日本有数の温泉地、由布院。コロナ禍の影響で賑わいは少ないですが、この土地に移住して暮らす人達は変わることなく、愛する由布院ならではの体験を提供し続けています。生粋の大分っ子デザイナー・三好幸代さんが、その特別な時間を体験しました。
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巡る人
グラフィックデザイナー
三好幸代さん
1979年大分県臼杵市生まれ。ずっと大分県内で暮らし、看板製作会社のデザイナーを経て2年前に独立。自由な発想で、大分のよさを表現できればと、フリーのグラフィックデザイナーに。大分県デザイン協会会員。
ここでしか出合えない
新しい体験を由布院で
観光客で賑わう湯の坪街道で、随一の人気を誇る和洋菓子店『鞠智(くくち)』。運営するのは、福岡県出身の菊池武久さん。父の事業を引き継ぎ、2008年に由布院に移住しました。
「鞠智のコンセプトは、“どこにでもあるけど、どこにもないもの”です。食べ歩き用に開発したモンブランどら焼きは、見た目にもこだわってリニューアルしました。春はいちごのあまおう、夏は白桃、3月はホワイトチョコ。旬の味を季節限定で販売しています」
人気のどら焼き 5個入り(税込み1,615円)。パッケージには、由布院に作品室がある書家・チョン・トンジュ氏筆の文字。
手作りのお菓子と
温もりを感じるお店
コンセプトは商品だけでなく、お店全体にまで行き渡っています。まず、飛騨高山にあった古民家を移築した店舗。そして、その佇まいを活かし、大分県宇佐市院内町の陶芸家さんが作ったランプの柔らかい光で商品を照らします。
和とモダンが融合した美しいお店は、飛騨高山から移築した古民家がベース。そこに由布院や大分、九州を感じる商品が、心地よく並ぶ。
「スタッフは、菊池さんの出身地に近い久留米絣のブランド『儀右ヱ門』にオーダーした制服を着用しています。三好さんは、コックコートと絣をミックスしたデザインに「手が込んでいて、洗練されています。多種多様な商品が並ぶなか、統一感のある雰囲気。感度の高さに満ちていますね」と語ります。
久留米絣の制服を着用した菊池さん。
お菓子はすべて手作りされているのもポイント。特にどら焼きの餡子は、大納言小豆の粒感が楽しい自家製です。モンブランどら焼きの皮はふわふわ。店頭で焼きたてを使っています。
どら焼きの餡子は、甘さ控えめで上品な味わい。
「お客さんが待っている間に見て楽しく、他では味わえない、できたてのどら焼きです。その体験を提供したいと考えました」
古くからあるものを、新しい体験として楽しめるすばらしさ。鞠智の人気は、そこにあるようです。
大分県の特産柚子胡椒も。青は若い柚子と唐辛子、赤は熟した柚子と赤唐辛子で作った薬味(ともに税込み650円)。
鞠智
住所:大分県由布市湯布院町川上3001-1
https://cucuchi.jp/
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