Shikinen Sengu ceremony at Ise Jingu Vol.22025年に行くべき三重の中勢・南勢エリア
ドライブで巡る名宿、新名所、行事とは?Vol.2/20年に一度の神聖なる儀式、伊勢神宮「式年遷宮」の正しい見方

古来より「日本人の心のふるさと」として親しまれる伊勢神宮。2025年(令和7年)は20年に一度、お宮を新たに建て替え大御神にお遷りいただく伊勢神宮最大の催事「式年遷宮」が、2033年(令和15年)までの9年にわたり実施されます。伊勢神宮の成り立ちは?儀式の意義や歴史は?ここでは、伊勢神宮にまつわる基礎知識はもちろん、2025年(令和7年)から執り行われる式年遷宮の見どころを解説します。
式年遷宮の歴史と意義

伊勢神宮の正式名称は「神宮」です。起源は今から約2,000年前、大和から皇祖神・天照大御神の御杖代として旅した倭姫命が、五十鈴川のほとりに皇大神宮を定めたとされています。天照大御神をお祀りする皇大神宮(内宮)、豊受大御神をお祀りする豊受大神宮(外宮)をはじめ、大小さまざまな社が伊勢志摩地域に点在し、すべてで125社から成り立っています。

この伊勢神宮で20年に一度、東西に並ぶ宮処を改め、古例のままにご社殿や御装束神宝をはじめ、すべてを新しくして大御神にお遷りいただくお祭りが式年遷宮です。この制度は約1,300年前、天武天皇のご発意によりはじまり、持統天皇4年(690年)に第1回が行われ、前回の2013年(平成25年)に62回目の遷宮となりました。

神宮司庁が式年遷宮の意義を教えてくれました。
「1,300年にわたり繰り返されてきた式年遷宮は、20年に一度御社殿をはじめ、御装束神宝に至るすべてを新しくし、常にみずみずしさを保ち、永遠に変わらないお祭りとして古式のままに執り行われることに大きな意義があります」
「皇家第一の重事、神宮無双の大営」とも称される神宮で最大のお祭り。63回目となる式年遷宮は2025年(令和7年)から2033年(令和15年)まで実施されます。
2025年(令和7年)に実施される神事の見どころ
9年の歳月をかけて行われる式年遷宮の33のお祭りと行事は、大きく分けて「ご用材のお祭り」、「社殿建築のお祭り」、「神遷しのお祭り」の3種。まず、2025年(令和7年)に行われる「ご用材のお祭り」の5つのお祭り、神事について解説します。
山口祭(やまぐちさい)・木本祭(このもとさい)

5月に予定されている「山口祭」は、御用材を伐採する「御杣山」の山口に坐す神を祀り、伐採と搬出の安全を祈るお祭りです。また、同日に執り行われる「木本祭」は、御正殿の御床下に奉建する心御柱の御用材を伐採するにあたり、その木の本に坐す神を祀るお祭りで、古くより神秘の儀式とされてきました。
御杣始祭(みそまはじめさい)・御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき)


次に6月に予定されているのが「御杣始祭」。これは御神体をお納めする「御樋代」の御用材を伐採するにあたり、御杣山に坐す神を祀り、安全とご造営の立派な完成をお祈りするお祭りで、前回は長野県上松町で行われました。そして同月には、御杣始祭で伐採された御用材を、内宮と外宮の両宮域内の五丈殿前に曳き入れる「御樋代木奉曳式」も予定されています。
御船代祭(みふなしろさい)
2025年(令和7年)の最後は、9月に予定されている「御船代祭」です。御樋代をお納めする器である「御船代」の御用材を伐採するお祭りで、内宮と外宮の宮域内に設けられた宮山祭場で行われます。
続いて、2026年以降の神事・お祭りを紹介します。
遷宮諸祭の見どころ
ご用材のお祭り
御木曳初式(おきひきぞめしき)・木造始祭(こづくりはじめさい)

「御木曳初式」は御杣山より伐り出された御用材を、神域である内宮と外宮の両宮に最初に曳き入れる伝統行事。揃いの衣装を着た神領民が木遣歌を歌いながら勇ましく奉仕する光景が見ものです。この儀式で奉曳された御木に小工が忌斧を打ち入れ、御造営の作業を始めるに際し、作業の安全を祈る「木造始祭」も行われます。
御木曳行事

御木曳行事は、神領民と全国の崇敬者により、御用材を古式のままに両宮域内へ曳き入れる盛大な行事。内宮では五十鈴川を利用した「川曳(かわびき)」、外宮では陸路を利用した「陸曳(おかびき)」と行われ、遷宮諸祭・行事の中で最もにぎやかな行事です。
「御木曳行事は大きな見どころのひとつです。伊勢の地元住民が旧神領民としてご奉仕に携わり、伊勢は大きな盛り上がりを見せます。御木曳行事を通して神宮は神職だけでなく、さまざまな方たちの手により支えられているのだと再認識するとても大切な機会になります」と神宮司庁。
仮御樋代木伐採式(かりみひしろぎばっさいしき)
「遷御」の際に御神体を納める「仮御樋代」の御用材を伐採するにあたり、木の本に坐す神をお祀りし、忌斧を入れる式です。
社殿建築のお祭り
鎮地祭(ちんちさい)
新宮を建てる新御敷地で行われる最初のお祭りで、御造営作業の安全を祈り、新宮の大宮処に坐す神を祀ります。
宇治橋渡始式(うじばしわたりはじめしき)

内宮入口に架けられた木橋の「宇治橋」を架け替え、古式ゆかしく渡り始めが行われます。橋の守護神を祭る神社で安全を祈ったあと、「渡女(わたりめ)」を先頭に、全国から選ばれた三世代揃った夫婦に続き、関係者や市民が新橋を渡ってお祝いします。
立柱祭(りっちゅうさい)・御形祭(ごぎょうさい)・上棟祭(じょうとうさい)


御正殿の建築を始めるにあたって御柱を立てる「立柱祭」、御正殿の東西の束柱に円形の図を穿つ秘儀「御形祭」が執り行われます。その後、社殿建築に関わる諸祭の中で、もっとも華やかな「上棟祭」が行われ、御正殿に棟木を上げます。
檐付祭(のきつけさい)・甍祭(いらかさい)
「檐付祭」は、御正殿の御屋根の萱を葺き始めるお祭り。萱を葺きおわったあと、金物を打つお祭りである「甍祭」が執り行われます。
御白石持行事(おしらいしもちぎょうじ)

神領民が新しい御正殿の敷地に敷き詰める「御白石」を奉献する行事。全国から特別神領民も伊勢に集い、五十鈴川と伊勢街道には、「エンヤ―!」の掛け声と木遣歌がひびきます。
御戸祭(みとさい)・御船代奉納式(みふなしろほうのうしき)・洗清(あらいきよめ)
御正殿の御扉を立て、扉に鑰穴を穿ちます。造営工事の完了を意味するお祭りです。その後、御神体のお鎮まりになる「御船代」を刻み、御正殿に奉納し、新殿の竣工にあたり殿内と殿外を洗い清める儀式を執り行います。
杵築祭(こつきさい)

新殿の竣功を祝うお祭り。神職らは白杖を持ち神殿の周りを巡り、古歌を歌いながら柱の根元を突き固めます。
後鎮祭(ごちんさい)
大宮処の平安を祈った鎮地祭の対になるお祭りで、新宮の竣工に際し、御正殿の床下に「天平瓮」と呼ばれる平らな土器を奉居するお祭りです。
神遷しのお祭り
御装束神宝読合(おんしょうぞくじんぽうとくごう)
御装束とは大御神のお召し物や殿内の装飾品で、神宝は威儀物の調度品のこと。天皇陛下より大御神に献ぜられる御装束神宝を、新宮の四丈殿において、式目に照らし読み合わせる儀式です。
川原大祓(かわらおおはらい)

遷御の前日の夕方に、御装束神宝をはじめ遷御に奉仕するすべての奉仕員を「川原祓所」で祓い清める儀式です。
御飾(おかざり)

遷御当日に新調された御装束で殿内を装飾し、大御神にお遷りいただく準備をする儀式です。
遷御(せんぎょ)

大御神が本殿から新殿へとお遷りになる式年遷宮でもっとも重要な儀式です。100名を超える奉仕員は御装束神宝を手に整列し、本殿から出御され、新殿に入御されます。
「遷御の儀は、遷宮に関わる諸祭・行事の中でももっとも中心的なお祭りです。新宮と旧宮の並んだ姿は壮大で、端麗な光景を見せてくれます」と神宮司庁。
大御饌(おおみけ)
遷御の翌日の早朝、新殿において初めて大御神に神饌を奉るお祭りです。
奉幣(ほうへい)・古物渡(こもつわたし)・御神楽御饌(みかぐらみけ)
古くは「一社奉幣」と称され、神前に捧げる供物である「幣帛」を奉納し、その後五丈殿で饗膳の儀が行われます。そして、古殿内の神宝類を新宮の西宝殿に移す儀式「古物渡」、御神楽に先立って大御神に神饌を奉る御神楽御饌が執り行われます。
御神楽(みかぐら)

新宮の四丈殿において、天皇陛下がお遣わしになった宮内庁楽師が御神楽を奉納するお祭りです。
お伊勢さん(伊勢神宮の愛称)を訪れた際には、20年に一度斎行される、日本随一のお祭りに触れてみてはいかがでしょうか。
【参考】
伊勢神宮 式年遷宮
https://www.isejingu.or.jp/sengu/
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