2024-2025 Art Museum tour2025年はアートが盛り上がる!
見逃せない注目の美術展&展覧会

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日本では昔から、多種多様な美術展や展覧会が開催されています。非日常の空間を楽しめるアート鑑賞は、人生にさまざまな気づきを与えてくれる特別な時間でもあります。SNSの普及に伴って、美術館巡りは若者の間でも人気を博すようになりました。2024年から2025年にかけて開催される、注目の美術展と展覧会をご紹介します。

本物に触れてこそ感じるアート本来の魅力

時が過ぎるのを忘れてアートを鑑賞する――。
その魅力は、何よりも感性が刺激される体験です。芸術とは本来、時代や国境をこえて人の心に訴える力を持っているもの。知識がなくても優れた作品を鑑賞することで創造力が磨かれ、新しい視点やアイデアが生まれる源泉になります。また、心を揺さぶられた作品の背景や作者の意図、当時の価値観や文化などを深掘りすることで知見も深まります。

美術館は「美術の知識がある人だけが楽しめる特別な空間」というイメージが先行し、空いた時間にふらっと寄るような気軽な雰囲気ではないと思っている人も多いかもしれません。しかし、美術館側の努力により、趣向を凝らした企画展などが増え、アートファン以外も楽しめるような空間に様変わりし始めています。さらに、SNSの普及によりZ世代の中でも、積極的に美術展や展覧会を巡る人が年々増えています。

東京・六本木にある「国立新美術館」など、アートファン以外も楽しめるユニークな空間演出をする美術館も増えている。

きっかけのひとつとなったのが、「金沢21世紀美術館」をはじめ、写真撮影やSNSへの投稿が可能な美術館の存在です。AR(拡張現実)アートなどデジタル技術を駆使した没入感のある展覧会なども増え、「フォトジェニック」と「体感」をキーワードに世代を超えて美術館人気が高まっています。

では、2024年から2025年にかけて見逃せない美術展と展覧会をご紹介します。

美術展

■「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」
・あべのハルカス美術館(大阪府大阪市阿倍野区)

2024年1月に東京都美術館で開催されて好評を博した「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が、大阪でも開催されています。この美術展の名称にもなっているウスター美術館(アメリカ・ボストン近郊)は、1898年の開館当初より同時代美術として印象派の作品を積極的に収集し、1910年にはモネの『睡蓮』を美術館として初めて購入したことで知られています。モネの作品群の中でも評価の高いものが揃っているので、東京での開催期間で見逃した人はチャンスです。

クロード・モネ《睡蓮》1908年 油彩、カンヴァス Museum Purchase,1910.26 ウスター美術館所蔵/Image courtesy of the Worcester Art Museum

本展は、印象派がヨーロッパやアメリカへもたらした衝撃と影響をたどる展覧会です。ウスター美術館のコレクションを中心に、モネやルノワールなどのフランス印象派やアメリカ印象派を代表するハッサム、その他クールベ、コロー、セザンヌら40人以上の油彩画約70点が集結。特に、これまで日本で紹介される機会の少なかった“アメリカ印象派”の珠玉の作品が見どころです。

フランク・ウェストン・ベンソン《ナタリー》1917年 油彩、カンヴァス
Gift of Desmond Callan, Mary H.Bailey,and Cristina E.Callan,1996.106 ウスター美術館所蔵/Image courtesy of the Worcester Art Museum

●参考リンク
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」
会期:2024年10月12日(土)~2025年1月5日(日)
会場:あべのハルカス美術館
https://www.aham.jp/exhibition/future/claudemonet/

■「ヒルマ・アフ・クリント展」
・東京国立近代美術館(東京都千代田区)

ヒルマ・アフ・クリント 《10の最大物,グループIV,No.3,青年期》1907年 ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of the Hilma af Klint Foundation

ヒルマ・アフ・クリントは、ワシリー・カンディンスキーやピエト・モンドリアンら同時代のアーティストに先駆け、抽象絵画の創案者として近年評価が高まるスウェーデン出身の画家。1,000点以上の作品は、長らく限られた人びとに知られるばかりでしたが、1980年代以降にいくつかの展覧会で名が広まりました。今日、モダン・アートにおける最重要作家のひとりとして位置づけられる画家の作品だけに、ミッドセンチュリーモダンや現代アートのファンには待望の美術展と言えます。

ヒルマ・アフ・クリント 《10の最大物,グループIV,No.7,成人期》1907年 ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of the Hilma af Klint Foundation

近年、急速に評価が高まり、2018年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された回顧展は、同館史上最多となる60万人もの動員を記録しました。

アジア初の大回顧展となる本展は、高さ3メートルを超える10点組の絵画《10の最大物》をはじめ、すべて初来日となる約140点の作品を紹介。代表的作品群「神殿のための絵画」を中心に同時代の神秘主義思想、女性運動など、創作に影響を与えた多様な要素を通じて、その画業の全貌が明かされます。

ヒルマ・アフ・クリント 《祭壇画,グループX,No.1》1915年 ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of the Hilma af Klint Foundation

●参考リンク
「ヒルマ・アフ・クリント展」
会期:2025年3月4日(火)~2025年6月15日(日)
会場:東京国立近代美術館 1階企画展ギャラリー
https://art.nikkei.com/hilmaafklint/

展覧会

■「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」
・森アーツセンターギャラリー(東京都港区)

約150万点の作品を所蔵するブルックリン博物館は、ニューヨークでメトロポリタン美術館に次ぐ規模を誇ります。本展は、古代エジプトコレクションの中から、彫刻、棺、宝飾品、陶器、パピルス、人間やネコのミイラなど、約150点の選りすぐりの作品群が集結。想像を超える高度な文化を創出した古代人の営みを紐解きます。TVや展示会でもたびたび特集される古代エジプトにまつわる作品は、メディアの関心度も高く、見逃せない展覧会と言えます。

《貴族の男性のレリーフ》紀元前1292年~前1075年頃 石灰岩、顔料 51.3 x 43.8 cm ブルックリン博物館蔵 Photo:Brooklyn Museum ※東京展のみ

案内人は、いま注目を集める新進気鋭のエジプト考古学者・河江肖剰。
人々はどんなくらしを営み、何を食べ、どんな言語を話し、ピラミッドはどのように作られたのか。そして、ミイラに託されたメッセージや「死後の世界」・・・。そういった、これまでのエジプト展で見過ごされてきた「知っているようで知らない事実」から最新技術を使用したピラミッドの研究成果まで、映像や音声を交えて三千年の謎を探求するこの展覧会は、知的好奇心を呼び起こします。

《ネコの棺とミイラ》紀元前664年~前332年 木、ジェッソ、顔料、亜麻布、動物の遺体 63.2×25.9×44cm ブルックリン博物館蔵 Photo:Brooklyn Museum

●参考リンク
「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」
会期:2025年1月25日(土)~2025年4月6日(日)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
https://egypt-brooklyn.exhibit.jp

■「大阪・関西万博開催記念 特別展 日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」
・京都国立博物館 平成知新館(京都府京都市東山区)

大阪・関西万博が開催されるのを機に、古今東西の芸術文化の交流から生まれた日本美術の至宝が一堂に集結。古くより日本には大陸より異文化がもたらされ、その出会いの中でさまざまな美術品が創り出されてきました。その作品群は、日本という「るつぼ」の中で多様な文化が溶け合って生まれた奇跡といえるでしょう。海外からも注目度が高く、日本カルチャーの先駆けを学ぶチャンスでもあります。

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎画 江戸時代 天保2年(1831年)頃 山口県立萩美術館・浦上記念館所蔵
[前期展示 ※後期は和泉市久保惣記念美術館所蔵品を展示]

本展は、異文化交流を軸に日本美術を捉え直し、名品たちの新たな魅力を再発見できるのが魅力です。世界が絶賛した日本美術の傑作、葛飾北斎『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をはじめ、琳派の始祖、俵屋宗達が描いた国宝『風神雷神図屏風』、現存する日本最大、最重量の銅鐸『突線鈕五式銅鐸(重要文化財)』など、国宝18件、重要文化財53件を含む、約200件の厳選された文化財は、日本美術の多様性を物語っています。

国宝 風神雷神図屏風 俵屋宗達筆 江戸時代 17世紀 京都・建仁寺所蔵 [通期展示]

●参考リンク
「大阪・関西万博開催記念 特別展 日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」
会期:2025年4月19日(土)~2025年6月15日(日)
会場:京都国立博物館 平成知新館
https://rutsubo2025.jp

SNSでも自由に楽しめるアートの世界ですが、美術展・展示会なら日常から解放され、感性に訴えかけてくる出合いも楽しめます。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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