プロコーチ&ゴルフ記者
“二刀流”中村修が見た女子ツアー最前線Vol.4
女子プロに学ぶパター練習

Lifestyle

桑木志帆のコーチを務め、さらには「みんなのゴルフダイジェスト」特派記者も務める「二刀流」のプロゴルファー、中村修プロ。2023年オフから指導する桑木は、24年6月の資生堂レディスでツアー初優勝を挙げ、8月のニトリレディスでシーズン2勝目、さらにツアー最終戦のリコーカップでは3勝目とメジャー初制覇も成し遂げた。プロコーチとして桑木に帯同することも多い中村に、女子ツアーで目にした最前線の話題を伝えてもらう。

ガムテープでイン・トゥ・イン軌道を描く

今回は、女子ツアーのトーナメント会場で見た、選手たちのパット練習をご紹介したいと思います。
身近にある道具を使って、みなさんにも真似できるドリルばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

よく見かけるのは、「テンプレート」という練習器具を使ってストローク軌道や打ち出し方向のチェックをしている光景です。

パターヘッドが動く軌道はストレートではなく、ショットと同じくイン・トゥ・インになります。
テンプレートにはイン・トゥ・イン軌道が描かれていて、その軌道にヘッドをなぞらせることで正しいストロークを確認できます。

テンプレートの上でストロークすることで、ストローク中のイン・トゥ・イン軌道とフェースの開閉を確認できる

この練習は、テンプレートがなくても“あるもの”で代用できます。
あるものとはガムテープ。緩やかなイン・トゥ・インの円弧を描くようにテープをパターマットに貼り、それをガイドラインにしてストロークを行います。

パターマットに円弧状のテープを貼ることで、真っ直ぐにヘッドを動かそうとしなくなります。
そのとき、「開いて閉じる」と意識しなくても、ライ角があるため自然にフェースが開閉するので、その感覚を養うためにもいいと思います。

金田久美子(左)や佐久間朱莉(右)をはじめ、多くの選手が「テンプレート」でストローク軌道を確認している

家練ではティの代わりに小瓶を立てる

打ち出し方向もテンプレートでチェックできますが、練習グリーンにティを2本刺して、その間をボールが通るように打っている選手の姿もよく目にします。

ただ、試合会場とは違い、一般のゴルフ場の練習グリーンにティを何本も刺してもいいのかという問題があります。

また、自宅のパターマットでそのドリルをやろうとしたときに、パターマットにティは刺さりません。

そこでおすすめしたいのが、コショウや一味などの調味料の小瓶です。
ボールの30センチくらい先に2本の小瓶を、ボール1個分ほどの幅を開けて立てます。そして、その間を通すのです。
50センチ先だとボールから離れすぎて難易度が上がり、小瓶に当たってしまうので、30センチが適当でしょう。

「インパクトで打ち出しが1度ズレると、3メートル先ではカップから外れる」と言われます。
なので、打ち出しの管理というのは非常に重要になるのです。

ボールの30センチ先に調味料の小瓶を立て、その間を通るようにボールを打つ

いつもの「5歩の距離」「10歩の距離」と比較する

実際にコースに行ったらやってもらいたい練習法もあります。
選手は、その日のグリーンにタッチを合わせないといけません。毎週コースも変わるので、大体の選手がやるのが「5歩の距離」「10歩の距離」です。

練習グリーンで比較的平らなライを選んだら、自分がいつも気持ちよくカツンとヒットしたときの「5歩の距離」「10歩の距離」を打ちます。その際、どのくらいオーバー・ショートするかを見て、アジャストしていくのです。5歩と10歩の距離を交互に打つ選手が多いですね。

24年の樋口久子 三菱電機レディスで優勝した岩井千怜選手も、「初日に8割くらいショートしてて、まったく届かなくて、グリーンスピードに対応できてないと思ったので、終わったあとに5Y、10Y、15Yの距離感を一から合わせて、次の日の朝もそのルーティンでやって、タッチが合ってきました」と言っていました。

初日は30パットだったのが、2日目27パット、最終日は26パットと結果にもしっかり表れています。

みなさんも、練習グリーンでいろいろな距離をポンポンと打つのではなく、「5歩・10歩」(「4歩・8歩」でもいいです)のようなルールを自分なりに作っておくと、違うコースに行ってもタッチを合わせられやすくなると思います。

24年樋口久子 三菱電機レディスで通算7勝目を挙げた岩井千怜。初日はショートばかりだったというが、「5歩の距離」「10歩の距離」でタッチを取り戻した

青木瀬令奈は手で触ってチェック

朝の練習グリーンでタッチをつかむために、青木瀬令奈選手は「必ずグリーンを手で触る」と言います。
手で触って、芝の水分量や長さ、柔らかさなどをチェックし、パッティング時のタッチや曲がりの参考にするそうです。

また、指先で少し押してグリーン面の硬さを確認し、スピンのかかりやすさも調べています。
こうしたことを続けていくうちに、自分なりの基準ができてきて、「今日のグリーンはこうだな」と把握できるようになったのです。

さすがは、20-21年シーズンから平均パット数(1ラウンド当たり)1位を続けるパター名人。青木選手にあやかりたい方は、取り入れてみるのもよいでしょう。
ただし、くれぐれも芝やグリーン面を傷めないように注意してください。

手で触って芝やグリーンの状態をチェックするという青木瀬令奈

中村修(なかむらおさむ)

1968年、千葉県出身。26歳でゴルフを始め、2005年に日本プロゴルフ協会(PGA)入会。PGAティーチングプロB級会員。現在、桑木志帆のコーチとしてツアーに帯同する傍ら、「みんなのゴルフダイジェスト」特派記者としても活動する。

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