NIPPON地域のとりくみ【3】標高580mの石飛高原発、無農薬・無化学肥料の和紅茶作り text:Mimi Murota photos:Hiroshi Mizusaki
水俣市では、緑茶の品種を独自の発酵技術で紅茶に製茶した和紅茶の製造も行われています。しかも、無農薬・無化学肥料にこだわったという、自然に寄り添うようなお茶作り。濃い霧に覆われた幻想的な茶畑を、小坂さんが訪ねました。

巡る人
グラフィックデザイナー
小坂和子さん
1972年熊本県生まれ。武蔵野美術大学短期大学部卒業後、東京の広告代理店、フリーランスなどを経て、2017年に移住先の熊本県山都町で「みずたまデザイン」設立。山都町を中心に熊本県の商品パッケージ、ブランディングを手掛ける。

無農薬で育てた茶葉に山の恵みをブレンド
水俣茶の発祥地とされる石飛高原。標高580mの天空の茶畑と呼ばれるこの地で、1979年から無農薬・無化学肥料で自然と寄り添うお茶作りに取り組む「天の製茶園」を訪ねた。
「一杯どうぞ」と天の製茶園の天野茂さんが淹れてくれた和紅茶を口に含み、「渋みが少なくて甘みを感じます」と感激する小坂さん。70年前から緑茶を育ててきた天の製茶園が紅茶栽培をはじめたのは、今から30年ほど前。現在は7haある茶畑の8割を紅茶が占め、バラエティーに富んだ和紅茶を製造している。




「緑茶の二番茶は値が下がる、その二番茶を活用してからだに優しい健康茶を作りたいと思ったのが紅茶を生産するきっかけでした。茶畑のそばに育つ薬草も無農薬だからからだに安全だし、原料としてブレンドすれば草取りも楽になると考えたんです」と笑って説明する。
地域の商品ブランディングも手掛ける小坂さんが、「『山のハーブ』紅茶に『山椒ニッケ紅茶』と商品のネーミングもすてきですね。パッケージからもセンスを感じられます」と感心していると、「ニッケはシナモンのことで、山に入って摘みました。スパイスの利いた個性的な味を楽しめます」と教えてくれた天野さん。
紅茶専用ではなく緑茶の品種を独自の発酵技術で紅茶に製茶し、そこに山からの恵みを加えることで、オリジナルの美味しさを生み出し、ファンを増やし続けている天の製茶園の和紅茶。
「どの和紅茶からも天野さんの温かい人柄が伝わってきます。無農薬と独自のブレンドから生まれる、他にはない美味しさが強い吸引力となっているのを感じますね」
施設情報
天の製茶園
住所:熊本県水俣市石坂川370-85
Tel:0966-69-0918