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Green Tourismローカルの豊かな魅力を五感で満喫!
“グリーン・ツーリズム”体験[前編]

Travel

壮大な自然が広がるのどかな地方に滞在し、地域に根付いた農漁業を体験する。そんな“グリーン・ツーリズム”(農泊)が国内外で注目を集めています。3密の懸念もなく、ローカルの人たちと交流しながら田植えや野菜の収穫などを体験し、その食材を使って郷土料理を堪能する。都市部では味わえない豊かなひとときの魅力を、日々をアクティブに楽しむHarmony読者のために前後編に渡って紹介します。

世界各国で注目を集める農泊体験

“グリーンツーリズム”の定義は「緑豊かな農漁村地帯で、その自然や文化、現地の人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」。その発祥はヨーロッパで、もともとフランスやイギリス、ドイツといった西欧諸国の一般的な労働者は、1〜2週間と週単位でまとまった休暇をとることができる社会制度や慣習がありました。また、とりわけ西ヨーロッパの農村地域では豊かな自然が保護されるとともに地域の伝統文化が保存されていることもあり、日頃は自然とのふれあいの少ない都市生活者たちが長期休暇で農漁村を訪れ、滞在しながら休暇を過ごすという生活スタイルが一般化していました。

「イタリアで最も美しい農村」と称されるシチリア島でもアグリ・ツーリズムが盛んに行われている。

1970年代以降、各国では航空機産業をはじめとした交通インフラの発展とともに、大規模開発や大量消費を目的とした“マス・ツーリズム”が主流となり、観光産業は飛躍的に成長しましたが、その一方で観光地の自然破壊や文化の侵害、ごみ問題などが顕在化しました。それらの諸問題を解決するべく、行政支援の対象として取り上げられるようになったのがグリーン・ツーリズム(アグリ・ツーリズム)文化のはじまりといわれています。

それに伴い、日本においても1990年代初頭より貴重なグリーン・ツーリズムの体験が注目され、地域活性化や農漁業への理解を深めるものとして農林水産省が推進。欧米とは異なり、短期間の休暇が一般的なことから日帰りの立ち寄りも対象とし、施設が個人の農家や民宿ではなく、各地域の自治体を中心に運営される日本型グリーン・ツーリズムは“農泊”とも呼ばれ、ここ数年は日本人だけでなく旅慣れた訪日外国人からも人気を博しています。

非日常が体感できるグリーン・ツーリズムの魅力

グリーン・ツーリズムには、どこの地方都市でもある大型ホテルのラグジュアリーな空間も、至れり尽くせりのサービスも、豪華食材を多用した食事もありません。そういった画一化された現代的な旅行とは異なる、「その場所と人」にしかない体験の魅力とは————。

●ガイドブックにはない稀少な別世界

旅行の魅力と言えば、日常生活では訪れることのない非日常世界です。その中でもグリーン・ツーリズムが楽しめる場所は、秘境と呼ばれるエリアや、普段は気にとめないローカルの農漁村ばかり。ガイドブックにも載っていない地方は、大自然の景観だけでなく、たとえば江戸時代の団らんには欠かせなかった囲炉裏がいまも使用されている古民家など発見の連続です。グリーン・ツーリズムが盛んな地域では、そういった古くより紡がれてきた歴史や風土をそのままいかしながら、床暖房やIHキッチンなど見えない部分で近代的な設備を取り入れた施設も多く、ビギナーでも安心して楽しめるのは日本ならでは。また、広大な土地が広がる地方は自然に3密が避けられるので安心です。

“日本三大秘境”の一つ徳島県西部の祖谷渓谷に佇む古民家宿泊施設。画像提供:ちいおりアライアンス

●“普段着”の農林漁業やアクティビティも満喫

そして、なんといっても都市部の街ではできない“体験”があります。それぞれ地域ごとに特色がありますが、すくすくと育った稲穂とともに風にゆられながらの稲刈り、鮮やかに色づいた果物や野菜の収穫、道なき道を分け入って発見した時、思わず声をあげてしまうきのこや山菜狩り、大海原に繰り出しダイナミックに投網する漁法……まさに、そこにしかない“普段着”の農林漁業体験は、かけがえのないもの。長く滞在すれば、そういった稀少な体験に加え、カヌーやボートでのラフティングや自然林が残る野山のトレッキング、キャニオニングなど大自然の中で遊ぶアクティビティも満喫できます。

●地元の人と交流しながら郷土料理づくりが楽しめる

そういった農業や漁業を体験し、自分たちの手で収穫した旬の特産品を料理して、味わえるのもグリーン・ツーリズムならではの楽しさです。注文して運ばれてくる食事ではなく、汗を流し、手を使って仕立てるご馳走の美味しさは言わずもがな。料理が苦手でも宿泊施設や近隣のお母さんたちに教えてもらえるのもうれしいところ。交流しながら作る未体験の郷土料理や名物は、新しい食の発見ももたらしてくれます。その経験は子どもたちへの食育にも繋がることから、グリーン・ツーリズムが都市部のファミリー層に人気が高いのも納得です。

祖谷渓谷での蕎麦打ち体験。画像提供:ちいおりアライアンス

全国に広がるグリーン・ツーリズム文化

現在、日本では北は北海道から、南は沖縄まで350以上の農泊支援地域が広がり、年々増加しています。そのため、各地域や季節ごとに、風景や自然、食材、体験内容に特色があり、その中から行きたい場所、したいことを選べるのも魅力のひとつ。宿泊先の地元の人たちは、お客様ではなく家族の一員として温かく迎え入れてくれます。田舎に里帰りした時のように懐かしくもあり、未踏の地で農作業やローカルの人たちとの交流や遊び、食事をともにする滞在は、たとえ短期間であっても、日々の暮らしに豊かな時間を届けてくれます。

6月公開の後編では、全国各地のグリーン・ツーリズムが盛んなエリアの中でも、特に人気の高い、“日本三大秘境”のひとつ、徳島県祖谷集落での体験をレポートします。

【参考サイト】

農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/nouhakusuishin/nouhaku_top.html

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