豊永智大の『シャフトのしなりで飛ばそう！』VOL.4～しなりを使えるスウィングづくり～ドリル編

2022年の「PLDAロングドライブ世界選手権」世界大会では日本人選手で唯一、ベスト16入りし、準優勝のブライソン・デシャンボーと対戦した豊永智大プロ。先日、米コロラド州ラサールで行われた予選会を通過し、今年8月にジョージア州アトランタで開催される「WLD世界ドラコン選手権」への出場を決めた。世界No.1を狙うドラコンプロに、シャフトのしなりを使った飛ばしのスウィングを教わろう。

撮影協力/LOWMEL BEAR

ドリル①　左手1本打ち

2回にわたって「しなりを使えるスウィング」をお伝えしてきました。今回は、「しなりを使えるスウィング」の習得に役立つドリルをご紹介したいと思います。

右利きのゴルファーの場合、操作しやすいのは右手なので、右手が主体のスウィングになりがちです。
でも、ゴルフではグリップエンド側を左手で握り、ここがクラブと繋がる支点になるので、左手を積極的に使う必要があります。器用に動く右手を使いすぎると、フェースが開いたり、あるいは逆にフェースが被ったりと、両方のミスが出て安定しません。

左手でベクトル方向に引っ張ることができれば、右利きの方は左手があまり器用に動かないぶん、同じ動きをしやすい、つまりスウィングの再現性が高いともいえます。
また、ボールを飛ばす力のベクトルは飛球線方向、つまり体の左サイドにあるので、左手をベクトル方向に大きく使うことができれば、スウィングアークが大きくなって飛距離アップを望めます。

そこでおすすめしたいドリルが、ウェッジでの左手1本打ちです。
コストを考えると打ち放題の練習場がいいでしょう。左手でウェッジを持ち、右手は背中に回した体勢から、ハーフスウィングでボールを打ちます。

このとき、より力をボールに伝えられるので、左手をしっかり伸ばすことを意識しましょう。
まともに当たらなくても、ポーンとその辺に転がるだけでもいいので、まずはボールに当てる、打つという感覚を磨きましょう。
これは神経系の話になりますが、使ってあげればあげるほど、左手が動くようになるのです。

素振りだけでも悪くはないのですが、できれば打ったほうがいいです。ゴルフはターゲットスポーツなので、ターゲットを意識して実際にボールを打つほうがイメージが湧くと思います。

このドリルでは、左手のリードを身につけることもできます。左手の神経が通っていない（使えていない）のに、「左手でリードしてください」と言われても無理な話です。
なので、左手の神経が使えるようにするためにも、左手1本打ちが有効なのです。

ちなみに、私は左手1本でドライバーで280ヤードくらい飛ばせます。

ドリル②　クラブが落ちないようにグリップ

ドリル①を行うにあたって、重要なのは左手グリップです。右手を添えずにクラブを振るので、左手1本で持ってもクラブが落ちないように握る必要があります。

ポイントとなるのが中指・薬指・小指の3本できちんと支えること。胸の前でクラブを握ったときに、クラブヘッドが落ちないように握ります。

そこで、ドリル②をご紹介しましょう。

まず、胸の前で左手1本でクラブを握り、シャフトを立てます。

そこから、地面と平行になるようにシャフトを倒していきます。
写真のように、平行の位置で止まれば合格です。

このとき、シャフトが平行を過ぎてクラブヘッドが落ちてしまうようでは、3本指できちんと支えられていません。

ただし、強く握りすぎると、今度はシャフトが平行まで倒れません。
最初にポイントとして「しっかりと」ではなく「きちんと」と表現したのは、「しっかりと」だとギュッと力を入れて強く握ってしまうからです。

シャフトのしなりを生かすには、クラブと体を繋ぐ左手のグリップが重要です。
実際に試してもらうと体感できると思うので、このドリルを通じて、力を入れるのではなく、それでいてヘッドが落ちない力加減をつかんでください。