TOYOTA AUTOMOBILE MUSEUM REPORTトヨタ博物館の期間限定企画展
「トランスポーターズ 日本の輸送を支え続けているモビリティ」を見逃すな!

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愛知県長久手市にあるトヨタ博物館では、世界各国の名車を収蔵した常設展示のほか、期間限定の企画展を行っています。そこで今回は、2023年7月17日まで行われている「トランスポーターズ 日本の輸送を支え続けているモビリティ」を紹介します。

日本の経済を支えつづける
「運ぶ」を支える輸送用自動車たち

自動車の歴史を知るならトヨタ博物館へ行こう!

名古屋の中心街からクルマで1時間ほどの愛知県長久手市に位置するトヨタ博物館には、自動車の誕生から現在までの歴史を世界中から集めた約140台の車両とともに知ることができます。驚くことに、そのほとんどの車両が動態展示、つまりエンジンがかかり走行が可能な状態をキープしています。

実はこうした展示をしているのはメインとなる建物である「クルマ館」で、敷地内には渡り廊下を渡った先にもう一棟「文化館」という建物があり、こちらでも工夫を凝らした展示が行われています。特に文化館2階にあるスペースでは、年に数回さまざまな切り口で企画展が行われており、通常では展示されていない車両やテーマに沿って集められた車両を展示。通常の展示とは趣が異なるスペースとなっています。

そこで今回は、4月28日から7月17日までの期間限定で開催されている企画展「トランスポーターズ 日本の輸送を支え続けているモビリティ」を紹介しましょう。

1950年式のトヨタトラックBM型。展示車両はガソリン不足に対応すべく代用燃料改造車で、荷台に見える銀色の筒状のパーツは薪ガスジェネレーター。

人々が手にする商品は産地から手元まで輸送する必要があります。船や鉄道、飛行機といったさまざまな輸送手段のなかで、もっとも小回りがきき、人々の手元まで商品を輸送しているのがトラックやバンといった輸送用の自動車です。今回の展示はそんな輸送用の自動車にスポットを当てた企画となっています。

実は自動車はマイカーとして普及する以前は、輸送用として発展してきました。より多くの荷物を快適に運べるように改良を重ねることで自動車の耐久性や乗り心地は改善されてきたのです。自動車の進化の歴史はトランスポーターの進化の歴史といっても過言ではないのです。

会場に入るとまず目を引くのが、トヨタトラックBM型です。BM型トラックは、戦前のKC型をベースに戦後型に改良したモデルで、1947年に登場。戦後日本の復興を支えました。展示車両は戦後のガソリン不足に対処すべく薪ガス発生装置を搭載し、薪や木炭を燃料に走行できるように改良された個体となっています。戦後の物資不足はもちろんですが、そんな時代にも代替燃料化改良をして走りつづけ、日本の輸送を支えつづけたという歴史にも注目ですね。

大八車にバイクのフロントを合体させたようなスタイルの水野式自動三輪車。前輪脇の銀色の部分がエンジンとなる。

展示されているのはトヨタ車ばかりではありません。戦前に製造された珍しい車両も展示されています。こちらは水野式自動三輪車と呼ばれる車両です。台車に動力を追加したようなシンプルな仕組みで、のちのオート三輪にも通じる構造となっています。駆動方式は前輪脇に装着したエンジンで前輪を駆動するFF方式となっています。

元々トヨタ自動車と同じ愛知県で戦前から農機具などを製造していた水野兄弟は昭和初期にこの水野式自動三輪車を開発。戦前のモビリティを支えました。その後、自動三輪車の製造は終了したものの、戦後は水野鉄工所としてトヨタ自動車などのエンジンやトランスミッションの部品を製造し、現在でも自動車製造に関わっています。

初代RS型クラウンと同時に登場したマスターはタクシーとして活躍した。そんなマスターの派生モデルとして登場したのがマスターライン。ピックアップとライトバンがラインアップされた。

荷物の輸送を行ったのは荷台を持つトラックばかりではありません。特に小型荷物の配送業務などでは、大きなトラックではなく、普通乗用車と同サイズながら車体後部を広大な荷室としたライトバンも活躍しました。

今回の展示でも1956年式トヨペットマスターライン ライトバンが展示されています。トヨペットマスターラインは、タクシー向けに販売された初代クラウンの兄弟車であるトヨペットマスターをベースとした商用車で、ライトバン、ピックアップなどがラインナップされ、自営の商店などで活躍しました。

企画展示にあわせて文化館1階に展示されるトヨエーストラック。このトヨエースの普及がきっかけでトラックは三輪から四輪に転換していったと言われている。

通常、自動車博物館で展示される車両のほとんどは乗用車がメインとなります。そんななか、あえて輸送を支えた商用車にフォーカスを当てた今回の企画は展示車両も展示内容もこれまでにない内容と言えるでしょう。また商用車は過酷な使用状況ゆえに現存する個体が乗用車と比べて極端に少なく、今回のように商用車ばかりが13台もまとめて展示されるケースは非常に貴重な機会です。

またこの企画展示に合わせて、文化館1階のエントランス部分には1959年式のトヨエースSKB型と1953年式マツダ三輪トラックCTA型の2台が展示されています。いずれの車両も日本の戦後復興を支えた歴史的にも重要な車両です。企画展示を見た際には、1階の展示も見逃さないようにしましょう。

企画展「トランスポーターズ 日本の輸送を支え続けているモビリティ」は7月17日まで開催しています。通常展示では見ることができない数多くの働く自動車たちをトヨタ博物館に見にいってみませんか?

トヨタ博物館

住所:愛知県長久手市横道41-100
電話番号:0561-63-5151(代表)
開館時間:9:30~17:00(入館受付は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:大人1,200円、シルバー(65歳以上)700円、中高生600円、小学生400円、未就学児無料(いずれも一般料金、税込み)
※文化館1階、3階は、どなたでも無料で入場できます。
※TS CUBIC CARDを提示し、カードでお支払いいただくと入場料を200円(小学生100円)引きいたします。
https://toyota-automobile-museum.jp/

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