ACADEMIE DU VIN5分で学ぶ!ワイン初心者がレストランでソツなく楽しむ6つのコツ

Lifestyle

あらゆるお酒の中で、ツンとおすましして、お高く構えているように思われる存在、それがワインです。特に、フレンチやイタリアンのレストランでワインを選ばないといけない立場になったら、ワイン初心者の方は頭を抱えることでしょう。

デートや接待など、あなたがイニシアティブをとって、注文するワインを決めないといけないシチュエーションで、どうふるまったらいいのでしょうか。

心配することはありません。

本当に気のきいたワインをチョイスし、デート相手や接待先を感動で震わせられるようになるまでには、「ワイン達人」への長く苦しい(楽しい?)道のりがあるのですが、「自分が恥をかかず、それなりに相手を楽しませる」だけならコトは簡単です。

本記事では、年間のべ6,000名の方々にワインの歓びを伝える日本最大のワインスクール アカデミー・デュ・ヴァンが、レストランでワインをお手軽に楽しむ6つのコツを伝授いたします。

コツ1/ペアリングメニューを利用する

世間のフレンチやイタリアンのレストランには、その料理の構成から見て大きく3種類があります。

(1)コース料理だけの店
(2)コースとアラカルトのある店
(3)アラカルトしかない店

(3)はどちらかというと少数派(ビストロのような気軽な店だとこういう店が多くなります)、(2)が一番多数派、(1)は比較的高級店に多いという感じになります。

ここでは(3)のアラカルトのみの店は無視して、コース料理のある(1),(2)の店に絞って話を進めましょう。

最近は、コース料理がある店ならだいたいどこでも、コースの一皿一皿にワングラスのワインをマッチングさせた「ペアリングメニュー」を用意してくれています。

ペアリングメニューの値段は、リーズナブルなレンジに抑えられているのが普通ですから、これを注文しない手はありません。
店側が、料理にあわせて選んでくれたワインなので、相性がぴったりなことは間違いなし。それぞれの料理に合わせたワインの解説も、お店の方がしてくれますので、自動運転で「幸せ」という目的地に到達することができます。

いまは、どのお店がワインのペアリング・メニューを提供しているか、ネットで簡単に調べることができます。一番無難な橋を渡りたければ、そうしたお店を最初から選ぶとよいでしょう。

コツ2/グラスワインを楽しむ

上記(1),(2),(3)の店で、ペアリングメニューがなかったらどうしましょう。

特に、アラカルトで注文する場合は、あるいはコースでもメインや前菜などをいくつかの選択肢から選べる場合は、めいめいが別々の前菜やメインを頼むのが普通で、「全員の料理にぴったりあうワイン」を1銘柄、2銘柄選ぶのは至難の業です。

それでも、心配することはありません。

最近のレストランは、グラス単位で頼めるワイン(グラスワイン)を、泡、白・ロゼ、赤のカテゴリー別に2~5種類ぐらいは揃えていてくれます。ですから、各自が注文した料理に合わせて、グラスワインのペアリングをお店の方にお任せすればよいのです。

一般に、グラスワインとして供されている銘柄には、極端に高い値段のものはありません(お店の格によって、「高い」の基準は異なりますが)。ペアリングメニューがない場合は、グラスワインの組み合わせによって、テイラーメイドのペアリングをお店の方にしてもらうとよいでしょう。

コツ3/ボトルを頼むのは中・上級者向け

上述のように、最近のレストランではアラカルトでの注文は言うに及ばず、コースでもめいめいが別の料理を食べることが増えていますので、全員の料理に合うボトルを1本、2本選ぶのはなかなか難しいのです。

また、たとえば2人での会食で適切な酒量が合計でボトル1本分ぐらいだった場合に、白を1本頼めばメインの肉料理との相性がいまいち、赤を1本頼めば前菜や魚料理との相性がいまいちという問題も生じてきます。

かなり飲める人同士なら、あるいは3名、4名の会食なら、前菜と魚料理用に白を1本、メインの肉料理用に赤を1本という頼み方もできますが、それぞれ選択した料理が違うと、全部の皿に合うワインを考えるのはなかなか難しいものです。

多人数の会食で、全員が同じメニューを食べるのであれば、ワイン代の予算とどれぐらい飲むかをあらかじめお店に伝えてボトルでのオーダーの組み立てをしてもらうこともできるのですが、そうしたシチュエーションはむしろ例外でしょう。

食事の全皿を、シャンパーニュをはじめとしたスパークリングワインのみで通すという「裏技」もあるにはあるのですが、相性の原則に多少逆らう「裏技」なので、初心者の方にはあまり勧めません。

よって、やや極言になりますが、ワイン初心者の方は、ボトルワインのオーダーは諦めてしまいましょう。

ただし、どうしてもこの銘柄のワインを飲まないといけないという、やむにやまれぬ事情がある場合は、「そのワインを楽しむためには、どんな料理を頼めばいいか」と、ワインに主軸を置いた食事の組み立てを、お店に予めお願いしておくとよいです。

コツ4/ホストテイスティングで焦らない

ボトルでワインを頼んだときのみに発生する「儀式」。それが、ホストテイスティングです(よって、ペアリングメニューの注文やグラスワインでの注文をしているときには発生しません)。

この儀式の存在も、ワインの敷居をあげてしまっていると思いますが、心配ありません。

よくある勘違いで、テイスティング時に、気の利いたコメントを言わなければならないと思っている方がいますが、それは間違いです。

なぜなら、ホストテイスティングとは、ボトルでワインを頼んだときのみ、そのボトルのワインをゲスト全員に注ぎ分ける前に、ホスト役の人(注文を決め、勘定を支払う人)が、「毒味」をする行為だからです。

ホスト役の人のグラスにワインがごく少量注がれ、風味を見るように言われます。やることは、香りを取り、味わいを見て違和感がなければ「結構です/大丈夫です」と店の人に告げるだけ。何ら気負うことはありません。

問題は、「毒味」で違和感を覚えたときです。天然のコルク栓で封をされているワインには100本のうち3本ぐらいの割合で、「コルク臭」という品質不良が発生します。これは、大ざっぱにいうとコルク内部に繁殖したカビの香りがワインに移ったもので、濡れたダンボールやカマンベール・チーズの皮の部分のようなカビ臭い香りがします。

栓を実際に開けるまで、不良かどうかはわかりません。だからこその「毒味」なのです。もし、「あれ、ちょっとこのワイン…」と思ったら、お店のサービスの方にその旨を伝え、ご自身でも試飲してもらうように依頼しましょう。品質不良であることについて合意が得られれば、新しいボトルに交換してもらえます。

ただし、こういったこと自体が「面倒だ、分からない」と感じる方は多いはずです。であれば、ホストテイスティングを断るというのも、賢い選択。

ホストテイスティングを促されたら、サービススタッフの方に「お任せします」と伝えるだけ。こうすれば、ホストテイスティングに気負う必要は全くありません。

コツ5/グラスの持ち方とワインの注ぎ方をマスター

グラスの持ち方

ワイングラスは、ボウル、脚、台座の部分に分かれますが、グラスを持つときには脚の部分をもつようにしてください。ボウルの部分を持つと、手の温度がワインに伝わってワインがぬるくなってしまいますし、ボウル部分に指紋がつくのも美しくないからです。

ワインの注ぎ方

比較的高級なお店では、ワインをグラスに注ぐのはお店のスタッフの役割なので、客同士が酌をしあうようなことはしません。もし、ワイングラスが空っぽになっていて、その状態にお店のスタッフが気づいていないようなら、指でグラスを指すなどの合図をして注ぎ足しをお願いしましょう。

一方、カジュアルなお店(テーブルの上にワインボトルが置かれるお店)では、ワインの注ぎ分け、注ぎ足しは客が行うことになっています。西洋のマナーでは、ワインを注ぐのは男性の役割。接待の場などでは必ずしもこの原則を徹底する必要はありませんが、女性は酌をしないというのは一応覚えておいてください。

ワインを注ぐ際には、ボトルはラベルを上に向けて片手で持って注ぐようにしましょう。その際、ボトルの瓶口とグラスの縁が触れあってカチンと音がならないように注意してください。

コツ6/スワリングについて

ワイン好きの方が、グラスをくるくると回し、ボウル内の液体に回転運動を与えているのをご覧になったことがある方も多いでしょう。これは「スワリング」と言われるもの。

ワインを空気とシャッフルし、香りをより揮発させることで、ワインのアロマのボリュームとバリエーションを増やそうとすることです。簡単に言えば ワインの香りがより感じられるようになる行為です。

グラスを回す方向にも一応決まりがあり、右利きの方は反時計回りに、左利きの方は時計回りに回します。慣れると脚の部分を持ってクルクル回すことができるようになるのですが、慣れない内は、台座をテーブルに付けた状態で、指の股で脚の最下部(台座と接する部分)を挟み、テーブルの上を滑らせるようにグラスを回すとよいでしょう。

スワリングする前と後では、ワインの香りのボリュームと要素が変わるので、その変化を楽しんでください。

まとめ

本記事では、ワインの中身(ブドウ品種、産地など)に一切踏みこまず、初心者の方が「丸腰」の状態で、レストランのワインを楽しんでいただくために知っておくべき6つのコツを紹介しました。

ワインは非常に奥の深い飲み物で、ブドウの種類や産地、造り方、造られた年などについての知識・経験が増えると、より楽しみが広がります。ですが、はじめからお勉強に走ってしまうと、長続きしないもの。

ひとまずは、本記事のコツにしたがってレストランでワインを楽しむことから始めてみてください。そして、もしより深い興味関心がわいてこられたら、本やスクールなどから学びを深めてもらえたらと思います。



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