールデンウィーク中の5月3~4日にSUPER GT第2戦「FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE」が富士スピードウェイで開催されました。今回はこの第2戦のレースリポートとともに、実際にサーキットでレースをより楽しく見るためにピット作業を中心にレースの裏側でどんな人たちが活躍しているのかなど、SUPER GTを観るときに、より楽しくなる情報をご紹介します。
SUPER GTは日本のモータースポーツ業界を牽引する花形レース
全日本GT選手権をルーツにもち、今や日本国内ではF1と並んで人気があると言われているレースがSUPER GTです。現在はFIA公認の国際レースとなり、新型コロナウイルスの影響がある前には、東南アジアでもシリーズ戦が開催されていました。GT(Grand Touring)という言葉が示す通り、市販車両のシルエットを残したレース車両で戦うため、親しみやすく日本のみならずアジアを中心にとても人気の高いシリーズレースです。
SUPER GTはトップカテゴリーのGT500クラスとより市販車に近いGT300クラスの2クラスが混走するレースとなります。GT500クラスは過去には海外のメーカーの参戦もあったものの、現在はTOYOTA GAZOO RACING(以下「TGR」)からGR SUPRA、ホンダはFR仕様のNSX-GT、日産は2022年シーズンから新たに導入したZの3車種のみが参戦しており、事実上日本の3大自動車メーカーがしのぎを削るカテゴリーとなっています。
ゴールデンウィーク中の5月3~4日に富士スピードウェイでSUPER GTの第2戦「FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE」が開催されました。4月に岡山で開催された開幕戦では14号車がポール・トゥ・ウィンを飾るなど期待の持てるTGR勢は、予選走行から順調なタイムを記録し、19号車のWeds SportADVAN GR SUPRAがポールポジションを獲得。翌日の決勝レースでも各チームが序盤から順調な走りを見せ、中盤ではGR SUPRAが1-2-3を独占。ところがその後赤旗が2回出されるなど波乱のレース展開となり、レースは予定の100周に満たない62周で終了。TGR勢は36号車のau TOM’S GR SUPRAが2位でフィニッシュとなりました。
SUPER GTはレギュレーションと
ピット作業を理解するとより楽しくなる
ここからは実際にSUPER GTをサーキットに観戦しに行った際、より楽しくレースを見るために注目すべきポイントをご紹介します。これを知っておくだけで、同じレースでもこれまで以上に楽しむことができること間違いなしです。
レースは予選、決勝の2日間に渡って開催されます。この2日間のスケジュールの中で、是非とも体験して欲しいのが、ピットに近づいて中の様子を見ることができるピットウォーク(別途チケットが必要)です。ピットウォークを開催している時間内は、レース中は立ち入ることはおろか、近づくことさえ禁止されているピットに近付くことができるだけでなく、内部をじっくりと見ることができるのです。またピットウォークのタイミングに合わせてドライバーがファンとの交流を行なっているチームも多いので、応援チームのドライバーからサインをもらうことができるチャンスでもあるのです。
いよいよ決勝レースです。実際に決勝が始まったら、注目して欲しいのがピット作業です。レース中にピットストップをする理由は大きく分けて3つ。「タイヤの交換」、「燃料の給油」、そして「ドライバーの交代」です。素早くタイヤ交換をしたり、給油したりするピット作業はレースの展開を大きく左右するレースの大切な見どころ。このピット作業に関するレギュレーションを理解することで、レースの行方を占うこともできるようになるはずです。
ピットストップをする際には本コース上からピットレーンに入ります。このピットレーンには50km/hという制限速度が設けられており、速度オーバーはペナルティが課されます。ピットレーンを走り自分のピットに到着したら、すぐにエンジンを停止します。ピット作業中はエンジン停止が義務だからです。ちなみに作業を終えた後、ジャッキを下ろしてタイヤが4輪とも接地してからでないとエンジンを始動できません。これも違反するとペナルティとなります。
ピットストップの際に作業ができるピットクルーは1チーム5名までで、タイヤ交換はその中の2名のみが担当すると規定されています。つまりタイヤを2本交換するのと4本交換するのではおおよそ倍の時間差が生まれることとなるのです。そのため各チームは一回目のピットストップでリアのみタイヤを交換し、2回目でフロントタイヤを交換するといった戦略を立てるのです。これがピットストップの時間を大きく左右します。
ピットインの回数や給油の回数はレースによって指定されている場合もあります。今回のFUJI 450kmの場合、2回の給油が義務付けられています。ちなみに給油中はタイヤ交換作業をできず、ドライバーの交代のみ許されているため、同時にドライバー交代をすることが多いようです。
チームの勝利は監督やピットクルー全員の努力のたまもの
このようにレースで優勝するにはマシンの性能やドライバーのテクニックだけではなく、多くのクルーの正確な作業がカギとなります。レースは文字通りチームワークによって支えられていることが分かっていただけたと思います。また、ピットインのタイミングや給油の回数、給油量、そしてドライバー交代やタイヤ交換のタイミングなど、各チームが決定した戦略もレースの行方を大きく左右する要因です。このような「レースの裏側」を知っておくことで、観戦はさらに楽しくなるはずです。
FUJI 450kmレースの後は5月28日、29日に鈴鹿で第3戦、その次は若干期間をあけて8月6日、7日に再び富士で第4戦が開催されます。サーキットを訪れる際は、今回紹介したピット作業にも注目してレースを観戦してみてください。
TOYOTA GAZOO RACING/SUPER GTサイト
https://toyotagazooracing.com/jp/supergt/