「トヨタ産業技術記念館」から名古屋散歩へ名古屋で“技術”と“感動”に出合う一日。「トヨタ産業技術記念館」と周辺おすすめスポット巡り

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名古屋駅からほど近いエリアに、トヨタ自動車の原点と日本のモノづくりの歴史を体感できる「トヨタ産業技術記念館」があります。大正時代に建てられた紡績工場を再利用した広大な館内には、産業の進化を伝える貴重な機械や実演展示が盛りだくさん。大人も子どもも夢中になれる人気スポットです。そんな同館の見どころに加え、周辺で一緒に立ち寄れる、歴史・アート・自然を楽しめる魅力的なスポットもご紹介。モノづくりの心に触れながら、感性もリフレッシュできる、そんな贅沢な一日を過ごしてみませんか?

Text:Reico Watanabe
Edit:Yasumasa Akashi(pad)

知っているようで知らない「トヨタ」の原点

愛知県名古屋市にある「トヨタ産業技術記念館」は、単なるクルマの展示施設ではありません。かつて紡績工場として稼働していた大正時代の赤レンガ造りの歴史的建物を活用したこの記念館には、日本の近代産業の出発点から現代までの変遷を、“技術”という軸で学べる特別な空間が広がっています。まさに、日本のモノづくりの進化を、見て・触れて・学べる場所なのです。

一際目立つ赤レンガ造りの建物。「トヨタ産業技術記念館」の外観。

トヨタといえば“クルマ”というイメージが強いですが、そのルーツは明治時代の「織機(しょっき)」にあります。トヨタグループの創始者であり、発明家でもあった豊田佐吉が改良を重ねてつくり上げた、完全なる「自動織機」こそ、日本の工業化の礎であり、トヨタグループの原点なのです。「トヨタ産業技術記念館」では、「繊維機械館」と「自動車館」でそれぞれの歴史を垣間見られます。

「繊維機械館」の内部の様子。

織機の音と動きに圧倒される!繊維機械館

展示場には、紡ぐ・織る初期の道具から機械、さらに現代のメカトロ装置の繊維機械まで約100台を一堂に展示。説明と実演によって、江戸時代から始まる日本の繊維産業の歴史を辿ることで、技術の進歩の様子が手に取るようにわかります。スタッフによる実演で糸を紡いだり、布を織ったりするところを目の前で見ることもでき、まさに本物の「モノづくり」を体感できます。

タイミングが合えばスタッフの実演を見ることもできます。

機械が稼働する音や振動、スピード感を体感できるのが大きな特長で、まさに“生きている博物館”といえます。

無停止杼換式豊田自動織機(通称G型自動織機)。

佐吉が完成させた自動織機は、自動高速運転中に速度を落とさず杼を交換し、よこ糸を自動で補給する機能を搭載。この技術は当時としては画期的で、イギリスの大手メーカーが特許権譲渡を申し入れてきたほど。このG型自動織機の特許権譲渡で得た資金が、のちの「自動車産業」への道を開くことになるのです。

かつてのG型自動織機の組立ラインの様子。

機械技術の応用から生まれた「クルマづくり」

豊田佐吉の息子、豊田喜一郎は、父の織機技術をベースに、次なる産業への挑戦を志しました。それが、当時まだ発展途上だった「自動車」です。1936年には、現在のトヨタ自動車の出発点となるトヨタ初の量産乗用車「トヨダ AA型」が完成します。 

トヨダ AA型乗用車。

「自動車館」では、トヨタの自動車製造工程をわかりやすく再現。溶接・塗装・組立といった各プロセスのリアルな展示に加え、ロボットアームの動態展示やコットモデルも豊富です。

見ていて面白いメインボデー増打ち自動溶接ライン。

中でもエンジンの仕組みが模型と映像で理解できるコーナーは、子どもだけでなく大人にも大人気。ロール状に巻かれた鉄板がさまざまな工程を経て、1台のクルマに仕上がっていく様子がわかるバーチャルファクトリーは、クルマ好きはもちろん、技術に興味のある人にとっては必見のエリアです。

創業期のエンジン試作風景。

知的な体験学習は、夏休みの自由研究にも最適!

同館では、小学生の自由研究向けのワークシートや学習プログラムも提供されています。「テクノランド※1」や「週末ワークショップ※2」では、家族で訪れても学びのある時間が過ごせます。
※1 入場券のほかに入場整理券が必要。
※2 事前申込制。
https://www.tcmit.org/learn/workshops

週末ワークショップの様子。

同館の展示を見れば、トヨタにおける「モノづくり」の精神が、「織機」から「自動車」へと受け継がれていったことが手に取るようにわかります。産業がどう育まれ、技術がどう継承されたのか――。日本近代史の一面を知る大切な学びの題材になることでしょう。

トヨタ産業技術記念館

住所:愛知県名古屋市西区則武新町4-1-35
開館時間:9時30分~17時(入場受付は16時30分まで)
URL:https://www.tcmit.org/
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入館料:一般1,000円、65歳以上600円、大学生500円、中高生 300円、小学生 200円、未就学児無料
※TS CUBIC CARDでのお支払いで入館料20%割引き(総合案内にて割引入場券を販売/ほかの割引きとの併用不可)

「トヨタ産業技術記念館」から名古屋散歩。
ノリタケの森:レンガと緑の中でアートに浸る

「トヨタ産業技術記念館」から徒歩約10分、歴史的な赤レンガ建築と豊かな緑が広がる「ノリタケの森」。陶磁器メーカー・ノリタケの複合施設で、クラフトセンタ―(工場)、ミュージアム、ショップ、カフェ、レストランが一体となった癒しの空間です。

赤レンガと緑のコントラストが美しい「ノリタケの森」の園内。

クラフトセンター1・2階では、ボーンチャイナの成形から絵付けまで製造工程の見学ができます。2階では実際に絵付け体験も可能です。クラフトセンター3・4階のノリタケミュージアムでは、明治から昭和にかけて製造された「オールドノリタケ」の鑑賞や、デザインの変遷を学ぶことができます。

ノリタケの森

住所:愛知県名古屋市西区則武新町3-1-36
営業時間:10時~17時(ショップは18時まで)
※施設により異なる。ホームページをご参照ください。
URL:https://www.noritake.co.jp/mori/
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
入場料:入園無料、クラフトセンターのみ有料(ミュージアム共通)大人 500円/65歳以上 300円/高校生以下無料)※大人のみ「トヨタ産業技術記念館」と「ノリタケの森(クラフトセンター)」の共通券(1,200円)あり。

TSUTAYA BOOKSTORE 則武新町店:巨大本棚に包まれる読書空間

2021年にオープンした「イオンモール Nagoya Noritake Garden」内のTSUTAYA BOOKSTORE 則武新町店は、本好きの間で話題のスポット。特に目を引くのが、吹き抜けを利用した高さ約4メートルの巨大本棚。その迫力と美しさに、思わず写真を撮りたくなる空間です。

TSUTAYA BOOKSTORE 則武新町店の巨大本棚。
Photographer 遠山功太

店内には、雑貨や文具、知育玩具も豊富に取り揃えられ、スターバックスを併設。時間を忘れて過ごせる快適なブックラウンジとして、多くの人に愛されています。

TSUTAYA BOOKSTORE 則武新町店

住所:愛知県名古屋市西区則武新町3-1-17イオンモール Nagoya Noritake Garden
営業時間:10時~21時
URL:https://store-tsutaya.tsite.jp/store/detail?storeId=4255

ミッドランドスクエア スカイプロムナード:夜景が映える名古屋の絶景スポット

一日の締めくくりにおすすめなのが、名古屋駅前の高層ビル「ミッドランドスクエア」の屋外展望台「スカイプロムナード」。高さ220メートルから名古屋市街を一望できるこの展望施設は、夜になると光り輝く夜景スポットへと変わります。

名古屋の夜景を一望できる屋外展望台「スカイプロムナード」。

屋外展望台ならではの開放感と、ガラス越しだけでは味わえないリアルな空気感が魅力。デートや旅行の最後に訪れれば、きっと忘れられない思い出になるはずです。

ミッドランドスクエア スカイプロムナード

住所:愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1 ミッドランドスクエア 44-46階
※スカイプロムナードの入場口はオフィス棟42階です。
営業時間:11時~22時(最終入場21時30分)
入場料:大人(18歳以上) 1,000円/65歳以上 500円/中高生 500円/小学生 300円(土・日・祝無料)
URL:https://www.midland-square.com/sky-promenade/


名古屋駅からもアクセス抜群のこのエリアには、学び、癒し、感動が詰まっています。ぜひ夏休みに、知的好奇心を満たす旅行にでかけてみてはいかがでしょうか。

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