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What is Coriander?一度ハマったら抜けられない!
魅惑の食材、パクチーを徹底解剖!

Lifestyle

いつの間にか専門店も多くなり、スーパーでも普通に購入できるようになった、パクチー。その独特の香りに魅せられて、普段使いする人も増えてきているのではないでしょうか。そんなパクチー、そもそもどんな食材なのか、その特徴とあわせて、保存方法から栽培方法までをご紹介いたします。

パクチー(コリアンダー)とは?

パクチーは、セリ科の一年草。英語名はcoriander(コリアンダー)、和名はコエンドロ。日本では中華料理で使用するものとして香菜(シャンツァイ)と呼ばれることもありましたが、タイ料理が人気になった1990年代頃からタイ語の「パクチー」という呼称が一般的になりました。スパイスとして流通している「コリアンダー」は種子を使用しています。部位によって異なる味と香りがあり、実は根っこや種もいい香りがします。

・葉

私たちがパクチーと呼んでいるのは主に葉の部分で、柔らかく、独特の香りを楽しめます。葉の中でも香りが多く含まれるのは葉脈の部分で、それ以外の部分にはほとんど含まれないのが特徴。噛む度に強い香りが広がったり、優しく緩和されたりと、変化を楽しめるのも魅力です。

・茎

シャキシャキとした食感が心地よく、噛むほどにパクチーらしい独特の香りとほのかな甘味が染み出してきます。加熱しても香りが損なわれないので、パクチーが好きな人はお浸しや炒めものに使うのもおすすめ。生のまま刻んでタレやドレッシングに加えてもいいアクセントになります。

・根

葉や茎に比べても、ダントツで香り成分が多く含まれているのが根っこ。香り部分は特に表面部分に多く、中心部分にはほとんど含まれていません。潰したり、ヒゲ根を除いて刻んで料理に使うと香り、風味がよく出ます。トムヤムクンやタイカレーに必須。

・花

パクチーの花は市場に出回ることはほとんどありませんが、栽培すれば収穫、そして食べることも可能です。5~6月頃に薄ピンクの小さな花が咲くので、摘み取ってサラダなどのトッピングに。見た目は可憐ですが香りは立派なパクチー。興味のある人は、ぜひ栽培を!(栽培方法については後ほど!)

・種子

花が咲いた後の青い果実を乾燥させたものがコリアンダーシード。生のパクチーからは想像できないほど優しく爽やかな香りで、海外ではサシェ(香り袋)にも用いられています。料理ではカレー、ピクルス、肉、豆料理などに幅広く使われ、粒のまま使うと、噛んだ瞬間にカリッという食感とともに香りが広がります。パウダーは焼き菓子やパンなど風味付けに。

どんな国で食べられている?

パクチーの人気はワールドワイド。世界各国の呼び名と料理に注目してみましょう。

・中国/呼び名:シャンツァイ(香菜)

中国語では「香りがよい菜」、すなわち「香菜」と書きます。お粥のトッピングや、和え物、サラダ、餃子の具としても使われています。

・タイ/呼び名:パクチー(ผักชี)

日本でパクチーといえばタイ料理。風味付けに根っこが用いられるトムヤムクンやタイカレー、葉を沢山使うヤムウンセンも人気。

・ベトナム/呼び名:ザウムイ(rau mùi)

代表的なベトナム料理である生春巻きやフォーは、今や日本でも人気。ミントと一緒に使われることも多い。

・インド/呼び名:ダニヤー(धनिया)

スパイスの一種としてコリアンダーシードが多用されています。カレーはもちろん、チャツネの一種であるグリーンチャトニの材料にも必須。

・モロッコ/呼び名:クズバラ(كزبرة)

トマトと玉ねぎ、クミンシードを使ったシンプルなモロッコサラダに用いられるほか、タジン鍋にスパイスとともに使われています。

・ブラジル・ポルトガル/呼び名:コエントロ(Coentro)

ポルトガル、ブラジルでは、魚介のトマト煮込みなどでパクチーがよく使われています。特にポルトガルは料理へのパクチー使用率が高い!

・フランス/呼び名:コリアンドル(Coriandre)

クスクスを使ったタブレの香り付けとして人気。モロッコの影響でエキゾチックな料理も多く、コリアンダーシードもよく使われています。

・メキシコ・スペイン/呼び名:シラントロ(Cilantro)

スペインのカナリア諸島にモホベルデというパクチーを使ったソースがあります。メキシコではワカモレ(アボカドディップ)に加えられることも。

日本人とパクチー

927年に編纂された『延喜式』に「胡すい」という名でパクチーのことが紹介されています。その後、鎖国時代にポルトガル語の「コエンドロ」という呼び名が伝わったとされていますが、食用として一般に根付くことはなく、長い間姿を消します。再び注目を集めたのは1990年代のエスニックブーム。パクチーを使ったタイ料理店が増えたことで、タイ語の「パクチー」が広く浸透しました。

語源は「虫」だった!

パクチーの英語名「コリアンダー」(coriander)の語源は、ギリシャ語で虫を意味する「コリス」(Koris)。この「コリス」をカメムシに似た匂いを持つ南京虫とする節も。パクチーの香りの感じ方は人それぞれですが、カメムシの匂いに似ていると、昔の人たちは感じたのかも……。

保存法

せっかく手に入れたたっぷりのパクチーが、数日使わないでいるうちに冷蔵庫の中で傷んでしまったという経験はないでしょうか?新鮮なパクチーを長持ちさせる方法、くったりしてしまったパクチーをシャキッとさせて長く保存させる方法を紹介しましょう。

・元気なパクチーは丸ごと保存

  1. 根っこを濡らしたペーパーで包む
    葉も茎もシャキッとしたパクチーは、丸ごと保存する。まずは根っこの部分を濡らしたキッチンペーパーで包む。
  2. 全体をペーパーで包みビニール袋に入れて冷蔵
    パクチーは乾燥に弱いので、葉先まで全体をペーパーで包み、さらにビニール袋に入れて冷蔵保存する。

しんなりしてしまったら根を落として冷水に浸す

  1. まずは根っこを切り落とす
    しおれたパクチーをそのまま水に浸しても、元気にならないケースが多い。そんなときはまず、根っこを切り落とす。
  2. 全体を冷たい水に浸す
    パクチーを冷たい水に浸けてしばらく置く。葉、茎全体を水に浸すと復活しやすい。シャキッとしたら、次の保存方法へ!

さらに長持ちさせるには冷蔵保存!5~7日間冷蔵保存可能。

  1. 湿らせたペーパーを敷きパクチーを入れる
    容器の底に水で濡らしたキッチンペーパーを敷き、カットしたパクチーを入れる。深さがある場合は間に乾いたペーパーを挟む。
  2. 軽く湿らせたペーパーを被せて蓋をする
    軽く湿らせたキッチンペーパーを上に被せ、蓋をして冷蔵保存する。野菜室は少し温度が高めなので、冷蔵室のほうがよい。

葉を乾燥させて保存

  1. パクチーの葉を電子レンジで乾燥させる
    パクチーの葉は水気を拭き取り、クッキングシートの上に重ならないように広げ、電子レンジで約2~3分、パリパリになるまで加熱。
  2. 手でもんで粉々にする
    パリパリになったパクチーの葉は、手でもむと簡単に粉々になる。用途を考えて、好みのサイズに崩しておくとよい。
  3. しっかりと密閉できる容器に入れて保存を
    湿気らないよう密閉できる容器に入れて保存する。そのまま保存するほか、塩と混ぜてパクチーソルトにするのもおすすめ。

根っこは冷凍保存

  1. 口当たりが悪いヒゲ根は軽く除いておく
    細かいヒゲ根は口当たりが悪いので除いておくのがベター。煮込みやスープの風味付けに丸ごと使う場合はヒゲ根もそのままでOK。
  2. 小さいものはそのまま大きいものは刻む
    大きめの根っこは刻んでおくとすぐに使えて便利。小さい根っこや、丸ごと使う想定の場合は刻まなくてもよい。
  3. ラップで包んで冷凍保存を
    小分けにしてラップで包み、小さいタッパーなどにまとめて冷凍する。根っこはタレなどにも活用できる。

パクチーの効能って何?

独特の香りばかりが話題になるパクチーですが、身体に嬉しい効能がいっぱい。キレイと健康をサポートするパクチーのパワーを知ればもっと食べたくなるかも?

・むくみ、水分太り対策

体内の余分な水分を排出し、冷えやむくみ改善に役立つカリウムがとても豊富。100g(約1束)食べると、バナナやメロンの約2倍、アボカドにも勝るカリウムを摂ることができます。おまけにカロリーは100gあたり29kcal!カリウムは熱に弱いので、フレッシュなパクチーをこまめに食べるのが効果的。

・アンチエイジング

優れた抗酸化作用を持つβ-カロテンの含有量が多く、カボチャやほうれん草に並ぶほど。同じく抗酸化作用のあるビタミンCもレモンと同程度含まれ、最近の研究結果では、トマトの7倍もの抗酸化力があることも判明。パクチーは、まさにスーパー抗酸化食材!血液サラサラ、細胞のアンチエイジングにぜひ活用したい。

デトックス

東南アジアでは、ヒ素による健康被害が問題になっていますが、ベトナムではその被害が少なかった。その理由としてパクチーの摂取量に注目し、研究した結果、パクチーの香り成分によるヒ素の毒性軽減、排泄促進が判明。デトックス効果については、まだまだ研究が進んでいる段階。今後の研究報告にも、ぜひ注目を。

美肌作り

コリアンダーシード(種)に含まれるリナノールという香り成分に注目。プルメリアやジャスミンティにも含まれるフローラル系の香りで、気分を高揚させたり記憶力を高める働きが期待されるほか、肌の保湿成分であるヒアルロン酸の分解抑制効果があります。コリアンダーのアロマオイルも市販されているので、美肌を目指して活用してみてはいかが?

・貧血対策

鉄分はレバーや貝類、大豆食品などに多く含まれていますが、吸収率が低いため男女を問わず不足しがちな栄養素。この鉄分をたっぷり含むのが、我らがヒーローパクチーです!100g中に納豆約2パック分を上回る鉄分を含有し、さらに吸収率を高めるビタミンCも十分含まれているので、単体でも吸収効率がよい。疲れやすい、顔色が悪いという人は要チェック。

・消化促進

コリアンダーシードに含まれる香り成分には、消化促進、食欲増進作用があり、中国では消化器系のトラブルに働く生薬として用いられてきました。ほかにも、殺菌、鎮痛、免疫調整作用もあると言われており、胃もたれ、胃痛改善のほか、風邪対策などにも。また、フレッシュパクチーの香り成分には、唾液の分泌を促す働きがあるので、こちらも消化促進、食欲増進に役立ちます。

・代謝をアップ

栄養のエネルギー化やカラダの組織形成といった代謝システムに不可欠なのが、ビタミンB群とマグネシウムなどのミネラル。パクチーはその代謝に必須のビタミンB1、B2、さらに神経の興奮を静めるマグネシウムも含有。

自家栽培!おうちでパクチーを栽培しよう!

パクチー好きならば毎日新鮮なものを食べたいと思うもの。それならぜひともおすすめしたいのがベランダでパクチーを育てる方法。栽培のコツは、ズバリ種蒔きにあり!

種まき時期は春と秋

種蒔きの時期は春と秋の2回で、夏場も発芽栽培できますが、暑い地域の場合、若い芽や葉は暑さにやられることも少なくない。特に風通しの悪いベランダで栽培する場合は4~5月に種蒔きを済ませておくのがおすすめ。パクチーはある程度までの寒さには耐えられるので、秋蒔きも育てやすく、雪が積もったり氷が張るほどの寒さでない限り、12~1月ごろまで収穫を楽しめます。

パクチー栽培カレンダー

・栽培に必要なもの

プランターまたは鉢/土(培養土)/鉢底石/鉢底ネット/種/スコップ

プランターを置くスペースがない、もっと手軽に育ててみたいという人は、ぜひ手軽な栽培キットを。栽培キットは手の平にのるぐらいのサイズ感で、土も鉢も必要なし。日当たりさえよければ、室内でも栽培可能です。

1. まずは種を割る

パクチーの種は堅い殻の中に入っているので、種を割って発芽しやすい状態にする。

2. 種を水に浸す
割った種をひと晩水に浸し、さらに発芽しやすいようにする。

3. 土を湿らせてくぼみをつくる
プランターや鉢に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を敷き詰め、培養土を入れたら水をかけて土を湿らせる。種を蒔くためのくぼみを作る。

4. 種を蒔く
くぼみに種を蒔き、薄く土を被せる。土が深すぎると発芽しづらくなるので、薄めに被せよう。

5. 霧吹きで優しく水やりを
種が流れ出さないよう、霧吹きで優しくたっぷり水をかける。最初に土全体を湿らせておけば、霧吹きでの水やりで十分OK!

6. 約1週間で発芽

パクチーらしくない、スッと細長い双葉が生えてくる。まだとても華奢なので、水やりは霧吹きで優しくたっぷり行おう。

7. パクチーらしい葉が出てくる
こまめに水やりをすること数日。パクチーらしい葉っぱが出始める! 葉は柔らかくてとても繊細な感じ。ジョウロで勢いよく水をやると倒れてしまうので注意しよう。

8. いよいよ収穫!少しずつ摘もう

種蒔きから1カ月ちょっと。柔らかくて美味しそうなパクチーの葉が生えそろい、いよいよ収穫がスタート。少し摘んで食べ、摘んで食べる、を繰り返せば、2~3カ月は楽しむことができる。

パクチストのみなさんは、パクチーについてさらに知識を深めることはできましたでしょうか?好奇心をいつまでも忘れず、自由に楽しみ方を探求しつづけていってほしい。Enjoy パクチーライフ!

テキスト=渡部恵/藤岡操
料理・スタイリング=藤岡操
写真=小林邦寿/平野愛/宮本信義
監修/(「パクチー完全解剖」)エスビー食品スパイス&ハーブマイスター 磯部友美

出典:buono

2022 Summer

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