豊永智大の『シャフトのしなりで飛ばそう!』VOL.1~なぜシャフトのしなりを使えないのか~

Lifestyle

2022年の「PLDAロングドライブ世界選手権」世界大会では日本人選手で唯一、ベスト16入りし、準優勝のブライソン・デシャンボーと対戦した豊永智大プロ。打つときには「切り返しでシャフトが最大限しなるようにして、スピードとパワーを効率よくボールに伝える」ことを意識し、「アマチュアはしなりを使えていない」と指摘する。ドラコンプロに、しなりを使った飛ばしのスウィングを教わろう。

撮影協力/LOWMEL BEAR

アーリーリリースになる原因とは

アマチュアの多くがシャフトのしなりを使えていないのには理由があります。
それは、「シャフト=棒」のイメージを持っているから。硬い棒を振ろうとすれば、自分の力でボールに合わせに行くことになります。
スウィングでいうと、トップからの切り返し後すぐに手首の角度をほどいてしまう動きです(アーリーリリース)。

シャフトを硬い棒のように扱おうとすると、すぐにコックがほどけてしまう

実際のシャフトは棒のように真っ直ぐのままではなく、「しなり」があります。スウィング中にしなったシャフトは、元の状態に戻ろうとします(「しなり戻り」)。

スウィングの物理的な動きでいうと、シャフトがしなってクラブヘッドが自由落下する力と、シャフトのしなり戻りでクラブは加速していきます。
それらの力を使わずに、アーリーリリースでしなり戻りを”殺して”しまうと、ヘッドは右足の前に落下し、体重も右足配分になるハンドレートのインパクトに。ボールは体の左側(目標方向)に飛ばしたいのですから、左に体重移動していかないといけないのに、真逆の動きになり、これではボールを遠くに飛ばすことはできません。

アーリーリリースするとしなり戻りが使えず、右足に体重が残ったハンドレートのインパクトになってしまう

早いコックが振り遅れの原因に

また、アマチュアがアーリーリリースになってしまうのには、もう1つの原因があります。
テークバックでコッキング(手首を親指側に折る動作)するとグッと力が溜まる感覚があるので、アマチュアの方は最初からコックの動きを入れがちです。ただしそうすると、体と手元の距離が近くなり、スウィングアークが小さくなってしまいます。

テークバックの初期からコッキングを使うとスウィングアークが小さくなる

そこで、ダウンではアークを大きくしようとしてアーリーリリースの動きになり、やはりハンドレートのインパクトになってフェースが上を向き、高く上がるだけの弾道になったり、スピン量が少なくてドロップするような弾道になるのです。

また、コッキングが早いとクラブが体の正面から離れやすくなり、振り遅れにも繋がります。自分では体を回して早く振っているつもりなのに、実際には一番早く動かないといけないヘッドや手元は全然動いていない。これも飛ばない要因になっています。

ちなみに、テークバックで「クラブを飛球線後方に真っ直ぐ上げよう」「スウィングアークを大きくしよう」という意識を持つことも、クラブや手が体の正面から外れる間違った動きを誘引するので注意しましょう。

体をいくら回しても、体から外れたクラブや手元が動かず振り遅れになる

クラブのライ角通りに上げればしなりが使える

スウィングで大事なのは、クラブのライ角通りに上げて下ろすこと。言い換えると、ライ角に沿ったプレーンでクラブを振ることです。

クラブがライ角通りに上がれば、ヘッドも手元もプレーン上を通り、クラブが体から離れることはありません。振り遅れがないので、シャフトのしなりやしなり戻しを生かしながらインパクトできます。

先ほども触れたように、アマチュアの多くはテークバックの早い段階でコックを使い始めるため、クラブがライ角から外れ、アウトサイドに上がってしまいます。
これが振り遅れやフェースの開きを生むのです。

コックを使うとライ角通りにクラブが上がらない(写真左)

テークバックはノーコックでクラブを上げていって、ダウンでコックを入れるようにすると、切り返しの”間”ができてシャフトがしなり、ヘッドの自由落下と体の左側にクラブを引っ張っていく力によってしなり戻りも生じます。

どうしてもコックを使ってしまうという方は、ヒンジという横の動きを入れるといいでしょう。テークバックで右手の背屈(右手首を甲側に折る動き)、ダウンでは掌屈(右手首を手のひら側に折る動き)を意識すると、クラブはライ角通りに上がり、フェースは開かず、ボールがつかまりやすい状態でクラブが動いてくれます。

とくに、「スライスで悩んで飛ばない」「ボールのスピン量が多くて飛ばない」「プッシュアウトが出る」という方は、ヒンジの動きを積極的に取り入れることをおすすめします。

コックが強すぎる人は、手首を横方向に動かすヒンジを意識するとライ角通りに上がりやすい

豊永智大(とよながともひろ)

1987年、長崎県出身。ゴルフ場での10年間の研修生生活を経て、ドラコンプロの道に進む。2019年GD日本大会で402ヤード飛ばして優勝し、同年世界大会に出場。22年10月のPLDAロングドライブ世界選手権では、日本人最上位のベスト16入りを果たす。JPLA所属プロとして大会に出場しながら、パーソナルゴルフレッスンスタジオLOWMEL BEARでパーソナルトレーナーとしても活動する。190センチ・120キロ。株式会社ライトカフェ所属

【LOWMEL BEAR(ローメルベア)】

https://bear.lowmel.jp/
東京・港区のパーソナルゴルフレッスンスタジオ。豊永智大、田澤大河という2人のパーソナルトレーナー兼ドラコンプロが完全個室マンツーマンレッスンで、トラックマンによるデータ分析を駆使して最適な弾道づくりをサポートする。姉妹店にボディメイク・整体のLOWMELがあり、身体のサポートやケアも相談できる

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