Basics of spicesカレースパイスの基本方程式!
カレー好きなら覚えておきたいスパイス【永久保存版】

本場仕込みのカレーは外食で食べるもの、自宅ではもっぱら“家カレー”、となりがち。でも、スパイスカレーは実はびっくりするほど簡単に作れます。スパイスの基本方程式から簡単にチャレンジできるレシピまで、本格カレーができる基本のスパイスの配合をプロに教わりました。
頭に叩き込みたい!カレースパイス方程式
「一見難しそうなスパイスカレーですが、基本さえ理解できればいいんです」
料理研究家の渡辺玲さんは、スパイスの奥深さに魅了された、いわば “カレー伝道師”。インドにもたびたび足を運び、インドカレーはもちろん、スパイスを使ったメニューを日本に伝え続けています。
スパイスカレーの基本として、まず教えていただいたのが、下記のスパイス方程式。
「この比率は、北インドで食べられる肉カレーの構成。このスパイス方程式に沿った分量で作れば、失敗が少なく、誰が食べても美味しいスパイスの比率だと思います」というから、これはぜひマスターしたい。
絶対美味しい!カレースパイスの黄金バランスはこれだ!

左から)クミンシード(4):ターメリック(1):カイエンペッパー(4):コリアンダー(8):クミンパウダー(4):ガラムマサラ(2)
・クミンシード
セリ科の植物の種。噛むたびに放つ香りと食感を生む。
・ターメリック
カレーらしい黄色はターメリックによるもの。粉っぽさを感じやすいので、調理の最初の段階で少量のみ入れる。
・カイエンペッパー
赤唐辛子のこと。レッドペッパー、レッドチリペッパーなどともいう。ご存知の通り、辛くする効果。
・コリアンダー
パクチー(香菜)の種を乾かして粉末にしたもの。柑橘のような爽やかな香りが特徴。
・クミンパウダー
クミンの種をパウダーにしたもの。種も売られているが、粉末の方が香りが強い。
・ガラムマサラ
カレーの仕上げに欠かせないミックススパイス。店や家庭によって配合が異なる。
まず、核となるのが、コリアンダーとクミン。それにカイエンペッパーで辛味を追加し、クミンシードをアクセントにします。あくまでこの配合は基本。上級者は、シナモンやカルダモン、クローブなどを加えることで、より本場の味に近くなります。まずは、一度試してみて、その後は足したり引いたりと、微妙な分量の調整をすれば、自分だけのオリジナルカレーにステップアップできます。
万能に使えるカレーベースを作ろう
黄金比率のスパイス配合でベースを作ったら、あとは好みの肉や豆、野菜を加えてオリジナルカレーがいつでも作れます。しっかりと基礎を覚えておきましょう。
「カレーベースは、タッパーにいれて冷蔵庫で一週間は保存ができます。香りのフレッシュさを考えると、できれば3、4日で使い切りたいですね。味見をして、足りないスパイスを補うと美味しくなりますよ」(渡辺)
カレーベースの簡単レシピ
【材料】
- 玉ねぎ(半分に切ってからスライス)……1玉
A
- ショウガ(すりおろし)……大さじ1/2
- ニンニク(すりおろし)……大さじ1/2
- ししとう(小口切り)……4本
- パクチー(茎、葉などみじん切り)……大さじ2
- カットトマト缶……1カップ
- プレーンヨーグルト……1/4カップ
- 塩……小さじ1と1/2
- サラダ油……大さじ3
- 水……1カップ
ホールスパイス
- クミンシード……小さじ1
パウダースパイス
- ターメリック……小さじ1/4
- カイエンペッパー……小さじ1
- コリアンダーパウダー……小さじ2
- クミンパウダー……小さじ1
仕上げ用スパイス
- ガラムマサラ……小さじ1/2
作り方
-
サラダ油とクミンシードを入れて中火に。いい香りがしてきたら玉ねぎを加え、茶色になるまで炒める。
-
弱火に落とし、ショウガとニンニクのすりおろしを加えて、よく混ぜる。
-
ししとう、パクチー、トマトを入れ、さっと混ぜてから、ヨーグルトも加え、1分ほど炒める。
-
弱火にしてからパウダースパイスと塩を加える。
-
全体を軽く混ぜて水を加え、強目の中火で沸騰させてのばす。
-
濃度がついて、油が分離したらガラムマサラを加え、一煮立ちさせて完成。
誰でもできる!ベースから作る本格カレーの作り方!

カレー伝道師、渡辺玲さんに教わる本格カレー。ベースができたら、いよいよ実践編。まずは定番のチキンカレーをマスターしよう。それぞれの工程にちなんだティップスも見逃せない!
カレー伝道師が教えるチキンカレーのレシピ
【材料】
- ベース(先ほどのカレーベースのレシピを参照)……500g
- 皮なし鶏もも(一口大にカット)……400~500g
- トマト(大きめの角切り)……1/2個
- パクチー……大さじ2
- ガラムマサラ……小さじ1
作り方
-
カレーベースをあたためる
底の厚い鍋かフライパンを用意し、ベースを中火であたためる。
-
鶏肉に火を通す
カレーベースがグツグツしてきたら、鶏もも肉を加えてなじませる。
「冷たいベースに入れると臭みが出てしまうので、温めてから加えるようにしましょう。さっぱり味が好みであれば、繊維を切ったそぎ切りの鶏肉を使うといいですね」(渡辺) -
肉汁を利用して煮込む
弱火にして蓋をする。肉汁が出るので水分は加えなくて構わない。焦げそうであれば、少量の水を加える。焦げないように注意しよう。
-
フレッシュトマトを加える
鶏肉を触ってみて、弾力があったら火が通っている証拠。トマトを加える。
「水ではなくトマトを加えるのがポイント。ホールトマトでも構いませんが、フレッシュなものを入れると、ナチュラルな風味が加わり、よりいいですね」(渡辺) -
ガラムマサラで風味を足す
ガラムマサラを加え、さっと混ぜてなじませる。
「インパクトがあるので、野菜や豆カレーの場合はごく少量にしましょう」(渡辺) -
パクチーを混ぜて完成
火を止めて、パクチーの葉を混ぜれば完成。好みで散らしても。
基本のカレーベースがあるだけで、北インド風チキンカレーが簡単に作れます。カレーベースはタッパーかバットに入れて冷蔵庫で一週間保存可能。香りが落ちてくるので理想の保存期間は3~4日間。使用するとき、スパイスを足してもOK。
ガラムマサラも作ってみよう
仕上げに欠かせないガラムマサラ。インドでは家庭や店によって配合が異なるもの。渡辺さんにオススメの作り方を教わりました。市販のものでももちろん美味しく仕上がるが、よりこだわりたい方は、ぜひお手製のガラムマサラを試してみて。
ガラムマサラの配合
- クミンシード……大さじ4
- コリアンダーシード……大さじ2
- シナモンスティック……大さじ1
- クローブ……大さじ1
- カルダモン……大さじ1
- フェンネルシード……大さじ1
- ブラックペッパー……大さじ1
- ベイリーフ……4枚
ガラムマサラの作り方
フライパンを弱火にかけ、スパイスを投入。全体が乾燥してくるまで約3分ほど乾煎りする。粗熱が取れてきたら、フードプロセッサーやミルサーで粗く挽けば完成。半年はもちます。
いかがだったでしょうか。スパイスを使った本格的なカレー作りは難しいと思われがちですが、基本を知れば意外と簡単にチャレンジすることができます。ここで重要なのが、スパイスの配合とカレーベース作り。今回は、アレンジとしてチキンカレーの作り方をお伝えしましたが、この2点をしっかりとおさえておくと色々なカレーのアレンジに挑戦できます!
渡辺玲さん
クッキングスタジオ『サザンスパイス』主宰。カレーについての執筆、講習、メニュー開発など幅広く活躍中。『スパイスの黄金比率 で作るはじめての本格カレー』(ナツメ社)など著書多数。
出典
Buono(https://funq.jp/buono/article/10023/)
「スパイスカレーの教科書」