WRC RALLY JAPAN 20242024年も開催!ラリージャパンの魅力を再確認 Text:Daisuke Katsumura
2022年、2023年に引き続き、2024年もWRC(World Rally Championship=世界ラリー選手権)の最終戦として、日本の愛知県と岐阜県で「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」が開催されます。この秋の定番イベントをより楽しむために、WRCの基本情報をおさらいしつつ、2024年シーズンのTOYOTA GAZOO Racingチームの戦績を振り返っていきましょう。
※情報は2024年10月時点のものです。
なにはともあれ知っておきたい
WRCの基礎知識
WRCとはWorld Rally Championship(世界ラリー選手権)の略称で、国際自動車連盟(FIA)が主催するラリー競技の世界選手権のことです。1973年の創設以来、現在までの約50年の歴史を誇ります。一般的なサーキットを使用したカーレースとは異なり、世界中を転戦しながら、公道や林道を含むさまざまな路面でレースが行われます。それだけではなく、早朝や夜間にレースが行われることもあり、シチュエーションの幅広さでもほかのレースとは一線を画しています。
レースは、SS(スペシャルステージ)と呼ばれる一般車両を通行止めにしたクローズドコースを走行した合計タイムで順位を争います。SSとSSの間の区間はリエゾンと呼ばれ、決められた時間で一般公道を一般車両とともに、その国の交通法規に従って移動します。またサーキットレースとは異なり、4日間にわたって15~25本のSSを走るのが特徴で、大会によってはリエゾンとSSを含めて1,000kmを超える距離を走行することもあります。
また、レースの観戦方法も独特です。一般的なサーキットを使ったカーレースとは異なり、各地に点在するSSやリエゾン、本部や整備拠点が置かれるサービスパークなど、いろいろな場所でレース観戦を楽しむことができます。レースと一緒に、国ごとに趣向を凝らしたさまざまなイベントも開催されるので、長丁場のレースであっても、終日飽きることなくイベントそのものを楽しむことができるのも大きな魅力です。
参戦マシンは2022年から投入された
ハイブリッドのGR YARIS Rally1 HYBRID
現在のWRCは、世界的な環境配慮への関心を受けて、サスティナブルなモータースポーツを推進しています。「Rally1」という新たな技術規定に基づいた車両がトップカテゴリーとなっていて、当該のマシンは市販車の形状は残しつつ、パイプフレーム化することで安全性を向上。さらにエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用し、燃料も合成燃料とバイオ燃料などをベースとしたものを使用するなど、環境に配慮したさまざまな技術が盛り込まれています。
TOYOTA GAZOO Racingも、2023年同様GR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。1.6L直噴ターボエンジンに全車共通のハイブリッドシステムを組み合わせ、最高出力500PS以上、最大トルク500N・m以上を発揮するこのマシンは、見た目は市販のヤリスに近い形状ですが、中身は完全なレース仕様なのです。
基本スペックが2023年モデルと変わらないとはいえ、2024年モデルは低回転域のレスポンス向上を狙ったエンジンの改良を行い、トルク特性が大きく改善され、戦闘力はさらに向上。また、カラーリングもマットブラックをベースとした渋いボディカラーに変更となり、イメージも一新しました。
2024年シーズンはヒョンデチームとの一騎打ち
最終戦まで目が離せない!
WRCは、年間13戦が行われ、1戦ごとの勝敗はもちろん、ワークス(メーカー系)チームは各レースで獲得したポイントによって年間のシリーズタイトルを争います。このタイトルは、ドライバーズタイトル、コ・ドライバーズタイトル、そしてメーカーを対象としたマニュファクチャラーズタイトルの3つが設定されています。
GR YARIS Rally1 HYBRIDが初投入された2022年シーズンは、TOYOTA GAZOO Racingが圧倒的な強さを見せ、マニュファクチャラーズタイトル、ドライバーズタイトル、そしてコ・ドライバーズタイトルの3冠を獲得。そして、2023年シーズンも年間9勝という圧倒的強さでタイトル3冠を獲得したことで、2021年から3年連続の3冠を達成しました。2024年シーズンも4年連続の3冠を目指してTOYOTA GAZOO Racingは万全の体制でレースに挑んでいます。
2024年シーズンは、TOYOTA GAZOO Racingのほか、ヒョンデ、フォードのセミワークスであるMスポーツの3メーカーがシーズンを通して参加しており、実力的にはここ数年で性能を上げてきたヒョンデとTOYOTA GAZOO Racingの事実上の一騎打ち状態となっています。
そんな熾烈な争いを開幕戦から続けているTOYOTA GAZOO Racingは、第11戦のラリー・チリ・ビオビオで、1-2フィニッシュを飾るなど好成績で終了。マニュファクチャラーズポイントでもヒョンデとの差は17点と、レース終盤にもかかわらず僅差での接戦を続けており、2024シーズンは最終戦までシリーズタイトルの決定は持ち越されることになりそうです。
WRC2024最終戦は日本で開催
ラリージャパンを見逃すな!
そんなWRCの2024シーズンを締めくくる最終戦、つまり第13戦目となるレースが、11月21日(木)~24日(日)に愛知県と岐阜県で開催される「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」です。日本におけるWRCは2010年の北海道道央地域での開催以来しばらく途絶えていました。その後、ようやく北海道中部地域での開催が決定したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって2020年、2021年と連続して中止。2022年はまさに待望のラリージャパン復活の年となりました。そして、2023年の開催に続き、2024年も最終戦というシリーズにとっても大切な一戦が日本で開催されるのです。
レースは、愛知県の豊田市、岡崎市、新城市、設楽町、そして岐阜県の恵那市、中津川市に合計21のSSが設けられ、木曜日から日曜日までの4日間で争われます。市街地の特設ステージはもちろん、山間部の舗装路、林道などさまざまな観戦エリアが設定されており、レースマシンの迫力の走行を間近で観戦することができます。
レースの勝敗を競うSSは、山の中や限られた観戦エリアでしか見ることができないうえ、事前に観戦チケットを入手する必要があります。ただ、ほかにもラリーの楽しみ方はたくさんあります。ラリージャパンは比較的都市部に近い場所で争われるため、SSとSSの間を移動するリエゾンは比較的簡単にアクセス可能です。このリエゾンは、世界中で戦うレースマシンと一般車両が一緒に走る光景を目撃できるだけでなく、SSを走行しているときより、レースマシンやドライバーを間近で見ることができ、ファンにとっても嬉しい機会となります。ラリーを観戦する際はぜひともリエゾンにも注目してみてください。
「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」のヘッドクォーターが設置されるのは、愛知県豊田市内にある豊田スタジアムです。このスタジアムの駐車場に各チームの整備拠点となるサービスパークが設けられ、SSの合間の限られた時間に整備をしたり、休息をとったりもします。サービスパークは選手を間近で見ることのできる絶好の場所。タイミングがよければトップドライバーのサインをもらうことができるかもしれません。
豊田スタジアムは開催中の拠点となるため、レースと並行してさまざまなイベントが行われます。木曜日に行われるブルーインパルスによる航空ショーのほか、金曜日はフリースタイルモトクロスのショー、土曜日はアーティストによるライブなど、趣向を凝らしたプログラムが用意されています。
サーキットで行われるレースとは異なり、ラリー競技は4日間にわたって行われるので、期間中はSSの観戦だけでなく、さまざまなエンターテインメントを楽しむことができます。観戦を予定している人は事前にオフィシャルサイトなどで情報収集をして、効率よくレース観戦することをおすすめします。
最新情報や観戦チケット情報などはラリージャパンオフィシャルサイトをチェック!
TOYOTA GAZOO RacingのWRCスペシャルサイトはこちらから。
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