SIENTA IMPRESSION自動車評論家、小沢コージさんから見た
新型「シエンタ」の評価
Text:Daisuke Katsumura

Car

実に7年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたシエンタ。その評価のほどは? 本誌でもお馴染みの自動車評論家、小沢コージさんがインプレッション。最新の車内ディテールやシエンタならではの特徴なども、改めて見ていきましょう。

3代目となったシエンタが進化した部分と
進化しなかった部分を徹底解明

シエンタのフルモデルチェンジは今回で2回目。2003年に登場したシエンタは、2015年に1回目のモデルチェンジ、そして今年8月で3代目登場となりました。コンパクトなボディサイズながら、3列シートの7人乗りというパッケージは、多くのファミリーユーザーや、初代モデルよりアウトドアを楽しむユーザーに支持されてきました。そんな使いやすさはそのままに新しくなった新型シエンタはどこが進化し、どこが進化せずの残ったのでしょうか? 今回は自動車評論家、小沢コージさんに感想を伺ってみました。

以前のサイズ感はそのままに
確実に進化している印象

「キュートな新『シカクマル』スタイルや新世代1.5リッターハイブリッドの実力、先進安全の進化っぷりも見どころですが、実は私が一番驚いたのはボディサイズが変わらなかった点にあります。全長4.26mで全幅1.695m。全高こそ1.695mと現行FFモデルに対し2cm伸びているがサイズはほぼ不変。ライバル車の動向や3列目シートの広さを考えるとあと数センチは伸ばしてくると予想していましたが、チーフエンジニア鈴木氏によれば、『最初からサイズを変えるつもりはありませんでした。大事にしたかったのは全長や全幅を守ること。小さなクルマだからこその価値もありますので』と吐露。

勘違いしがちですが、ミニバンは決して広さが最重要価値なのではありません。小さいけど使える、扱いやすいけど広い、特にコンパクトクラスのミニバンはそれが重要なのです。『代わりに最小回転半径は5.2mから5.0mに減らして扱いやすくしています。そのためにタイヤを15インチのみにしたほどで』と鈴木氏。同サイズながら扱いやすさはしっかり進化している、というのが私の印象です」

一般的にモデルチェンジを繰り返すたびに車格は大きくなっていく傾向があります。そんななか、新型シエンタは従来モデルのサイズをきっちりと守り、これまで駐車場のサイズなど、住宅事情でこのクルマを選んでいたユーザーがニューモデルに買い替えしやすいよう考慮しているのです。そのため新型シエンタも5ナンバーサイズの車両になります。またコンパクトなボディで多くの人や荷物を運ぶことができる新型シエンタのサイズ感は、狭い道が多い欧州市場でも非常に重要です。

小沢さんによると、「サイズが変わらない分、2列目や3列目のレッグスペースはほぼ不変ながら、2列目のシートスライド量を増やしたことで、目一杯下げれば2列目には大柄な人でもゆったりと座ることができる」と好評価。

プラットフォームには一昨年のヤリス、去年のアクアで採用された新世代コンパクトプラットフォーム、GA-Bをベースに新設計をし、軽量かつ高剛性なボディとなっています。搭載されるドライブトレーンは1.5Lダイナミックフォースエンジン+direct Shift-CVTの組み合わせと、1.5L+ハイブリッドシステムの2種類を設定。小沢さんが試乗して感じたのは、十分なパワーを持ちながら燃費がよいという点だそうです。特にハイブリッドモデルはWLTCモードで28.8km/Lとクラストップレベルの高燃費をマークし、実燃費でリッター30kmも狙える高いエコ性能を持っているそうです。

「新GA-Bプラットフォームの恩恵は燃費だけにとどまらず、高剛性&低重心化によって、ハンドリングがよりシャープになり、高速での安定感や走りのキレのよさが増している」とは、小沢さんの感想。さらに、こう続けます。

老若男女に広く愛される
ファミリーカーのど真ん中に

「新型シエンタはボンネットの左右両端を上げ、ドライバーから見た時のフロントノーズの把握がしやすく、左右ウィンドウの下端を下げ視界をよくしている。まさに老若男女、すべての人が運転しやすく、なおかつ今最も使いやすいミニバンです。しかも、そういう配慮こそが箱型ミニバンやセダンなどからのダウンサイザー、軽ハイトワゴンユーザーでは物足りないアップユーザーを取り込む結果となっています。平成のファミリーカーのど真ん中はマークXだったかもしれませんが、今はこの新型シエンタになったといっても過言ではないでしょう」

コンパクトなボディですが、最先端の安全装備がしっかりと搭載されています。小沢さんによると、「トヨタセーフティセンスはヤリスやアクアよりも進化している最新世代を搭載しています。車両、歩行者、自転車運転者に自動二輪車を加え、検知範囲を拡張したプリクラッシュセーフティや、まわりの動きを予測して制御するプロアクティブドライビングアシストなども備えている」そうです。

痒いところに手が届く
「あったらいいな」の装備が満載

5人乗りモデル、7人乗りモデルいずれも、多彩なシートアレンジができるのが大きな魅力です。後部ラゲッジスペース+セカンドシート含めてフルフラットになるほか、フロントシートのシートバックを倒すと、セカンドシートとフラットになる仕組み。セカンドシートのスライド量も多いので、5人乗車状態でも荷物をしっかりと運ぶことができます。リアゲートの開口部も1m以上の高さがあり、荷物の積み降ろしも快適に行うことができます。

また車内各所にはシフトレバー脇の大きなポケットや紙パック飲料も収納できるカップホルダー、ドアポケットの大型のボトルホルダー、そして運転席後部にはスマートフォン充電用のUSB端子とスマホポケットなど、痒いところに手が届く「あったらいいな」の装備が満載です。こういった便利機能もまた普段使いの一台としての満足度を上げる結果になっているのです。

シエンタの詳細はこちら
https://toyota.jp/sienta/

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