Local efforts in Kyoto 03国内外からの移住者が
新しい文化・伝統を"編む"京都へ
【PART3】
Text: Tsutomu Yoshida

Travel

左から、トヨタファイナンス この町いちばん企画室員 渡邊純也、トヨタファイナンス この町いちばん企画室長 竹原康博、京都市 行財政局長 別府正広氏、京都市行財政局 ふるさと納税担当課長 白﨑晃太朗氏

日本の伝統文化が脈々と息づく国際都市・京都市。この京都市とトヨタファイナンスが取り組む、ふるさと納税の返礼品である電子感謝券の導入について、両者の取り組みの意義や展望について話を聞きました。

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京都市“電子感謝券”で実現する
「住民も観光客も町もみんなWin-Win-Win」な暮らし

――電子感謝券を、京都市に導入した背景を教えてください。

渡邊:現地に行って使えるという電子感謝券の商品・特性が観光都市・京都市に非常に合う点と、コロナ禍において電子感謝券が地域活性の一助となる点でした。このふたつが大きいです。

竹原:トヨタファイナンスとしては、トヨタグループを育ててくれた地域の皆さまへ恩返しをしたいという強い思いがありました。今回、京都市への電子感謝券の導入のお手伝いをさせていただき、京都市の事業者・利用者・地域がWin︲Win︲Winになれると考えています。

――今、京都市が抱えている課題とは何でしょうか。

別府:コロナ禍で、皆さまに京都市の魅力を体感していただけないことが最大の課題です。京都の文化や伝統を伝え守る方にとっても、市内で使える電子感謝券は前途が開ける可能性になるはずです。

白﨑:ふるさと納税は、大都市から税が流出する額が大きく、京都市の場合は約40億円が流出しています。そこで返礼品を通して京都市を応援していただく仕組みづくりを検討した時に、電子感謝券は最適と思いました。

――京都の文化を伝え守りたいというお気持ちを強く感じます。

別府:もちろんです。電子感謝券はモノだけでなくコト、たとえばタクシーなどにも利用できます。宿泊、飲食、移動をカバーしていますので、京都市をより満喫していただけるはずです。

――運用開始までの過程で、苦労されたことは何ですか。

白﨑:やはり加盟店の募集です。意気込んで地域の皆さまに魅力をしっかりと伝えた結果、おかげさまで多くの方々にご賛同いただき、日本で一番多い加盟店数で、2021年8月3日からスタートできました。

別府:加盟店は今も増え続けていまして、事業者の皆さまからの期待を感じます。コロナが落ち着き、観光業が回復基調になってからの反響も楽しみです。

竹原:京都市へは近隣市町村から通勤・通学する方も多いため、そういった方々への周知に力を入れ、関心を集めたいですね。

別府:そして京都市は学生の街でもあります。ご両親が、お子さまの過ごす京都市を応援する目的で、ふるさと納税を選ぶ可能性も期待できます。

店舗でじかに商品を選べるのは利用者のメリット。

――それでは、今後の構想をお聞かせください。

別府:京都市内で電子感謝券を利用して、街を楽しみながら応援していただいた結果を、まずデータとして見える化したいのです。そうして街が活性化するサイクルを構築したいですね。

白﨑:京都を訪れる目的に歴史や伝統や文化を求める方が多いですが、その他にも隠れた魅力が多くあります。電子感謝券は、老舗から新店まで幅広く使えますし、移動時も含め、京都市を楽しんでいただきたいです。

渡邊:別府局長のお話にあった結果の見える化、データの利活用は重要です。付加価値の高いサービスを提供し、京都市に貢献していきたいです。

竹原:トヨタグループとしてはMaaS(移動のサービス化)の提供で人びとの移動を活発にし、消費の喚起につなげたいと考えています。資金の循環、移動の創出、データの利活用を通じ、豊かな社会を地域の皆さまとともに作っていきたいです。

簡便なキャッシュレス決済で、加盟店および利用者の利便性向上に大きく貢献している。

京都市電子感謝券とは?

「電子感謝券」とは、ふるさと納税の返礼品であり、地域限定で利用できる電子ポイントのこと。自治体の定める加盟店において、宿泊代や食事代、移動代として1ポイント=1円でキャッシュレス決済に利用できる。ポイントは寄付額に対して30%分が付与される仕組みとなっており、決済方法はクレジットカードのみ。運用は「ふるさと納税ポータルサイト『ふるさとチョイス』」(株式会社トラストバンク)が行っており、現状では京都市をはじめ、全国約70の自治体が導入している。有効期間は電子感謝券取得日(寄付決済完了日)より2年間。

京都市電子感謝券HPから「ふるさとチョイス電子感謝券」アプリをインストールし、「京都市」を選択して寄付。決済完了後にポイントが付与される。店頭などに掲示された二次元コードを読み取り、ポイントを利用しよう。

【京都市電子感謝券HP】

https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000283113.html

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