TOYOTA AUTOMOBILE MUSEUM Special exhibitionクラウン70周年記念展~なぜ70年生き続けているのか~

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2025年、トヨタ自動車の「クラウン」は誕生から70周年という輝かしい節目を迎えました。初代モデルの登場以来、日本を代表する高級乗用車として進化を重ね、多くの人びとに愛されつづけてきた国産最長寿の乗用車。その魅力を余すところなく伝える特別展が、現在トヨタ博物館で開催されています。

Text:Fumihiro Tomonaga
Edit:Akio Takashiro(pad inc.)

時代を超えた進化をたどる

1955年、クラウンは純国産量産乗用車として誕生しました。戦後の復興期に「大衆乗用車をつくり、日本の暮らしを豊かにしたい」という志のもと開発が進められ、当時の技術の粋を結集。「トヨペットクラウン」の名称で発売された初代モデルは、堅牢な造りと優雅なデザインがたちまち評判に。1962年に登場した2代目以降、日本の高度経済成長とともに「成功の象徴」として知られるようになります。

初代「トヨペット クラウン」RS-L型(1958年)

風格ある外観デザインと快適な室内空間にこだわったクラウンは、1970年代に入り、真の高級車として成熟期を迎えます。この時期、世界初となるオーバードライブ付き4速ATや、車速感応型パワーステアリング、燃費向上を実現したECT(自動変速機制御システム)など、ドライビングコンフォートを追求した先進技術を次々と導入。バブル景気の追い風もあり、ビジネスシーンの最前線で活躍するとともに、「日本国民の憧れの車」として不動の地位を築きました。

5代目「トヨタ クラウン セダン」MS85型(1975年)

21世紀に入っても、クラウンは伝統と革新を両立させた大胆なリニューアルを図りつづけます。従来のセダンスタイルに加え、環境性能に優れたハイブリッドモデルやスポーティな走りを追求したSUVモデル、SUVとステーションワゴンの特長を融合させたモデルなど、ラインアップを拡充。デビュー以来70年にわたり、時代の変化とユーザーの多様なニーズに応えつづけ、驚くべき進化を遂げているのです。

2025年3月に発売となった「クラウンエステート」

長く愛されつづける理由

クラウンがこうして70年もの長きにわたり愛されつづけている理由は、時代を先取りする革新性と不変のブランド哲学が絶妙に調和している点にあります。

その哲学の根幹にあるのが、徹底した信頼性の追求です。トヨタの最高峰モデルとして、細部にまでこだわった品質は、官公庁の公用車やタクシーとしての採用実績が何よりの証。安全性と環境性能の向上を図りながら、長期使用に耐える設計思想が随所に反映されています。

また、長年の研究によって磨き上げられた乗り心地も、他車とは一線を画すもの。広々とした室内空間に加え、高速走行時でも会話が楽しめる静粛性と、卓越した走行性能を高次元でバランスさせることで、独特の“優雅で気品のある走り”が生まれるのです。

さらに、力強くも洗練されたフロントグリルや流麗なボディラインなど、先進性と風格を兼ね備えたデザインは、ひと目でわかる“クラウンらしさ”といえるでしょう。特にグリルデザインは各世代で変遷を遂げながらも、高級車としての品格を今も雄弁に伝えています。

企画展で開発の歴史を体感

今回の企画展では1955年の販売開始から現在まで、その進化を創業期・成熟期・変革期に分け、全16代の車両をご紹介しています。「いつかはクラウン」という言葉に象徴されるように、クラウンは日本人の憧れでありつづけてきました。70年にわたる挑戦の歴史に触れ、次なる70年への期待を胸に、あなたも「クラウン70周年記念展」にぜひ訪れてみてください。

「クラウン70周年記念展~なぜ70年生き続けているのか~」
会期:~2025年8月3日(日)
場所:トヨタ博物館 文化館2階 企画展示室/1階 エントランス

トヨタ博物館

トヨタ博物館は、トヨタ自動車創立50周年記念事業のひとつとして1989年4月に設立された世界の自動車とクルマ文化の歴史を紹介する博物館。「クルマ館」では19世紀末のガソリン自動車誕生から現代までの自動車の歴史を、約150台にものぼる日米欧の代表的な車両で紹介している。展示車のほとんどすべてが走行可能な「動態保存」であることも特徴だ。「文化館」の「クルマ文化資料室」では「移動は文化」をテーマに、ポスターや自動車玩具、カーマスコットなど自動車にまつわる文化資料、約4,000点を展示。約800点のミニチュアカーを時間軸に、人びとが織りなした多様なクルマ文化に浸ることができる。

住所:愛知県長久手市横道41-100
電話番号:0561-63-5151(代表)
開館時間:9時30分~17時(入館受付は16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:大人1,200円、シルバー(65歳以上)700円、中高生600円、小学生400円、未就学児無料(いずれも税込み)
※文化館1階、3階は無料でご入場いただけます。
※TS CUBIC CARDをご提示のうえ、カードでお支払いいただくと、入場料が200円引き(小学生は100円引き)となります。
https://toyota-automobile-museum.jp/

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