NAGOYA Grampus Eight 2021 Season名古屋グランパスエイト 2021シーズン、
ルヴァンカップ優勝までの軌跡

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例年になく厳しい日程のなか、コンディションの調整に苦労した2021シーズン。名古屋グランパスは二つの金字塔を打ち立て、さらに初のルヴァンカップ優勝という快挙を成し遂げました。2022シーズンは、新監督に長谷川健太氏が就任することが発表されています。今年もサポーターにどのような感動を届けてくれるのか…。新監督と選手のコメントを交えながら、輝かしい昨シーズンを振り返ります。

ACL、オリンピック…
例年にない日程となった2021シーズン

名古屋グランパスエイトの2021シーズンは、ACLグループリーグ出場を見据えた大型補強からスタートしました。柿谷曜一朗、木本恭生、長澤和輝、森下龍矢、齋藤学選手らが移籍し、各ポジションを複数のレギュラークラス選手で争うようになったのです。また課題の得点力不足に向けてさまざまな改善策が出されるなか、3年ぶりに復活したゼネラルマネージャー職に山口素弘氏が、強化担当に黒部光昭が就任しました。

2月28日のアビスパ福岡との開幕戦は、吉田豊選手がランゲラックを見事なループシュートで出し抜くも、逃げきって無事に勝利。幸先の良いスタートとなりました。ここから4月18日の第10節でサガン鳥栖に敗れるまで、無失点・無敗でクラブ記録を更新します。4月29日の第22節と5月4日の第12節は、ACLの日程変更により川崎フロンターレとの連戦となりました。マッシモ・フィッカデンティ監督が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受け、ベンチに入れないというアクシデントが発生。試合はどちらも連敗という結果に。しかし二試合目では、0-3にされてから凄まじい反撃を見せ、大健闘となりました。

フィッカデンティ監督にとっては思わぬアクシデント。だが選手たちは監督不在という逆境を乗り切った

フィッカデンティ監督不在の間は1勝3敗と停滞するも、復帰戦となった第14節では、柿谷曜一朗選手がセットプレーのこぼれ球に対して見事な反応をして先制、後半にはマテウスのクロスボールがゴールインし、さらにロングカウンター一閃するなど充実した試合となりました。しかし後半、主将の丸山祐市選手が負傷交代し、全治6~8か月という診断を受けてしまいます。
その後のリーグ戦は振るわず、7月17日の第20節から8月12日の第18節まで、フィッカデンティ体制下で初の3連敗を喫し、一時は暫定6位まで後退という結果になりました。

大健闘の5位と、打ち立てた二つの金字塔

そんななか開かれたACLグループリーグは、初戦から無事に勝利。2戦目から4戦目まで無事に勝ち進みます。5戦目で初の失点となるも勝利し、グループリーグ首位通過を確定させました。そのまま決勝トーナメントに進むものの、準々決勝で浦項スティーラースに敗退してしまいます。また、天皇杯は10月27日の準々決勝でセレッソ大阪に敗退となりました。

得点不足力を解消するため、夏の移籍期間ではシュヴィルツォクとキム・ミンテを獲得します。8月25日の第26節では得点を許さず、前年記録したリーグ記録タイの無失点試合数17に並びます。さらに9月10日の第28節で、当時54試合制だった1995年に横浜マリノスが記録した18試合にも並びました。

最終成績は5位となったが、リーグ戦無失点試合を20とするなど金字塔を打ち立てた

最終的に、無失点試合数を21試合まで伸ばしたものの、最終成績は19勝9分10敗で5位となりました。ACLグループリーグの集中的な開催とそれに伴う隔離措置、さらにはオリンピックによる中断と、例年以上に厳しい日程での2021シーズンでしたが、「リーグ戦無失点試合20試合」という金字塔を打ち立てたのは何よりも誇るべきといえます。また、2021年に名古屋グランパスが行った公式戦数は55試合であり、2021年にJリーグで最も多く試合をしたチームとなったのです。

2021シーズンのハイライトとなった
YBCルヴァンカップ優勝

そんななか、今シーズンのハイライトとなったのはJリーグYBCルヴァンカップでした。ホームで行われた準々決勝第1戦は、アウェイゴールを与えずに鹿島アントラーズを封じ、続く第2戦でも鹿島を封じて10年ぶりとなる準決勝進出。FC東京との準決勝は好セーブで大きな白星を掴み取り、準決勝第2戦はFC東京の猛攻をしのいでクラブ史上初の決勝進出を決めたのです。アウェイの地に駆けつけたサポーターも喜びはひとしおだったことでしょう。

そして迎えた決勝戦。4年ぶり二度目の優勝を目指すセレッソ大阪との対戦でした。前半は守備の堅い両チームらしい展開で、互いに主導権を握りながらも得点には至らず、0-0で折り返します。名古屋グランパスは後半立ち上がりにCKのチャンスを得ると、相馬勇紀選手の蹴ったインスイングのボールを柿谷曜一朗がゴール前へ運びます。そこに「気持ちで押し込んだ」と前田直輝選手が飛び込みました。後半最初のセットプレーを生かし、大事な先制点を奪います。

後半立ち上がりで決勝弾を挙げた前田直輝選手。「気持ちで押し込みました」と振り返る

そして79分。交代出場していた齋藤学とシュヴィルツォクが左サイドでボールを運び、シュヴィルツォクがシュート。GKがはじいたボールを稲垣祥がシュートを放ち、待望の追加点を奪取します。その後は堅い守備を貫き通し、名古屋グランパスらしい戦い方でルヴァンカップ初優勝を収めたのです。

MVPを獲得した稲垣祥選手は、「天皇杯で悔しい負け方をしたが、『次頑張れよ』とファミリー(ファン・サポーター)が手拍子で後押ししてくれた。その思いに応えないといけないと思って戦った」と振り返りました。優勝を讃え合う選手の晴れ晴れとした笑顔は、サポーターにも勇気をくれるものとなりました。

選手たちの素晴らしい笑顔! 1年間応援したサポーターたちも感無量だ

長谷川健太氏が新監督に就任!
意気込みを語る

12月9日、マッシモ・フィッカデンティ監督が今季をもって契約満了となり退任、今季途中までFC東京を指揮した長谷川健太氏が監督に就任することが発表されました。長谷川新監督は、2005年から10年まで清水エスパルス、13年から17年までガンバ大阪を指揮。FC東京では18年から今季途中まで采配を振るっていました。「これからグランパスファミリーの皆さんと共に闘っていけることを非常に心強く、そして楽しみにしています。選手たちと真摯に向き合いながら、熱く気持ちのこもったアグレッシブなチームを創り上げていきたいと思います」とコメント。どのようなチームとなるか、今後が楽しみです。

2018年よりFC東京の監督に就任した長谷川健太氏。2020年にはルヴァンカップ優勝をもたらしている

またMVPを受賞した稲垣祥選手は2021シーズンを振り返り、「今までの苦しい時期、うまくいかない時期を自分なりに消化して、乗り越えてやってこれたのかなと。そういった経験があるからこそ、こういったシーズンを送れていると思います。自分の財産を出せている1年という印象です」と話しています。

2020年シーズンより名古屋グランパスエイトへ完全移籍した稲垣祥選手。2021年は日本代表に追加招集されている

体制も新たにスタートする2022シーズン、名古屋グランパスにとっては必ずや躍動の1年となることでしょう。

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